真アゲハ ~第65話 落合 蛍3~ | 創作小説「アゲハ」シリーズ公開中!

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「アゲハ族」
それは現在の闇社会に存在する大きな殺し屋組織。しかし彼らが殺すのは「闇に支配された心」。いじめやパワハラ、大切な人を奪われた悲しみ、怒り、人生に絶望して命を絶ってしまう…そんな人々を助けるため、「闇に支配された心」を浄化する。



翌日
“花鳥風月祭”の文化祭が始まった
予定通り、千鳥工業高等学校と月見山高等学校の一般公開が行われ、何事もなく終わった

そしてさらに翌日
この日は花巻女子学園と風城大学附属高等学校が一般公開を行う

花巻女子学園にはたくさんのお客で賑わい、カフェやお化け屋敷などの出し物、出店や特設ステージでのライブで盛り上がっている

日奈子「いらっしゃいませー!」

千咲「ポシェットにアクセサリー、カーディガン、いかがですか~?」

日奈子達のクラスでは、手作り小物やカーディガンなどのバザーを行っている
とても大繁盛だ

鎧塚「お~、良い日だなぁ」

担任の鎧塚はどんどん売れている商品に微笑む

梓希「追加分、持ってきたッス!」

千咲「ありがとう~、おっそろそろ交代だね!」

日奈子「うーん…彩耶華まだかなぁ?」

時計を見て、教室を確認するが、彩耶華の姿はない
もうすぐ彩耶華が当番だ

千咲「しかし財前さんと紬麦は後半からかぁ~、折角風校回れるかなって思ったのに」

日奈子「そうだね」

梓希「風城には落合さんいるッスから、楽しみッスね!」

梓希が言う落合さん
それは、花巻から風城に交換留学している女生徒だ
今日はこれから会いに行く約束をしている
体育祭ではあまり話せなかったので、一緒に回って話すのが楽しみだ

一方彩耶華はスマホで電話をしていた
相手は、『アクアリウム』の“館長”のジョー・ナルミだ

彩耶華「…え?謹慎を解くんですか?」

それは、しばらく彩耶華に付いていた謹慎処分を解除する話だった

ナルミ『あぁ、だいぶ反省したみたいだからね。突然だが、今日から復帰と言う事でも大丈夫かい?』

彩耶華「はい、もちろんですわ!」

ナルミ『言っておくが、復讐のために心を囚われて、一般人にまた被害を及ぼすなんて真似をしたら、今度は謹慎では済まされないからね?それだけは、肝に銘じておくように』

彩耶華「は、はい…!」

謹慎になっていたのは、数日前からだ
輝人が自分の両親を殺した敵では無いかと疑い、日奈子を人質に対戦したがそれが良くなかった
今はだいぶ落ち着いたが、まだ犯人が誰なのかは分からない

彩耶華「……あの、それで…私の両親を殺したネクロは見つかったのですか?」

彩耶華の両親は全身が燃えて、焼死体となった
火を扱うネクロは見つかったのか、確認する

ナルミ『いや、まだだね。火を扱うネクロは珍しい者では無いが、なかなか情報が入ってこなくてね。もしかしたら“アクアリウム”の存在に気付いているのかもしれない』

彩耶華「…一刻も早く、炎先輩やコバルト先輩達のお手伝いをしたいですわ。“アルルカン”や“クロノス”の存在も、存じています。いつでも動けますわ」

ナルミ『やる気のところ悪いが、今日は文化祭なんだろ?任務は明日からにしてくれ。それと謹慎は解くが、斑目輝人を狙うのは禁止だ』

彩耶華「!…何故ですの?」

ナルミ『それは他の者にやらせるよ?どうやら話によれば、斑目輝人の味方をする人間に情が沸いているそうじゃないか』

彩耶華「……日奈子さんの事ですか?」

復讐に囚われ、輝人の兄のアサギに利用されそうになった時、日奈子が助けてくれた
それからは心を打ち明けられるようになったが、それが良くないみたいだ

ナルミ『どうせ、謹慎を解かなくても斑目輝人を殺すなんて事はしないつもりだったろ?』

彩耶華「それは……」

ナルミ『…今日は文化祭に専念しなさい』

そう言うとナルミは電話を切る
スマホを耳から話した彩耶華は、ハァ…と溜め息を付く

彩耶華「……確かに、殺すつもりはもう無くなってしまいましたわね。あ、いけないですわ!もうこんな時間…!」

スマホをしまい、彩耶華はすぐ当番へと戻った

彩耶華が戻ってくると、日奈子と千咲、梓希は交代だ
交代して教室を出る

日奈子「じゃあ彩耶華!風城に行ってくるね!」

彩耶華「はい、いってらっしゃいませ」

千咲「は~疲れた!早く行こっ!」

千咲は風城の文化祭のパンフレットを広げる
そこには風城大学附属高等学校全体の地図と何が行われているのか書かれていた

千咲「風城の出店とか、楽しみだなぁ~!美味しいもの食べたい!」

梓希「自分は……あ!漫研なんてあるんスね!」

地図の端のところに『漫画研究会』と書かれていた
そこには展示されている漫画が載ってある

梓希「おほ~~っ、上手いッスね!」

千咲「へぇ、文化祭限定の漫画なんて売ってあるんだ。内容どんなだろうなぁ」

日奈子「あ、そう言えば落合さんも絵を描くよね?」

千咲「え?そうなの?」

日奈子「よく図書室の机で、自由ノートに小さく絵を描いているところ見かけるよ?上手だねーって前に言ったことあるけど…」

千咲「けど?」

日奈子「恥ずかしかったのか、すぐ閉まっちゃってさ」

千咲「なーるほど」

梓希「あれ?何か小さく漫研の下に何か書いてあるッスね。えっと…」

『漫画研究会』の下に、何やら小さく文字が書かれていた
よく見て、梓希は読んだ

梓希「何々……“当日はプロの漫画家によるサイン会も実施?”」

千咲「え?」

日奈子「プロの……漫画家?」