「女はダメ。男の人はちゃんとやるのよ」と言ったのは母。
何の話かって?
介護ヘルパーのこと。
母は要介護になってもうじき5年目となる。
熱中症から脳梗塞になり、少しの高次脳機能障害が残った。
一見、少しの物忘れがある感じの老人。
しかし、視野が欠けているので、急須でお茶を入れるにも湯呑の端にチョロチョロ。
日時感覚だけが著しく悪いなどは、どうみても後遺症だ。
脳梗塞後は、とてもとても家で一人住まいは無理に思えた。
夢うつつな妄想がそこかしこに現れていた。
死んだ人、生きてる人関係なく、家族が病室の隣のベッドにいるとか、
亡くなった(はずの)人が、別の病室にいてリハビリの広場に偽名で来ているとか。
病院からリハビリ病院、その後、老健とルール通りの行先を経て、家に戻れたのは1年後だった。
それから、老健でもヘルパースタッフの世話にはなっていたが、家に来るヘルパーや、デイサービスのスタッフに慣れるには日数がかかった。
特にうまくいかなかったのは、女性ヘルパーとの関係。
同性ということもあるが、どうやらそれだけではないことがつい最近わかったのだ。
問題だった一つは、あまり気の合わない女性ヘルパーが来ている時、勝手に外に出てしまうこと。そもそも一人で外出するのは後遺症の問題から禁止していた。
そしてヘルパーがいるのに、本人不在というのはあり得ないのだ。
なぜ、そんな行動を取ったのか聞いてみると、結局、その人が気に入らなかったことが根底にあった。
その当時は、わがままばかりで困ると手を焼いていたのだが…
現在では、そういうこともなく、ほぼ全ての介護サービスのスタッフとは、おおむね良好な関係になっている。
しかし、先日、新しい介護施設にお試しにとショートステイに行ってみて問題が。
独居の母は、ゆくゆくは特養行きが見えているので、慣れるテストのつもりだった。
そして、2泊3日のショートステイから戻ると、何やら文句を並べていた。
BGMにずっと演歌がかかっていて、頭がおかしくなる…とか。
ごはんがすごい不味いとか…
建て替えで新しい施設だっただけに気に入ってもらえずがっかり。
しかし、スタッフはどうだったか?尋ねると、悪い印象は無いという。
それは唯一の救いだったが、よくよく聞いてみると、
男性のスタッフは、すごく親身で丁寧だが女性はそこそこだったとか。
ここまで聞いて私は、母が言う「女はダメ。男の人はちゃんとやるのよ」が何を指すのかが理解できた。
一般的には、一見これは逆なような気がする。
女性の方が細やかで…気が利くと。
確かにそういう側面はあると思う。
けれど、私は、つい先日同じような印象に気づいてしまったのだ。
それは、スーパーに子連れで買い物に来ているお母さんとお父さんの違いだ。
子連れの母は、子どもに無関心か、子どもをせかしていたり、怒鳴っていたりする人が多い。
しかし、子連れの父は、子どもが売り場の何かに集中していたりすると、それが終わるまでじっと待っていたりする。
だだをこねる子に「それは買わないよ」と言い続け、子どもとの押し問答にキレずに何分も続けていたりする。そして、声を荒げたりする父はほぼいない。
男の人は仮面が厚いから、人前で子どもを怒鳴ったりすることを恥じているのかもしれない。だからそうならないのかもしれないが…
ここで、男女の差が何なのか、私が思ったことは…
女の人は、この時、子どもに注視しているのではなく、自分の仕事(ここでは買い物)をどれだけ予定通りに片づけるのかが最優先になっている。
それに対して、男の人は、子どもと買い物に来ていること自体が目的になっているので、時間通りに帰るとか、そういう行動にならないのではないかと。
つまり、子どもを自分の都合で黙らせることに躍起になるお母さんとは違うのだ。
股を押さえてもじもじしながら、買い物する母に付いて回る子のなんと多いことか。
いつも私は、そういうシーンを見るにつけ「子どもをぜんぜん見ていないんだな」と思っていた。
もちろんね、お母さんはバカみたいにひとりでタスクを抱えて、それどころじゃないのはわかる。
でもその違いは、介護ヘルパーも同じなんだろうな…と思ったのだ。
女性のヘルパーは、仕事が雑と母は言う。
母の言う「雑」というのは、次々仕事を終わらせたくて、介護するべき高齢者を見ていないという意味。ながら作業の合間に高齢者を見ている感じ。
男の人は、高齢者のケア自体を仕事の最優先にしているので、集中して丁寧に話を聞くし、手助け自体も相手に沿っているのだという。
つまり、大切に扱われている感に違いがあるということらしい。
となると、生物学的にマルチタスクでない男性の方が、本当はケアの仕事にむいているのかもしれない。
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