アゲハ ~第9話 スカル13~ | 創作小説「アゲハ」シリーズ公開中!

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「アゲハ族」
それは現在の闇社会に存在する大きな殺し屋組織。しかし彼らが殺すのは「闇に支配された心」。いじめやパワハラ、大切な人を奪われた悲しみ、怒り、人生に絶望して命を絶ってしまう…そんな人々を助けるため、「闇に支配された心」を浄化する。



哀幻波「意外にも呆気なかったな、ドクロ族は」

香留「うっ…!」

蝶「香留…!」

香留「来ないで!」

香留はムチで誰も寄り付かせないように振り回す
だが

ガシッ!バシッ!

哀幻波「痛って!」

蝶「兄さん!」

香留「なっ…!放せ!」

哀幻波「ったくこんなもの振り回してるんじゃねぇよ!」

…スパァンッ!

香留「あ…っ⁉」

哀幻波がムチを粉々に切った
香留を守っていたムチの盾は無くなった

香留「あ…あぁ…」

部屋には香留だけ
他のドクロ族はいない

哀幻波「さて、後はあんただけだぞ?スカル」

香留「…っ!」

蝶「兄さん、私が…」

蝶は哀幻波の前に出るが、

香留「来ないでよ!」

香留は蝶に向かって叫んだ

香留「あんたに私の苦しみなんて分かるわけない!」

蝶「香留、私は…」

香留「親の愛情だの親に対しての失望も感じたこと無いあんたたちに分かるわけないわ!」

蝶「香留…」

香留「なんでよ…なんでなのよぉ!」

香留は発狂し、心を爆発させた
眼から涙を流し、膝を床につかせる

香留「なんでこう上手く行かないのよ!なんで私のことばっかり避けるのよ!」

哀幻波「お、おい…」

蓮「香留ちゃん…」

香留「誰よりも努力して誰よりも犠牲を出してきた!それなのに誰も見てくれない!あの女に関しては私を死んだと思っているし!わ…私は生きちゃいけない人間なの⁉私は産まれてこなきゃ良かったの⁉」

哀幻波「おいあんた…」

哀幻波が前に出たその時だった

…パァンッ!

哀幻波「…⁉Σ((((;゜Д゜)))」

蓮「え…⁉Σ((((;゜Д゜)))」

ミカ「あ…(・・;」

蝶「…!」

部屋に響く何かを叩いた音

蝶が香留の頬を叩いたのだ

蝶「…それは言い過ぎなんじゃないの?産まれてこなきゃ良かったって…!」

香留「ちょ…蝶…」

蝶「授かった命を簡単に捨てようとしないでよ!」

蝶の眼にも涙が溜まってきた
ウルッとして、いつ流れてもおかしくない

蝶「私だって…!父さんが殺されたと知った時は父さんのところに行くってこの命を絶とうとしてた!刃物で自分の心臓をさそうとしたり、高いビルから落ちようとしたり、銃で頭を撃とうとした…!でも…兄さんに止められて、父さんの分まで生きて行かなきゃって説得されて…ここまで生きてきたんだよ!」

哀幻波「蝶…」

蝶「私は…周りが羨ましかった!周りの人達には両親が居て!お母さんは私を産んですぐ死んで…次は父さんが殺されて…!親の愛情だなんて全然知らない!甘えることも、怒られることも、励まされることもされてない!だから…分かんないよ…!」

哀幻波「…!」


一瞬だけ、哀幻波の頭の中にある記憶が蘇った

蝶『うぇぇ~~んっ…!』

哀幻波『蝶、どうしたんだ?』

蝶『お兄ちゃん!なんで私達にはパパやママがいないの⁉みんなが言うんだもん!親がいないのはおかしな子なんだって!おかしな子だから親に捨てられたんだって!』

哀幻波『…え⁉』

蝶『パパとママはどこにいるの⁉私、2人に会いたいよぉ…っ!』


哀幻波「っ…!」

辛いことを思い出し、哀幻波は眼を手で覆った
涙目を見せたくないからだ

蝶「…人は何のために産まれたのかは分からない。分からないけど…せっかくもらった命を簡単に捨てようとしないで…!お願い…!」

香留「…」






ー第9話 スカルー









○NEXT●
親の愛情を知らない蝶
親に失望した香留
ついに次回決着!