11月となったこの日
名古屋市内のとあるホテルの部屋で、会議が行われていた
それも、『4大高校』の生徒達だ
改めて紹介しよう、『4大高校』とは
花巻女子学園
千鳥工業高等学校
風城大学附属高等学校
月見山高等学校
の4つで、名古屋では有名な高校である
今回この会議室では、各学校の代表である生徒会長達が集まり、会議を開くことになった
内容は、後日行われる『4大高校』対抗の体育祭と文化祭2つをまとめた『花鳥風月祭』についてだ
ー風城大学附属高等学校 生徒会長
鏑木 千晴(18)ー
千晴「…では、改めて体育祭と文化祭の日程確認を行います」
資料を持ちながら、風城大学附属高等学校の生徒会長である鏑木は、説明をする
千晴「まず体育祭は1日目からスタート。市内の運動場を借りて、行うことにします。プログラムは5ページ目に書かれて…」
『花鳥風月祭』は3日間に渡り、行われる
1日目が体育祭
こちらは名古屋市内の運動場を借りて、様々な競技を競い合う
“リレー”、“ダンス”、“大縄跳び”の3つの花形は午後からとなる
千晴「ちなみに今回各校それぞれに交換留学生がいますが、その留学生が花形競技に出場した場合、その留学先の学校に得点が入るようになってます」
優里亜「あら、となると…鏑木さんのところの生徒が出場した場合、うちに得点が入るようになるのですわね」
ー花巻女子学園 生徒会長
富小路 優里亜(18)ー
挙手をして発言したのは、日奈子達が通っている花巻女子学園の生徒会長の富小路だ
4人の中で一際目立つような存在だ
千晴「んー…まぁそうだね。代わりに君の所の落合さんが出場して、もし勝ったら、風校(うち)に得点が入るようになるけどね」
優里亜「構いませんわ、お宅の財前さんが勝てば花校(うち)に得点が入りますので。オホホホホ」
?「私は反対」
優里亜「あら」
鏑木が説明した内容に異議がある者が出てきた
ストレートボブが特徴的な女子生徒会長だ
ー月見山高等学校 生徒会長
城戸 小真知(18)ー
千晴「反対?」
小真知「留学生が勝利すれば得点が入るのは構わないけど…相手側に得点が入るのは嫌。その生徒の元々の高校に得点を入れるべきだと思う。そうでしょう?」
千晴「うーん、確かに…」
?「聞き逃していいぜ、鏑木。月校が頑張ったのに、鳥校(うち)に得点が入るのが嫌なだけだろ」
小真知「は?」
城戸は反応し、声がした方を見る
そこにいるのは、千鳥工業高等学校の生徒会長だ
ー千鳥工業高等学校 生徒会長
天雨 克幸(18)ー
小真知「克幸…あんた、忘れた訳じゃないでしょうね?あんたのとこの生徒、月校(うち)が預かってんだからね?つまりその子が勝ったら、月校(うち)に得点が入るんだから。意味分かってんの?」
克幸「分かってるよ。だからこそ納得行ってないのは俺もだ。去年は花校の生徒を預かったからまだ良かったが、今年はまさかの月校とはな」
小真知「それはこっちの台詞!去年は風校の生徒だったけど、今年はまさか鳥校とはね!あんた、まさかわざと負ける様にしろとか卑怯なこと言ってないわよね?」
克幸「なんだと?お前こそ、鳥校(うち)の生徒に何かしたら月校に乗り込んでやるからな!」
小真知「やれるならやってみれば?返り討ちにしてやるわ!」
千晴「まーまー!2人とも落ち着いて!」
優里亜「はぁ、この生徒会になってから騒がしいですわね」
呆れて優里亜はため息をつく
千鳥工業高等学校の生徒会長の天雨克幸と月見山高等学校の城戸小真知は、犬猿の仲だ
この生徒会長同士の会議が始まった時から、2人はずっとこの調子で、会議が途中で脱線してしまうことが多い
千晴「とにかく、これは実行委員会の方でも決められた事だからしょうがないよ。納得行かないのは分かるけど」
小真知「フンッ」
克幸「…悪い、続けてくれ」
一旦喧嘩を止め、会議を再開する
後半は、体育祭の後に行われる文化祭だ
千晴「…えっと、1日目が千鳥工業高校と月見山高等学校で一般公開、その後の2日目に花巻女子学園と風城大学附属高等学校で一般公開となりますが、これはこのまま変更なしで良いですか?」
優里亜「異議なしですわ」
小真知「なし」
克幸「あぁ」
千晴(おっ、すんなり受け入れたな)
千鳥工業高校と月見山高等学校の組み合わせに、異議を申し立てるかと思ったが、すんなり通ったみたいでホッとした
だが目的は別にあった
克幸(一般公開日にどれだけ客が入ったのか、それで月校より面白かったと言わせて見せる!)
小真知(うちの高校の展示物が面白かったとなれば、来年入る新入生達も増えるだろうし…絶対にお客全員を満足させてやるわ!)
2人とも、お互いの文化祭の一般公開日にどれだけの人が入るのか競い合うみたいだ
ちなみに2人の魂胆は口に出してないが、睨み合っている事で、富小路と鏑木はすぐに分かった
優里亜「ハァ…醜い争いですわね」
千晴「もー…ルール違反だけはしないでよ?それで、出し物だけど…」
その後は何事もなく、会議は終了した
会議が終わると、それぞれ校舎へと戻る
千晴「それにしても、こんな立派なホテルの一室借りて会議だなんて豪華だよね。出来れば泊まりたかったけど」
小真知「まぁこんなホテルにした理由は分かるよ。前を歩いている2人は“貴重”な人物ですからねー」
克幸「何か言ったか?」
小真知「いーえ何も」
優里亜「さてと、これから学園へ戻りますわ。皆さんも気をつけてくださいね」
克幸「ありがとうございました、富小路さん。当日が楽しみですね」
優里亜「はい!当日は皆さんが笑顔になれるように励みますわ!オホホホホホホ!」
高笑いする富小路
その後ろにいる鏑木の元に、1つの電話が入る
千晴「…ごめん、先に帰ってて」
小真知「電話?」
千晴「うん、ちょっとね」
スマホを取り出し、3人から離れる千晴
すぐに電話に出た
千晴「…もしもし?」
その相手は、意外な人物だった
サミュエル『やっほ~、“サーディン”ちゃん!ちょっといい?』