新アゲハ ~第62話 ビショップ・ロー・アザニエル12~ | 創作小説「アゲハ」シリーズ公開中!

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「アゲハ族」
それは現在の闇社会に存在する大きな殺し屋組織。しかし彼らが殺すのは「闇に支配された心」。いじめやパワハラ、大切な人を奪われた悲しみ、怒り、人生に絶望して命を絶ってしまう…そんな人々を助けるため、「闇に支配された心」を浄化する。



……どうして?

「…な、何か気味悪いな…!」

「近づかないようにしようぜ!」

……どうして……?

「な、何でもないよ……」

「悪魔だよ!悪魔!」

……なんで…?

……なんでいつも、僕の周りから人がいなくなるの?

「…引っ越してきました。ビショップ・ロー・アザニエルです」

……僕、何も間違ったことしてないのに……

「ここでは、たくさんの友達を作りたいです」

……なんで、そんな眼で僕を見るの……!?


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ソア「…ぷ!ビショップ!」

ビショップ「…!」

ソアに誘われ、ビショップは屋外のテラスに到着した
一瞬だけ、過去の記憶を見た様だ

ビショップ「……気のせいか……」

ソア「どうかしたの?」

ビショップ「いえ、すいません。ところで、どうしてここに?休んでいた方が…」

ソア「パダにもそう言われたわ。でも貴方の事が心配になって来たのよ」

ビショップ「心配…?心配するも何も、私は絶対にアゲハ族に勝ちますよ。心配されるほどの事でも…」

ソア「私ね、今少し戸惑っているの」

ビショップ「…?戸惑う?何を?」

ソア「…自分の気持ちに、よ」

そう言うと、ソアは大胆な行動に出た

ビショップ「…!」

ソアがビショップに、抱き付いたのだ

ソア「…私、貴方の事が好きなの」

ビショップ「え…」

ソア「…本来なら、ゾディアックはエクリプス様を中心に“家族”と言う状態よ。それは分かってるわ、でも…私は貴方を“恋人”として好き」

ビショップ「…!」

ソア「だから…戸惑うし、貴方の事が心配で来たのよ…!今言わないと、後で後悔すると思ったから…!」

ソアの顔は真っ赤だ
余程ビショップの事が好きみたいだ
そんなソアを見て、ビショップはソアを離す

ソア「え…?」

ビショップ「そ、そんなこと…言わないでもらえますか?言われたら…」

ソア「い、嫌だった…?」

ビショップ「嫌ですよ、だって……私だって戸惑うじゃ無いですか…っ」

ビショップは顔を右手で隠すが、見えている
ビショップの顔も赤くなった

ビショップ「……私だって、貴方と恋人になれるなんて……微塵にも思っていませんでしたよ。ですから、私にもこんな感情があるなんて、思いませんでしたよ!……“ソア”」

ソア「…!」

今まで幹部の名前で呼ばれていた
今回初めて本名で呼ばれ、ソアの気持ちが一気に溢れた

ビショップ「……ですが、いいのですか?私で?」

ソア「え?」

ビショップの顔が赤色から元の色に戻る
何かを話し出した

ビショップ「…私は昔、よく人に嫌われて生きてきました。間違ったことなんてしてないのに、周りは私から離れて行ってばかりで…。人間関係によく悩まされました…」

ソア「そ、そうだったのね」

ビショップ「本当に私でよろしいんですか?貴方が思っているより、全くの別人かもしれませんよ?」

ソア「……それでも構わないわ」

もう一度ソアはビショップに近付く

ソア「過去の貴方がどんな人だったのか知らないし、今はどうでも良いわ。私は今の貴方が好きなのよ、“ビショップ”」

ビショップ「…!」

ビショップも本名で呼ばれたのは初めてだった
お互い本名で呼ばれ、お互い同じ気持ちと言うことは、両想いだ

お互いの気持ちを確認した時、2人は目を瞑って、唇をゆっくりと近付ける

ソア「っ…」

ビショップ「……」

その時だった

ブゥゥンッ…!

ビショップ「…!」

バイクの音が聞こえ、ビショップは唇を離す
ソアも目を開ける

ソア「今の…」

ビショップ「…奏江竜也が来たみたいですね」

気持ちを切り替え、ビショップはいつもの表情に戻る

ソア「ビショップ…私も行くわ」

ビショップ「いえ、私にお任せを。これは…私の戦いでもあるので」

丸眼鏡をクイッと上げ、テラスの出口へと向かう

ソア「……」

ビショップ「…戻ってきたら、貴方の全てを見せてもらえますか?心だけではなく、身体の隅まで全てを…」

ソア「!……えぇ」