真アゲハ ~第60話 CASINO Shachihoko2~ | 創作小説「アゲハ」シリーズ公開中!

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「アゲハ族」
それは現在の闇社会に存在する大きな殺し屋組織。しかし彼らが殺すのは「闇に支配された心」。いじめやパワハラ、大切な人を奪われた悲しみ、怒り、人生に絶望して命を絶ってしまう…そんな人々を助けるため、「闇に支配された心」を浄化する。



電話をしてきたのは、ネクロ暗殺組織『アクアリウム』のサミュエル・キリマンジャロ
電話を受けた鏑木は、『アクアリウム』の情報屋部隊の1人、“サーディン”だった

千晴「あの…サムさん?前にも言ったハズですよ?平日の昼間に電話はかけてくるなって…!俺学生なんですから、バレたらどーするんです!?」

サミュエル『ごめんてば、急ぎの用事なんだよ』

千晴「他の“イワシ”に聞けば良いじゃないですか!波多野さんとかいるでしょ!」

サミュエル『いやー彼にも連絡したんだけど、忙しいのか電話に出なかったんだよ。だから君に電話したんだよ』

千晴「はぁ…それで?何の情報が欲しいんです?」

ため息をつきつつも、鏑木はサミュエルに質問した
仕事の話になったのか、サミュエルは真剣な声に変わる

サミュエル『あーそうだ。先日、うちの“イルカ”ちゃんが、“REBORN”の取り引きを邪魔した事は知ってるよね?』

千晴「コバルトさん?…あーはい、1人ネクロだったみたいで、そいつを倒したとか」

以前コバルトは、“REBORN”の取り引きを邪魔し、“REBORN”の回収作業も終えた
しかもその時ネクロが1人いたため、倒して、灰も回収したのだ

サミュエル『その件でさ、“REBORN”も持ち帰ったけど、取引相手は分かった?』

千晴「あー…その事なら今調査が終わったところですよ」

サミュエル『流石だね、それで黒幕は誰だった?クロノスとか?』

千晴「いえ、“アルルカン”って奴ですよ」

鏑木は人気がいない事を確認すると、スマホを耳から話してスピーカーにする
その状態で、電話を切らずに2枚の画像をサミュエル宛に送った
すぐにサミュエルのスマホに届いた

サミュエル『ん?』

千晴「丁度コバルトさんからも調査の依頼を受けていたんですよ。“アルルカン”の正体は、徳川笑太郎。『CASINO Shachihoko』を経営している男です」

鏑木が送ってきたのは、徳川の写真と、カジノの場所が記された地図だった
サミュエルが目を通した事を確認すると、スピーカーを戻す

サミュエル『…コバルトも調査を?』

千晴「前に“飴”を使うネクロと戦った時に、カジノに出入りしていた事が気になったみたいです。それで調べてみたら、真っ黒なホコリがたくさん出てきましたよ。どうやらカジノの債務者の借金を返済する代わりに“REBORN”を射ち込んで、その後で事故に見せかけて殺しています。それでネクロを生産しているとか」

サミュエル『それは…真っ黒を通り越して汚いね』

千晴「運が良ければ…ネクロとして人生を歩みますからね。それでネクロとして奴の下に付くなら、借金はチャラとか…。今奴の支配下には一二三四五六、その下にはさらにネクロの部下が数名いるみたいです」

サミュエル『良い情報じゃん…!ありがとうね!』

電話の向こうでサミュエルが喜ぶ
鏑木は小さくため息をつく

千晴「…一応これ、コバルトさんに頼まれたから調べていたんですが、まさか仕事の横取りでは無いですよね?」

サミュエル『横取りじゃないよ。俺らがようやく戦える回を作者が作ってくれたから、コバルトの代わりに行ってこようって思っただけだよ』

千晴「そーゆーのを横取りって言うんだよ!…ん?俺“ら”?」

サミュエルの発言に気付く鏑木
複数を指しているので、サミュエルだけではない

サミュエル『そ!これから俺とトールとニコちゃんと一緒に乗り込むの~♪』

トール『ルーカス~、久し振りのお出かけだよぉ~♪』

ニコール『はぁ…カジノか。金持ちの娯楽って、本当に妬ましいわ…』

千晴「ハァァァァアッ!?((((;゜Д゜)))」

サミュエルの乗り込み宣言に千晴は驚く
しかもその後ろから同じネクロハンターのトール・ハンセンとニコール・スミスの声が聞こえる

千晴「いやいやいや!待って!?乗り込むって!?“館長”には許可出したんですか!?」

サミュエル『もー出したよ?行って良いってさ!』

千晴「こここコバルトさんはこれ知ってるんですか!?」

サミュエル『いや、知らないんじゃない?今コバルトくん別のネクロを倒しに行ってるって言ってたし』

千晴「なんでそれを早く言わないんだよあんた!」

サミュエル『大丈夫だって、後でコバルトくんには伝えておくからさ!それじゃあね、情報伝えてくれてありがとうね~♪』

そう言うとサミュエルは電話を切った
鏑木は青ざめ、スマホを耳から離す

千晴「…ヤバいな…!これ絶対にまずいって…学校どころじゃねぇぞ…!?」

そう呟いた鏑木は一旦ポケットにスマホをしまうと、制服の内ポケットに手を入れる
そこから別のスマホを取り出し、どこかに電話をかける

千晴「…あ!もしもし!?今大変なことが起きまして…!」





生徒会長達の会議が終わった頃
輝人は大須商店街の入り口前にいた
ここである人物と待ち合わせだ

輝人「…!遅すぎるぞ、徳川」

笑太郎「よっ、久し振りだな」

それは、徳川笑太郎だ
輝人は徳川に呼ばれて、ここに来たのだ

輝人「俺だって浮気調査の仕事あったのに、どうしたんだ?突然俺に会いたくなった、なんて」

笑太郎「悪いな。突然決まった事なんで、お前には伝えたいと思ってさ」

輝人「ん?なにが?」

笑太郎「俺さ…」

次の瞬間、徳川は驚く発言をした

笑太郎「…カジノ、閉める事にした」

輝人「…は?」