真アゲハ ~第58話 財前 彩耶華10~ | 創作小説「アゲハ」シリーズ公開中!

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「アゲハ族」
それは現在の闇社会に存在する大きな殺し屋組織。しかし彼らが殺すのは「闇に支配された心」。いじめやパワハラ、大切な人を奪われた悲しみ、怒り、人生に絶望して命を絶ってしまう…そんな人々を助けるため、「闇に支配された心」を浄化する。



輝人「…今日限りで解雇だ」

日奈子「え!そ、そんな…!」

輝人「そんなじゃねぇよ!一般人どころか、ネクロハンターの人間にエスポワールを見せやがって!(-_-#」

斑目探偵事務所に戻ってきた輝人達だが、日奈子はお説教を喰らっていた
と言うのも、彩耶華の前でエスポワールを起動し、さらには効果も発動してしまったからだ

輝人「お前の勝手な行動は今まで目を瞑ってきたがもう我慢ならねぇ!今日もバイトだってのに無断欠勤だったし、荷物まとめてとっとと出てけ!」

栗栖「待てよ輝人、無断欠勤なんて今回が初犯だし許してやっても…」

輝人「栗栖は黙っていろ!」

日奈子「茜さん…っ」

茜「…申し訳ありません。今回限りは…」

助けを求める眼をする日奈子だが、茜は助けてくれない
アゲハ族はあくまで存在を隠している
そのアゲハ族が、一般人の前でエスポワールを晒してしまうことは許されない

始「で、でも…アゲハ族を知る一般人だって他にいるじゃないですか!その人達の様に…」

輝人「それとこれとは別だ。相手は俺の命を狙うネクロハンターだぞ?つまりは敵、そんな敵にうちの手の内を明かすようなもんだ。こいつがしたのは、そう言うことなんだよ!」

日奈子「でも、あの時はああするしか…」

輝人「言い訳すんな!」

栗栖「まぁまぁ!輝人も落ち着け!」

輝人を落ち着かせようと栗栖は声をかける
日奈子を心配しているのは、始達も一緒だ 

ゆに「ひなっち…」

航平「友達を助けるため…でもダメなんだ」

カンナ「折角効果も得られたのに、残念ですね…」

日奈子「そんな…」

折角彩耶華と和解出来たのに、アゲハ族を辞めることになってしまうとは考えられなかった
弁解しようとしても、輝人は聞く耳を持ってくれない

栗栖「輝人、日奈子ちゃんのエスポワールの効果を聞いたところ…目の前でやってみたら効果を発動出来たみたいだ。それだったら、バレるのは仕方ないんじゃないか?」

輝人「急だったとはいえ、もう少し工夫はあったハズだろ?それにやり方を改善すれば効果だって使えるんだ、目の前で使う必要はない」

栗栖「それはそうだが…でも輝人、お前アゲハ族じゃないんだろ?決定権は日奈子ちゃんを入れたツバサさんにあるんじゃないか?」

輝人「…!」

日奈子「…あ!そうだよね!?」

栗栖の話を聞いて、輝人は反応した
確かに輝人はアゲハ族じゃない、そのため元アゲハ族の輝人には決定権はない

輝人「…言っとくが俺が言ったのは探偵事務所の事だ。それで余計にネクロハンターがここを狙ってきたら…」

茜「明らかにアゲハ族を辞めろって発言に聞こえましたよ?」

輝人「勝手に解釈を…」

栗栖「見苦しいぞ輝人、都合の良い時だけアゲハ族を語るな」

輝人「う…(|||´Д`」

栗栖や茜に反論され、輝人は大人しくなる
つまり日奈子の解雇は白紙となった

日奈子「ホッ…良かった…」

茜「ちっとも良くありませんよ。探偵事務所の解雇は免れましたが、アゲハ族としては問題ですよ?」

カンナ「となると…どうしますか?」

カンナが質問したその時、コンコンッと事務所のドアがノックされた
ガチャッと開くと、そこから彩耶華が入ってきた

輝人「ゲッ!お前…」

日奈子「彩耶華…!」

彩耶華「……そこで少しお話は聞きましたわ」

栗栖「え?もしかして…全部?」

彩耶華「はい、日奈子さんが解雇だと言うところから…。詳細は詳しく分かりませんが、大切な事でしたら、私は他言しませんわ」

輝人「は?」

彩耶華が自ら「アゲハ族の事は内緒にする」と言ってきた
普通ならあり得ないが、輝人は警戒する

輝人「……お前何を企んでいるんだ?」

彩耶華「1つだけ、依頼があります」

真剣な顔になり、彩耶華は輝人を見る
以前は輝人の事を嫌悪して睨みつけていたが、今度は違う

彩耶華「私はまだ、貴方のアビリティの事は嫌いですわ。私の両親を奪った物と同じですもの」

日奈子「彩耶華…」

彩耶華「ですが…貴方は私の両親を殺していない、それだけ信用致します。そこで依頼があるのですが、貴方達の事を黙っている代わりに、私の両親を殺したネクロを探していただけませんか?」

輝人「!」

日奈子「え…」

栗栖「嘘…だろ」

彩耶華の口から依頼が出てきて、驚く
だが条件付きだ

ゆに「えええ…何か図々しくない?」

カンナ「私達の事を黙っているって…本当ですか?」

彩耶華「えぇ、私達の『アクアリウム』にも情報部隊は居ますが、未だに発見が出来ないんです。何としてでも、両親の敵を取りたいんです…!」

日奈子「彩耶華…!待ってよまた…!」

彩耶華「もちろん私1人では難しいと思います。だからこそ、貴方の力を借りたいんです。もちろん『アクアリウム』のメンバーにも…炎先輩にも黙っています!お金はもちろん、今は無理ですが、後で必ず…!」

日奈子「彩耶華…」

復讐心はまだ残ってはいるものの、前と違って憎悪の感情で持ってはいなかった
彩耶華は必死な顔で輝人を見る
その顔に栗栖は見覚えがあった

栗栖「…輝人、お前そっくりだよあの子」

輝人「は?」

栗栖「ルチアさんの敵を取りたいって言った時と、良く似てる。受けてやったらどうだ?」

輝人「……ったく、お前は本当に甘いんだから…!」

彩耶華の依頼を受けることにした輝人
それが伝わったのか、日奈子と彩耶華は笑顔になる

輝人「ただし条件追加だ。その犯人が見つかるまで、俺の命を狙うの禁止な?狙ったら即契約打ち切りだからな?」

彩耶華「ありがとうございます…!」

日奈子「良かったね!彩耶華!」

こうして輝人は彩耶華の依頼を受ける
また犯人探しで忙しくなるだろう
そして日奈子のエスポワールも効果が発動し、今後の活躍に期待だ


ー財前 彩耶華ー






『真アゲハ』キャラクタープロフィールの紹介


☆財前 彩耶華

①9月9日
②159㎝
③AB型
④紅茶
⑤ピアノ
⑥身体が柔らかい
⑦風城大学附属高等学校1年生
父、母
⑨近代鉈
⑩名古屋発祥のスポーツメーカー『財前スポーツ』のお嬢様だったが、ある夏の日に両親が、火を操るネクロによって殺される。
 それから両親の遺産が凍結してしまい、一文無しになってしまい、孤独となったところに『アクアリウム』の“館長”と出会う。
 誰も巻き込みたくないと言う理由で孤立していたが、日奈子に救われる。
 お嬢様だが、身体を動かすのは大好き。




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→名古屋市内でハロウィンナイトが開催!
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