真アゲハ ~第65話 落合 蛍5~ | 創作小説「アゲハ」シリーズ公開中!

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「アゲハ族」
それは現在の闇社会に存在する大きな殺し屋組織。しかし彼らが殺すのは「闇に支配された心」。いじめやパワハラ、大切な人を奪われた悲しみ、怒り、人生に絶望して命を絶ってしまう…そんな人々を助けるため、「闇に支配された心」を浄化する。



風城大学附属高等学校の校舎の中も賑わっていた
日奈子達も気をつけて進みだす

千晴「そっかぁ、彩耶華は店番か。大変だね」

日奈子「一緒に行きたかったって言ってました」

千咲「ところで…これ何の列ですか?」

千咲はとある列を見つけた
女性ばかりで、色紙や本など、何やら紙を手に持っている

梓希「この先は…あ、漫画研究会ッスね」

小真知「へぇ、風校は漫画研究会なんてあるんだ。……確かに、パンフレットに載ってる絵を見ると上手いかも」

千晴「漫画研究会…って言っても、今年は無くなるかもって言われていたぐらいなんだよね」

日奈子「どう言うことですか?」

千晴「部員…て言うか、会員がなかなか集まらなくて、誰も入って来なかったら今年から廃部にしようって言われていたんだ」

梓希「でも、あるって事は入ったんッスね」

千晴「うん、男子生徒が1人だけ。1年生だけど、ネットの方じゃ人気らしいよ?poxivとかも投稿してて、先日はコミカライズ決定の小説から声がかかったとかで」

小真知「すごいね、じゃあこの行列はその…?」

千晴「ううん、今回はスペシャルゲストとしてプロの漫画家を呼んで、サイン会を行ってるんだ。確か…“New堂雲”先生って人だったかな」

千咲「え!?にゅ、“New堂雲”先生って…!」

千晴から漫画家の名前を聞いて、千咲は飛び上がる様に元気になった
その漫画家は、千咲が大好きな漫画家だった

漫画家“New堂雲”が描く漫画は、泣ける漫画としてSNSですごく話題で、先日単行本化した
その単行本を片手に並んでいるお客もいる

?「はい、これでいいかな?」

「わぁ!あ、ありがとうございます!」

千咲「おっ、見えてきた見えてきた!」

梓希「女性の漫画家さんッスかねぇ?」

繊細な絵とタッチ、何より恋愛ものが多いことから女性の漫画家だと予想した梓希と千咲
だが座っていたのは、白い髪に赤いメッシュがチラッと入った男性だった

ー漫画家 “New堂雲”
 星浦 綺堂(33)ー

綺堂「今日は来てくれてありがとう。名前何て言うの?」

千咲「わぁ…!お、男の人だったんだぁ…!」

梓希「あの人が“New堂雲”先生だなんて…!」

千晴「だよね、俺も思ったよ。知っての通り、“New堂雲”って名前はペンネーム。本名はまた違うよ」

日奈子「思ったより、見た目派手ですね」

?「あ、皆来てくれたんだね」

日奈子達に話しかける女子がいた
同じ花巻女子学園の制服を着た女の子だ
彼女が、彩耶華と交換留学した落合と言う子だ

ー花巻女子学園高等部1年生
 落合 蛍(16)ー

日奈子「落合さん!」

蛍「いらっしゃい」

千咲「体育祭でも会ったけど、制服姿は久し振りだなぁ~」

梓希「どうッスか?風校は」

蛍「うん、すごく…盛り上がってるよ」

千咲「いやいや文化祭じゃなくてさ、普段の」

小真知「ふーん、あの子が花校の」

千晴「うん、落合蛍さん。蛍って書いて、“けい”って読むんだって」

小真知「可愛いじゃん」

千晴「あれ?そう言えば“我孫子”はどうした?」

千晴はある生徒を探し出す

日奈子「あびこ?」

蛍「あ、漫画研究会の人…我孫子平太くん。今休憩に行ってます」

千晴「そっか。まぁ1人だから大変だよな。落合さんも手伝ってくれてありがとう、我孫子も喜んでると思うよ」

蛍「いえ、私は…そんな…」

日奈子「折角だから、漫画研究会の中見ても良い?」

蛍「う、うん…!いいよ」

漫画研究会の所に来たため、日奈子達は中へと入る
我孫子と言う男子生徒の漫画に興味を持ったみたいだ




遥「まさか会長がこっちにやって来たとはな…!」

一方、遥達“怪盗団ラグドール”は、例の情報を頼りに、調査をしていた
だが自分達が通っている月見山高等学校の生徒会長である小真知が来ていることに驚いていた
遥から報告を受けた他のメンバーも頭を抱える

涼「そういや“行く”とか言ってたよね?」

雄大「どーする?見つかったら余計に行動しづらいし……」

玲依「キティに訳を話して中止にするか?」

誠人「てかいつまで調査やってれば良いんだろう?全然それらしき動物出てこないよね」

謎の動物の調査は続けているものの、それらしき痕跡がない
目撃者も頼ってみたが、情報も少なすぎる

雄大「あーもう飽きた!いくら動物の保護ったって、わざわざ文化祭の日にやる必要もなかったんだ!」

誠人「折角の風校なのにぃ~…」

遥「……キティの言ってた情報がハズレだと言うことは今まで無かったんだがな…。また別の日に改めて調査を…」

と、遥は調査を中断しようと決めたその時だった

侑「おっ!なんだこいつ!」

遥達の近くで聞き覚えのある声が聞こえた
同じ月見山高等学校の桃谷侑の声だ
見てみると、侑が枝を使って何かをつついていた

それは、ウサギだった

遥「あいつ…!」

誠人「あ!いじめてる!」