METアンコール2019マスネのウェルテル











































この演出〜〜












マスネのウェルテル第4幕
ウェルテルの書斎。駆けつけたシャルロットは、ウェルテルが血を流して倒れているのを見つけます。
「何ていうこと!神様!ああウェルテル、死なないで!答えて!」
「シャルロット、君か、許してくれ・・」
「あなたを追い詰めたのは私だわ!」
「違う、君は悪くない。僕は死ぬことで君の純潔を守り、君の魂を祝福することができる」
「助けて!ああ!」
「誰も呼ばないでくれ。君だけに居てほしい。もう誰も二人を引き裂くことはできない。
僕は満たされている。君を讃えて死んでいくことに」
「私もよ、ウェルテル愛してるわ。初めて会ったときから。でも自分が傷つきたくなくてあなたを傷つけてしまった・・・私たちの魂はひとつよ。最後にベゼを、このベゼですべて忘れましょう、悲しみも、苦しみも・・」
「すべて、すべて忘れよう!」
遠く大法官の家から、子供達とソフィーが歌う聖歌が聞こえてきます。
「ノエル・・救済の歌だ!始まるんだ、これから!」そう言いながらウェルテルは崩れ折れます。
「もう僕は死ぬ。シャルロット聞いてくれ。墓地のはずれのライムの木の下に僕を葬ってくれ。それが無理なら、誰も気づかないような道端でもいい。そして君がそこで涙を流してくれれば、僕の魂は救われる・・」
そう言って息絶えるウェルテルをシャルロットはかき抱きます。
「イエス様がお生まれになり、聖なる主がおわします・・ノエル!ノエル!・・」
遠くからの子供たちの聖歌と歓声で幕。
マスネのウェルテル第3幕
クリスマスイヴの夕刻。シャルロットは居間で一人物想いにふけっています。
彼女の心はウェルテルが占め、彼からの手紙を何度も読み返します。
「冬の灰色の空の下、私は独りだ。幸福だった頃を思い出す。君の可愛い子供達はもう僕のことを忘れてしまっただろうか?君はクリスマスに、と言ったが、もしその日に僕が現れなかったとしても責めないでくれ、どうか僕を憐れんでほしい・・」
ソフィーがやってきて、暗い様子の姉を心配し、クリスマスのディナーに誘います。
姉の心に気付いているソフィーの優しさに、思わず抱きしめます。
「神様、今まであなたの教えに従い義務を果たそうとしてきたけれど、もう勇気がなくなってしまいそうです。心がどんなに傷つき壊れそうか・・・どうかお支えください!神様!」
その時ウェルテルが現れます。
「ああ!ウェルテル!」
「もう戻るまいとずっと思っていたが、来てしまった・・」
「どうしてそんなことを言うの。みんな待っていたわ、父も、子供達も」
「君は?」
「・・・見て、この家は何も変わっていないでしょう」
「本当だ、何も変わっていない。心だけが変わってしまった。ここで一緒に本を読み、一緒に歌ったのに・・」
ウェルテルはクラヴサンの上にあった原稿を手にします。彼がオシアンの詩を翻訳したものでした。
「春風よ、なぜ僕を目醒めさせたのか・・・(オシアンの詩の詠唱)」
彼の歌に思わず震え涙を溜めるシャルロットを見て、ウェルテルは気持ちを抑えれらなくなります。
「いつまで心を偽るんだ、二人で勝利を勝ち取ろう、心を震わせる不滅の愛を!ああ、初めてのベゼ(キス)を、夢に見たベゼを!君は僕を愛している!僕を愛している!もう苦しみたくない。愛だけが真実。ジュテーム!」
ウェルテルの激しい求愛にあがらえなくなったシャルロットは、ついに彼の腕に身を委ねますが、その瞬間
「ああ、あなたは私の魂を絶望させた!もう会えないわ、さようなら!」と走り去ります。
その言葉に打ちのめされたウェルテルは死を決意して去ります。
アルベールが帰ってきて、気配を感じ、シャルロットを問い詰めますが、取り乱して答えられません。そこに召使がウェルテルからの手紙を持って来ます。
「僕は長い旅に出ます。あなたの家の拳銃を貸して頂けますか・・・お二人に神のご加護がありますように」
恐怖に震えるシャルロットに、アルベールは拳銃を渡すように命じます。
一人になったシャルロットは「神様、どうか間に合いますように!」と走って出て行きます。
マスネのウェルテル第2幕
9月。結婚して3か月たったシャルロットとアルベールは仲良く教会にやってきます。
アルベールはシャルロットに誠実に愛を語り、「僕は君を幸せにできているだろうか?」と尋ねます。彼の誠意を知っているシャルロットは、優しく「もちろんです」と応えます。
その様子を坂の上から見つめるウェルテル。
「ああ神よ、もし僕にあの天使と人生を歩ませてくれたなら、生涯あなたに祈り続けたのに、今はそうできない自分が恐ろしい・・・ああ、彼女が愛すべきなのは僕なのに!この僕なのに!」
興奮が覚めないウェルテルのところへアルベールが歩み寄ります。
「僕は君の気高く強い心をよく知っている。かつて君が見た夢のことも。そして美しく優しい彼女を得た自分の幸福もよく理解している・・・僕の苦しみに免じて、どうか許してほしい」
ウェルテルの心をすべて知ったうえでの、この誠実な謝罪に、ウェルテルも答えないわけにはいきません。
「嵐の後に波が静まるように、もうあの苦しみは過去のものです。今の僕の心には友情だけがあって、それが僕の喜びです」
ソフィーが花束を持って駆けてきます。「見て、お兄様!牧師様のお庭で摘んできたのよ。ねえウェルテル、一緒にメヌエットを踊りましょう。まあ、どうしてそんな暗いお顔をなさってるの、今日はみんな幸せでいっぱいよ!」
天真爛漫な明るいソフィーの声を聴いて、アルベールはウェルテルに「人は幸福を探し求め、追い続けるが、それは案外すぐ傍の小径にあるものかもしれないよ」と、暗にソフィーのことを薦めます。
彼らと別れたウェルテルは自問します。「僕は彼に真実を言っただろうか?彼女への欲望はまだ渦巻いていまいか?そうだ僕は嘘をついたのだ!ああ神よ、なんという、この止むことのない苦しみ!」
祈りを捧げるシャルロットにウェルテルは近づいてゆきます。
「あの甘美な日々は、なんて遠くなってしまったのだろう。ここで僕たちは見つめ合い、寄り添い、天からは崇高な光が降り注いでいたのに!」
「アルベールは私を愛してるわ。私は彼の妻よ」
「アルベールは君を愛してるって!君を愛さない人なんて誰がいよう!?」
「どうしてそんなことを言うの・・・お願いどうか遠くへ行って!会わなければやがて苦しみは薄らぐわ。どうか強く、正しくいてください!」
「・・・わかった、君の幸せだけを願おう。でももう二度と会えないなんて耐えられない」
「では、またお会いしましょう。クリスマスに」
シャルロットが去った後のウェルテルの心の叫び。(このテノールの歌は素晴らしく感動的です)
「彼女が望むように、彼女の心の平安を選ぼう。そして僕は永遠の休息を選ぼう。なぜ震えるのだ、死を前にして。この苦しみから逃れることを、天は責めるだろうか・・・旅に出ていた子供が予定より少し早く帰ってきたなら、父は少し腹をたてたとしても、その足音をきいて喜んで抱きしめてくれないだろうか。ああ、神よ、お許しください。主よ、私をお呼びください、私をお呼びください!」
ソフィーが金婚式の行列が来るから、と呼びにきます。
「許してくれ、僕は行く、二度と戻らない。さよなら!」
と走り去るウェルテルを茫然と見送るソフィー、アルベール、シャルロット。
金婚式の行列が、歓声と共に華やかに通り過ぎてゆきます。
マスネのウェルテル第1幕
あらすじ(ウェルテル)
(1幕)
まだ7月だというのに、大法官の庭では彼の小さな子供達がノエル(クリスマス)の歌の練習をしています。乱暴な歌い方に「ノン、ノン!シャルロット姉さんにそんな風に教わったのかい?」と言われると、子供達は急に奇麗な声になり、大法官は「そうそう」とご満悦。
そこへ彼の友人たちが来て、「今夜の舞踏会はシャルロットは誰と行くのかい」「ウェルテルは知的で上品だが、ちと暗いな・・」などと噂話をし、後で飲みに行く約束をして帰っていきます。
家の門にウェルテルが到着します。
大法官の家の、自然に囲まれた涼やかな美しさに感激してO nature, pleine de graceと讃える歌を歌います。
歌の練習を続けていた子供達は、シャルロットが来ると「シャルロット!シャルロット!」と喜んでまとわりつき甘えます。シャルロットがパンを切り分けて配ると、口々に「メルシー、姉さん」と可愛く応えるのを、ウェルテルは夢のように恍惚として眺めます。シャルロットの清廉な美しさに一目で心奪われるウェルテル。
ウェルテルに気付いたシャルロットは、「すみません、お待たせして、私が子供達の母代りに世話をしてるもので・・」と楚々として言い、妹のソフィーに小さい子たちの世話を頼んでウェルテルと二人で舞踏会に出かけてゆきます。
大法官も友人との約束の酒場に出掛け、暗くなった後にアルベールがやってきます。シャルロットの婚約者の彼は、半年ぶりに仕事の旅から帰ってきたのです。
ソフィーは「まあ、どうして知らせてくれなかったの、シャルロットは今日に限っていないのよ、でもお兄様が帰ったのを知ったら喜ぶわ!」と言い、アルベールも愛するフィアンセに思いをはせます。
夜が更け、シャルロットとウェルテルが舞踏会から帰ってきます。
「もうお別れしませんと。家に着きましたから・・」というシャルロットに、ウェルテルは「ああ、僕は永遠にあなたの優しい瞳を見ていたい。それが僕の希望、喜びだ・・」と熱く語り始めます。
「・・・でも、あなたは私のことを何も知らないわ」と微笑んで遮るシャルロットに、
「いや、僕はあなたの魂を感じることができる。この世で一番美しい、素晴らしい人だ」と譲らないウェルテル。
亡くなった母のこと、幼い弟妹への思いを語るシャルロットに、ウェルテルはますます感動し、 「夢のようだ、なんという至福!僕が命にかけて君を守ろう、ああシャルロット愛している!」と一気に迫ります。
しかしその時、家から「シャルロット!アルベールが帰ってきたぞ!」という大法官の声がします。我に帰るシャルロット、婚約者の存在を知って絶望するウェルテル。
オペラ、マスネのウェルテル
『ウェルテル』(Werther)は、ジュール・マスネが作曲した全4幕のオペラ。ドイツの作家ゲーテのシュトゥルム・ウント・ドラングの代表的小説『若きウェルテルの悩み』を題材にしている[1]。抒情劇(ドラム・リリック)と呼ばれることもある。 『タイス』や『マノン』と並んで、マスネの代表作の一つとして数えられる。劇中の「手紙の歌」や「オシアンの歌」などは単独でも歌われる有名なアリアである。
作曲の経緯
マスネの回想録によれば、1886年に楽譜出版社のジョルジュ・アルトマンと共に、ワーグナーの『パルジファル』を観劇するために初めてバイロイトへ旅行し、その帰途ヴェッツラーに立ち寄った際に、アルトマンが[2]マスネにゲーテの原作(フランス語訳)を渡されたことが作曲のきっかけであるという[3]。マスネは原作を読んで、「熱狂と恍惚に満ちた情熱に思わず涙を流さずにはいられなかった」と語って感動し、涙したと伝えられ、「素晴らしいオペラになるに違いない」と予感したという。しかし実際には『若きウェルテルの悩み』をオペラにする構想を早くも1880年頃にすでにしており、これは友人たちに宛てた手紙の中で言及している。そして1885年から作曲に着手している。
1887年に総譜を完成させ、オペラ・コミック座の支配人レオン・カルヴァロに上演を依頼するが、カルヴァロは聴衆には陰鬱すぎるという理由で断られてしまう。さらにその年の暮れにコミック座は火事で焼失してしまい、『ウェルテル』はしばらくの間お蔵入りとなってしまう[4]。
初演とその後
『ウェルテル』の初演の機会が得られない最中、1890年に『マノン』がウィーンで初演され大成功を収め、この成功を受けて、宮廷歌劇場側が既に完成していた『ウェルテル』を非常に興味を示したため、ようやく初演が実現し、1892年の2月16日にドイツ語版によってウィーンで初演されて大成功を収め、同年中にヴァイマルなどドイツ各地で上演されている。 パリ初演は1893年の1月16日にコミック座で行われたが、失敗に終わってしまい、翌年にはレパートリーから除外されてしまう。しかし1903年にアルベール・カレが同劇場で再上演を行った際は、徐々に人気を高め、パリのみで上演された回数は1300回以上を記録している[5]。現在は最も人気のあるオペラとして上演され続けている。













