真アゲハ ~第20話 茜ヶ久保 まゆ10~ | 創作小説「アゲハ」シリーズ公開中!

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「アゲハ族」
それは現在の闇社会に存在する大きな殺し屋組織。しかし彼らが殺すのは「闇に支配された心」。いじめやパワハラ、大切な人を奪われた悲しみ、怒り、人生に絶望して命を絶ってしまう…そんな人々を助けるため、「闇に支配された心」を浄化する。



輝人「…(#`皿´」

失踪事件後、輝人は報告書を書いていたのだが、機嫌がものすごく悪かった
それもそのはずだ

始「最後の最後でネクロハンターに持ってかれちゃったからなぁ…」

栗栖「輝人に近付かないようにね?」

もう少しでハーメルンにトドメを刺せると思ったのに、炎に横取りをされた
その事で機嫌が悪いのだが、報告書は書き進めた

ー“最後の最後は横取りをされて気分は悪いが、今回の事件は人の憎悪が起こした最悪な事件だった。『ハーメルンの笛吹き男』こと甘利芽衣華により、街の人々が次々に失踪して行く事件が起き、混乱に陥った。”

『…続いてのニュースです。名古屋市で起きた失踪事件が、ついに解決です。』

輝人が報告書を書いている横で、栗栖はテレビをつける
そこには、先日の失踪事件の事と同時に、甘利が起こした理由と行方不明の報道、そして『HAPPY!Bombom!』のケーキについて取り上げられていた

ー“犯人の甘利は灰になってしまったが、彼女の伝えたいことが分からなかった訳じゃない。添加物とは、お菓子の保存性や防カビ性などの力を発揮するが、食べ過ぎると身体にガンなどの異常が起きてしまう。その事をちゃんと伝えたかったのだろうが、それがこんな犯罪に発展してしまった。”

『嘘…!そんなに入ってたんですか!?』
『うちの子もそこのケーキ大好きだったんですが…もう食べさせない方がいいですね』

栗栖「やっぱり添加物がたくさん入っていたからって、悪く言う人が多いな…」

ー“今回の事件に巻き込まれた被害者達は、無事に家族や大切な人達の元へ帰ってこれた。笑顔ではあったが、写真を撮った事やケーキを食べた事で、トラウマを持ってしまった人がいるかもしれない。”

『今回の騒動の事で、愛知県洋菓子協会の会長である浅川金平さんからお話があります』

栗栖「あっ、浅川さんだ…」

テレビに浅川が映る
一礼をして、カメラに向かって話し出した

浅川『…この度は、愛知県洋菓子協会主催の洋菓子コンテストで、問題が起きてしまい、たくさんの方々にご迷惑をかけてしまったことを、心からお詫び申し上げます。すべての原因は私の友人の教え子が起こした事だと警察から聞き、とても残念でありません。』

栗栖「結局城塚さんも、気に入っていたからって女子生徒にセクハラとかしててそれが明るみになって、校長を辞めることになったしな。浅川さんはどう思うんだろう…」

輝人「ハッ、どうせ庇うような発言するんだろうな」

輝人が報告書を書きながらそう言うと、浅川が続きを話し出す

浅川『甘利が起こした事は、決して許さない事です。人々を危険にさらし、傷つけました。彼女が伝えたかった内容も伺っておりますが、これだけは言わせてください。添加物は、必ずしも悪ではありません』

栗栖「…!」

浅川『近年では、法律により、添加物の見直しが認められ、種類や量が規制され、様々な商品開発が行われています。中には豆腐を固める豆腐用凝固剤やベーキングパウダーなどの膨張剤、チューインガムに使われる軟化剤など、必要な添加物も出てきています。このように添加物が必ずしも悪と決めつけず、人々に必要な添加物もあると言うことを分かって欲しいです。』

栗栖「…そうだな。逆に安全すぎる食材ばかりでも、栄養になるとは限らないからな。要は、人々が美味しく、そして過不足無く栄養が取れればいいんだよな」

ー“皮肉であるが、食品に関する見方が変わったかもしれない事件だ。確かに添加物の取りすぎは良くないが、足りない栄養を補えたり、少しでも長い期間保存が効いたりする事は悪いことじゃない。どちらにしても、『見た目で判断するな』と言うことをよく知った。”

栗栖「…あ、そうだ。今日は茜さんは出勤出来なくなったって」

輝人「は?なんで?」

栗栖「それがさ…茜さんが言ってた絵麻さんって人の店が…」

ー“そう、もう1つ別の事件が起きた。なんと、茜さんが知り合ったドイツ菓子専門のケーキ屋さんに、少しずつお客が足を運んできているみたいだ。元々1人で切り盛りしていたらしいが、茜さんはたまにそっちに手伝いに向かうことになったらしい。多分もしかしたら、近い未来そのケーキ屋さんは、名古屋の名店になるかもしれない。”

絵麻「茜…ヶ久保さん!ケーキ出来ました!」

茜「絵麻さんありがとうございます。…ってわざわざアダ名で呼ばなくて良いですよ?」

絵麻「いえいえ、他の皆さんもよく茜さんと仰っていたので、私も慣れないと…!」

「あ、あのすみません…!」

絵麻「はい!いらっしゃいま…あら?」

店に新たにお客が入ってきた
入ってきたのはなんと、以前絵麻のケーキをバカにした女性達だった

絵麻「貴方達は…」

「あ、あの!この間は失礼しました!」
「お店や…ケーキの事を悪く言っちゃって!」
「それで謝りに…いえ、謝罪にきました!すみませんでした!」

絵麻「あらら…」

茜「まぁ」

「あ、あの…それで、ケーキを買っても良いですか?」

絵麻「!…良いですよ」

女性達に優しい笑顔で答えた
許してもらえたようだ

茜(また1人、ファンが増えたら良いですね)

その様子に、茜も微笑ましく感じた


ー茜ヶ久保 まゆー






『真アゲハ』キャラクタープロフィールの紹介


☆森口 絵麻

①2月1日
②165㎝
③O型
④ダークチェリー
⑤編み物
⑥果実酒作り
⑦パティシエール
⑧父、母、祖母(故人)
⑨装飾(デコレーション)
⑩名古屋市内にある小さなドイツ菓子店『Traum(トラオム)』のオーナー兼パティシエール。ほとんどの材料は自身で手作りしているほど、無添加にこだわる所がある。
 装飾(デコレーション)のアビリティを持ち、店内の装飾をその力で作った。実は店自体は安く、ほとんどの物は廃材を持ってきては作った。
 茜の数少ない親友である。





○NEXT●

→名古屋のアイドル達の住所が漏洩された!?
 それにより何人かのアイドルが姿を消し、マネージャーから依頼を受ける!
 次に狙われるは『TOY Doll』と言う地下アイドル!
 果たして守れるのだろうか…!?