真アゲハ ~第20話 茜ヶ久保 まゆ9~ | 創作小説「アゲハ」シリーズ公開中!

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「アゲハ族」
それは現在の闇社会に存在する大きな殺し屋組織。しかし彼らが殺すのは「闇に支配された心」。いじめやパワハラ、大切な人を奪われた悲しみ、怒り、人生に絶望して命を絶ってしまう…そんな人々を助けるため、「闇に支配された心」を浄化する。



始から連絡を受けた輝人が現れた
左手に火をつけ、拳をハーメルンにぶつける
続いて攻撃を行うのだと思っていたが、輝人の目線が炎に変わる

輝人「つかてめぇはなんでここにいるんだよ!」

炎「ネクロの首を狩りに来たんだ。丁度良い、こいつが終わったら次は貴様だ」

輝人「ふざけんな!死んでもこの首やるかよ!」

茜「亡くなってしまったらあげられないですよ…?」

ハーメルン「…グググ…」

輝人によるダメージを喰らい、もう1度笛を吹こうとした
だが輝人はそんなことをさせない
もう1度左手の拳で攻撃を行う

ハーメルン「グググ…!」

輝人「何度も笛なんて吹かせるかよ!」

ブオオオオオッ!

ハーメルンが再びブブゼラを吹き、強い音を出して守備を固める
しかし

輝人「オラァッ!」

ドォンッ!

ハーメルン「…!」

輝人の火の拳がハーメルンにぶつかる
ハーメルンの笛がまた止む
その様子を見て、炎は声をあげる

炎「…ちょっと待て!どうして近付ける事が出来る!?」

ハーメルンの強い音は、炎でも近付く事が出来なかったハズだ
なのに、輝人は身体にダメージが無い様に見える
その理由は1つだ

輝人「あ?対策出来てるからな!」

輝人はそう言い右腕を見せる
そこにあるのはゆに特製の腕時計
その中には以前手に入れた『盾(シールド)』の乾電池が入っていた

始「そっか!盾(シールド)!他の物理攻撃は防げなくても、ネクロのアビリティだけは防げる!」

輝人「『呼出(コール)』と知って、オーバーネクロになった時の能力を予想したんだ。以前『声(ボイス)』と似たような物なら、これが対策になるかと思ってな!経験の勝ちだぜ!」

炎「何だと…!?あいつ“も”…!?」

輝人が自信満々に話し、ハーメルンを殴りまくる

炎(くそっ…!離れての攻撃は俺にでも出来る…!だが使うには、ここは“暗過ぎる”…!)

輝人(後は頭をぶっ壊せば…!)

ハーメルンの頭が“核(コア)”で出来ているため、破壊すれば一発で終わる
しかしその時だった

…ピキッ…!ドゴォンッ!

輝人「ん?おおおっ!?」

突然天井から大きな音がし、上を見上げる
そこから大きな瓦礫が落ちてきた
輝人は気付いて離れるが、瓦礫がハーメルンとの間を塞いでしまった

茜「斑目様!」

輝人「…ゲッ!嘘だろ!?」

瓦礫は思ったよりも大きく、簡単に倒れそうにない

輝人「くそっ!もう少しだったのに!開けろコラ!炎!開けやがれ!」

ドンドンッ!と瓦礫を叩くが、その向こうには炎とハーメルンが2人きりだ
しかも、天井に大きな穴が開いたせいか、太陽の光が差し込んでくる
光はハーメルンに当たり、地面に大きな影を作る

炎「…ハッ!どうやら俺に運は味方してくれたようだな!」

太陽の光と、ハーメルンの影が生まれた事で、炎の口角が上がる

すると炎はあるものを取り出した
それは、輝人達が使っている乾電池と同じものだ

その乾電池を一旦口に咥え、左手の袖を捲る
そこには金属物のリストバンドを身に付けており、リストバンドの一部をスライドさせると、丁度乾電池が入る空間があった
口に咥えた乾電池を手に取り、何回か振ると、そのリストバンドに入れた

『影(Shadow)!』

乾電池からその声が響くと、炎の影が勝手に伸び出した
そしてハーメルンのブブゼラの影のところまで届く

炎「下手くそな笛もここまでだな!」

その影を確認しながら、炎は離れた場所から中国剣を振るう
丁度ブブゼラと中国剣の影が重なりあったその時、ブブゼラにヒビが入って壊れ出したのだ
突然壊れたことにハーメルンは驚くが、炎は飛び上がる

炎「笛は壊したが、近付くのは止めておこう。貴様に呼ばれているみたいでゴメンだからな」

飛び上がった瞬間、炎の影がハーメルンの頭部の影に届く
そして、そのまま思いっきり中国剣を突き刺した

ドスッ!

ハーメルン「ぎ…アァァアーーーーーーッ!」

影はハーメルンの頭部と中国剣が重なっただけだったが、同時にハーメルンの頭部にあった“核(コア)”が破壊された
“核(コア)”が破壊された事で、ハーメルンから黒い液体が蒸発し、小さくなっていく

炎「…ふぅ、何とかなったか…」

輝人「コノォッ!」

ドォンッ!と塞いでいた瓦礫が倒れた
輝人が蹴りを入れたのだ

炎「ようやく来たか、随分ゆっくりだな」

輝人「あぁっ!てめぇふざけんなこのヤロー!(#`皿´」

茜「すごい…1人で倒せるなんて…」

甘利「う…ううっ…!」

黒い液体がすべて蒸発し、元の姿に戻る
だが、甘利の顔色は良くなく、辛そうだ

甘利「たす…け……て……っ」

茜「甘利さん…」

炎「ネクロが助けを求めてどうする?もう貴様は死んだ時点で、終わってるんだ」

甘利「あぁ……う…」

炎の言葉を最後にバサァァー…!と甘利は灰になった
その灰を確認した炎は、乾電池と同じカプセルを取り出して、灰を数量入れる

輝人「おい!その灰、どうするんだ?」

炎「どうするも何も…狩った証拠を提出するだけだ。安心しろ、貴様も送ってやる」

輝人「ハッ!どこに送るかは知らないが…仕事横取りされて気分良くないんでね!この間の続きといこうか!」

炎と輝人はどちらもやる気だった
しかし、それは許されなかった

絵麻「茜ヶ久保さん!警察がやってきました!」

絵麻が戻ってきた
しかも、警察が駆けつけたらしい
その声を聞いた炎は、中国剣をしまう

炎「チッ、ここまでか」

そのまま、炎は廃ビルを去ってしまった

輝人「あ!コラ!逃げるなぁー!(#`皿´」