アゲハ ~第10話 須川 香留1~ | 創作小説「アゲハ」シリーズ公開中!

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「アゲハ族」
それは現在の闇社会に存在する大きな殺し屋組織。しかし彼らが殺すのは「闇に支配された心」。いじめやパワハラ、大切な人を奪われた悲しみ、怒り、人生に絶望して命を絶ってしまう…そんな人々を助けるため、「闇に支配された心」を浄化する。



美知瑠「おは…うわっ⁉蝶どうしたの⁉」

蝶「お、おはよう…」

静香「大丈夫?絆創膏だらけだよ?」

蝶「平気平気…」

ドクロ族のリーダーのスカルの正体が香留と分かった翌日
蝶は学校に登校した
顔や身体には香留から受けたムチの痕でいっぱいだったため、服は長袖のシャツや黒タイツで誤魔化せるが、顔は絆創膏を貼っていた

美知瑠「てかタイツって…寒いの?」

蝶「え?い、いや寒いじゃん…」

静香「まぁ、梅雨も近いからね」

美知瑠「あれ?今日香留は?」

蝶「!」

香留の名前にビクリとする蝶
教室を見回しても香留はいない

蝶(やっぱり昨日のこと…)

昨日の出来事を思い出す蝶

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昨日
蝶が香留に色々言ったあの後のこと

蝶「ハァ…ハァ……ッ」

香留「……」

スッと香留は立ち上がった
蝶を見る

香留「…じゃあ聞くけど、あんたらアゲハ族の“正義”って何?」

蝶「…え?」

哀幻波「正義…?」

香留「あんたらは闇の心を殺して、平和にさせようとする。…でも、その心を殺された人達が嫌な思いをしてもいいの?」

蓮「そ、それは…」

香留「ましてやまだ他にも救われていない人がこの世の中にたくさんいるのに…現に私だって救われてない。それなのに“正義”って言えるの?」

蝶「……!」

香留「言えないのに、アゲハ族語ってるんじゃないわよ…」

香留はそう言うと黙ってその部屋を立ち去った
蝶達はただ、香留のことを黙って見ているだけだった

ミカ「…蝶先輩、大丈夫?」

蝶「分からない…」

蓮「そうか…」

蝶「ううん、そうじゃない…」

蓮「え?」

蝶「……私達がやってることって…本当に救えてるの…?」

哀幻波「蝶…」


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蝶(あの後、跡形も無くドクロ族全員が消えていた…)

蝶はスマホのLIMEを開き、香留宛てにメッセージを入れる

『香留、今日は休み?』

と入れるが“既読”のマークは付かない

蝶(ブロックされてるかな…?)

ため息をついてLIMEを閉じた

香留『それなのに“正義”って言えるの?』

蝶(…確かにそうだ。今まで何も考えずに悪い人や罪人の心を殺して来た。でも…その後の事を考えたこと無い…。やってることが、本当に正義なの…?)

長谷川「はーい、席についてー」

教室に担任の長谷川が入ってきた

「おはよーございます!」

長谷川「えっと、ついに今度の木曜日に栃木で宿泊オリエンテーションがあります。そこで今日の家庭科の1時間はそれの確認をしたいと思ってます」

「おーっ!」

長谷川「それと今日なんだけど、須川さんが体調不良でお休みです」

蝶(休みか…)

長谷川「今の時期は気温の変化も大きく変わるから体調管理には気を付けてね?」

「はーい」

長谷川「では早速授業に入ります」