「ハッピーハロウィーン!」
「トリック・オア・トリート!」
「イエーイ!お菓子くれなきゃイタズラするぞぉ~!」
10月31日
ハロウィン一色に染まった名古屋市内は、昼からものすごい人出で、『オアシス21』にはハロウィンの仮装をした若者達で埋め尽くされていた
ハロウィンのイベントと言えば、東京渋谷のスクランブル交差点をイメージする者もいるが、ここ名古屋市内でも開催される
太陽がオレンジ色に差し掛かった
暗くなり始め、もうすぐ本格的なハロウィンが始まる
そして斑目探偵事務所には、海賊と医者のゾンビの仮装をした2つの影があった
輝人「はぁ~…なんで、良い年こいて仮装なんてしなきゃなんねぇんだよ」
海賊の仮装をした輝人は溜め息をつく
派手なドクロマークが付いた黒い帽子に、茶色の海賊コートを羽織っている
その横には、ゾンビをイメージするかの様な、血とダメージだらけの白衣を着て、眼や口に血糊をつけ、片眼だけ白眼のカラーコンタクトをした栗栖が苦笑いしていた
栗栖「まぁ良いじゃないか。楽しいし、仮装なんて滅多に出来ないし。何より眼帯が似合うコスプレなんて海賊以外ないと思うな~」
輝人「そりゃどーも。てかお前こそ、それ自前だろ?いいのか?そんなボロボロにして」
栗栖「もう使わない物だし、やっぱ俺と言ったらこれかなって」
輝人「確かに良く似合ってるよ。治療は愚か、感染させるなよ?ゾンビドクターさんw」
輝人達がハロウィンの仮装をしているのは、数日前に輝人の母親のツバサから依頼があったのだ
“東海ハロウィンナイト”のイベントで、警備を行ってほしい、と。
輝人は乗り気では無かったが、他のメンバーは乗り気であるため、仕方なく参加することになった
輝人「さて、そろそろ事務所閉めようぜ」
栗栖「あぁ、日奈子ちゃん達もそろそろ来る頃だしな」
2人は忘れ物が無いか確認し、事務所に鍵をかける
外に向かうと、既にハロウィンの仮装をした日奈子達がいた
日奈子「あ!ハッピーハロウィーン!」
輝人「お~、魔女の宅急便が来たわw」
日奈子「違うもん!本当の魔女だもん!」
栗栖「まぁまぁ、日奈子ちゃん可愛いよ」
黒いとんがり帽子に黒いワンピース、箒を持った日奈子は輝人に向けてプクーッと頬を膨らませる
その隣には白装束と白いお皿9枚を持った茜がいた
しかも黒髪のロングヘアーで本格的だ
栗栖「茜さん、それ皿屋敷のお菊さんですか?」
茜「はい、お皿はプラスチックですがちゃんと9枚あります。1枚足らないよ~…」
輝人「おぉ…横の子供魔女とクオリティが違いすぎるw」
日奈子「悪かったわね!(-_-#」
カンナ「茜さん、髪染めたんですか?茶髪だったんじゃ……」
茜「あぁ、これはカツラです。それより森久保様、とてもお素敵ですよ」
カンナの衣装を見て茜は褒める
カンナは血糊とダメージがあるゾンビシスターの衣装だ
栗栖のゾンビドクターと似てるところはあるが、カンナのゾンビメイクは、血糊で口裂けを描いているので、とても怖い
栗栖「ゾンビ同士…被っちゃったかな?」
カンナ「でも私はシスターですので、衣装は問題ないと思いますよ」
ゆに「ねぇねぇ!こっちも見て!」
カンナの隣に現れたのは角とコウモリの羽、悪魔の尻尾が生え、普段とは違うセクシーな仮装をしたゆに
そしてゆにと共に吸血鬼の姿で始も現れる
日奈子「ゆにちゃん、すごい気合い入ってるね…!」
ゆに「サキュバスだよ~!骨抜きにさせちゃうゾ☆」
輝人「ガキ臭い色仕掛けに誰がメロメロになるんだよ」
始「輝人さん、海賊なんですね!良かったぁ~、吸血鬼とどっちにしようか迷ったんですよね!」
栗栖「始は吸血鬼か、良く似合ってるよ」
航平「すいません!遅くなりました~!」
そこに遅れて航平が現れる
航平は狼の大きな耳にマスク、両手両足にフサフサ…とした手袋とブーツ、そして狼の尻尾を付けた狼男だ
輝人「遅いぞ航平!」
航平「すいません!あちこちでナンパしまくってたら遅くなっちゃって…!」
カンナ「時間守ってください…。ってまさか、女の子相手におすわりとかしてませんよね?」
航平「してないから!」
輝人「一応首輪付けておこうぜ?飼い慣らしてさw」
航平「俺は狼男ですよ!Σ((((;゜Д゜)))」
栗栖「アハハ、しかし良く似合ってるね」
日奈子「餌付けされないように気を付けてくださいね?」
航平「だから狼男!Σ((((;゜Д゜)))」
彩耶華「こんばんわ…皆さんすごい格好ですね」
日奈子「あ!彩耶華!」
そこに彩耶華が現れた
輝人達のコスプレに眼を大きくした
輝人「は?なんでここにいんの?」
日奈子「私が誘ったの!良かったら遊びに来ない?って」
彩耶華「お仕事だとは聞きましたが…まさかコスプレとは」
ゆに「警備のためだよ」
彩耶華は輝人に依頼をお願いしてから、少し関わりを持つようになった
もちろんアゲハ族の事は内緒にしている
ちなみに事情はあの依頼の後、日奈子や茜から詳しく聞いた
彩耶華「アゲハ族のお仕事…なんですかね?」
日奈子「まぁそう言うことかな?」
栗栖「依頼主もアゲハ族の人だからね」
始「彩耶華ちゃんだっけ?彩耶華ちゃんはハロウィンに参加しないの?」
せっかくのハロウィンなのに、私服姿の彩耶華を見て始は言った
彩耶華「いえ、私そう言うのは…そもそも衣装なんてありませんし」
日奈子「大丈夫!茜さん!」
茜「はい、もしよろしければどうぞ!」
彩耶華「え!?」
すると茜がどこからか丸型のカーテンを取り出し、彩耶華を覆う
その中で彩耶華は、茜に着替えさせられた
彩耶華「ま、待ってください!私は…ヤァアッ!((((;゜Д゜)))」
バサッ!とカーテンが開かれる
そこにいたのは、先ほどの彩耶華とは違い、腕や足、頭にに包帯を巻かれ、衣装もミイラをイメージしたような白い衣装となっていた
彩耶華「わぁぁ!は、恥ずかしいですわ…!ど、どんな格好になってるんですの!?(*/□\*)」
茜「こちらです」
と、茜は全身が写る鏡を出し、彩耶華に見せる
良く見ると頭の包帯がリボンになっている
彩耶華は自分がミイラの姿になっていると知ると、何故か頬が赤くなり、小さく笑顔になった
輝人「まんざらでもねぇ顔してるよ」
始「茜さん早くないですか?」
茜「もしも日奈子様の衣装が汚れてしまった時のために、もう1着用意していたんです」
航平「ミイラ男…じゃない、ミイラ女か!」
彩耶華「日奈子さん、呪いますわよ?私にこんな仕打ちをしておいて…!」
日奈子「可愛いよ彩耶華w」