『逐玉 Pursuit of Jade』
2026年 3月〜 中国 全40話
監督 曾庆杰(曾慶傑)
出演
樊长玉(樊長玉)→田曦薇
谢征(謝征)・言正→张凌赫(張凌赫)
『逐玉 Pursuit of Jade』
2026年 3月〜 中国 全40話
監督 曾庆杰(曾慶傑)
出演
樊长玉(樊長玉)→田曦薇
谢征(謝征)・言正→张凌赫(張凌赫)
『逐玉 Pursuit of Jade』
2026年 3月〜 中国 全40話
監督 曾庆杰(曾慶傑)
出演
樊长玉(樊長玉)→田曦薇
谢征(謝征)・言正→张凌赫(張凌赫)
騰訊視頻・愛奇藝・Netflixで同時配信して、どれもジオブロなしで日本から観られるのは初じゃないかな。相当力を入れてるのか、大陸日本間の配信形態が段々変わって来てるのか謎だけど、なんというかありがとうございます笑(NetflixはWBCと被るので愛奇藝で視聴します。)
ネタバレ 第1話~第5話。
元々、主演二人の顔面は強いんだが、この作品で更に美しく見えるのはこの監督だからかもしれない。過去作の造形も概ね美しく、視聴者の心を掴む演出はいちいち要所を押さえている。
豚を捌いて肉を売る長玉は、男にも引けを取らぬ力持ちで武術にも長けている。生活は苦しく金はないが、妹の面倒を見ながら両親の残した店や家を守る健気な娘である。
長玉には、幼い頃から父親が援助していた宋硯という婚姻を決めていた男がいたが、散々金をむしり取ったあげく、禍を呼ぶと占われるとすぐに約束は違えられてしまった。宋硯の母親にも問題はあるが、なんだか煮え切らない男で気に入らないな、、、
裏切られてもくよくよせず逞しく生きる長玉は、あるとき雪に埋まった瀕死の謝征(言正)に遭遇するが、自分に病人を養う余裕はないと葛藤しながら一度は見て見ぬふりをする。
その後、呪文のように「回家吧回家吧」を繰り返し、それでも「我来救你了ーー!」と踵を返して救いに向かう長玉には可愛すぎて笑った。ここで瀕死の人間を見捨てることは彼女の良心が許さず、189㎝もある大男をおんぶして家まで連れ帰った長玉が「豚を捌いてあなたを養う。」と繰り返し口にする姿は実に頼もしく、この先に楽しみしかない。
周りの友人や趙夫婦、そしてこの村では権力を持つ王捕頭に支えられながら、敵ばかりでない長玉の環境にも安心感がある。
1話最後の張凌赫ヤバくね、儚さと透明感の極みだよ。
綺麗なお兄さんにポーっとしているまんまるお目々の田曦薇も相当なもんだけど。可愛いすぎやん笑
謝征は戦の過程で傷を負って瀕死だったわけだが、どうやら軍を率いて数々の戦を制してきた武安侯という、いわゆる貴族階級の人間である。長玉には身分を偽って言正と名乗り、実際は皆の英雄で軍を率いる将軍という点で、少女大人での役柄と被るところがある。正体を知らぬ長玉が謝征を敬愛している姿を見せる流れも少女大人と同じく妙であり、先が楽しみでしかない。
朝廷では亡くなったことにされているが、オジ達の誰が敵で誰が味方なのか今のところは分からず、四方からその行方を捜されている。敵国との戦と思いきや自国の敵に嵌められたのかもしれないね。
一旦、身を隠さねばならない謝征は、ちょうど樊家の財産を狙う伯父の存在に煩わされていた長玉と利害が一致し、婚姻を結ぶことになる。
つづく
追記ネタバレ 第6話~第7話。
以前、伯父を脅して土地の権利書を漁っていたチンピラ四人組が、別の雇い主の命で再び長玉の前に現れる。よくよく中身を知れば、チンピラも性根が腐っているわけでなく、家族のためにやむを得ず悪事を請け負って銭を稼いでいたことが分かる。
長玉の人格に引っ張られ、一気に素直で善良な部分が露わとなったチンピラ四人の人生が、この出会いによって光に導かれるのかと思ったらなんだか胸が熱くなったよ。悪事の仕返しに向かう長玉へ、頼まれずとも護衛のようにして付いて行く姿が実に愛しかった。
長玉は、誰に頼ることなく自身の力で立ち向かうその心が逞しく、そこが周囲を惹き付ける要因でもある。
このように人間性が高く肝の据わった長玉が、ただの肉売りの娘ではないことは薄々分かっていたが、おそらく山賊に命を獲られたという父親は将軍、もしくはその片腕か何かだったんじゃないか。父親と、謝征の回想に登場した賀将軍とは顔面が違うため、賀将軍ではないんだろうが、太刀筋は共通したものがありそう。
ほどなく伯父が何者かに命を獲られる事件が発生する。そのせいで疑われた長玉は囚われてしまうが、同じ頃、謝征も謎の黒づくめ集団に命を狙われていた。
次から次へ現れる刺客に、治りかけた身体は再び傷だらけとなるが、長玉と寧娘を逃がすことを優先し、本人は命が尽きることも覚悟はしたんだろう。しかし視聴者の期待通りに戻って来た長玉が再び謝征の命を救う。喰われそうになっていたあの伝書隼も鳥とは思えぬ賢さでその一端を担う。
このように出会って間もない期間で、同じ境遇の二人には互いしかいないと思わせる強い繋がりが既に生まれているが、これが全く不自然に感じないのは描写の美しさと演出の妙なんだろうと思う。役者を美しく見せる腕がどこか傑出している。
玄鉄死士と言われる刺客集団は魏家に属しているようだが、謝征を狙ったのでないなら、長玉の父親が何か関係してるんだろうか。魏って、亡くなった謝征に称号を与えることを渋っていた丞相で、回想では謝征が舅舅と呼んでいたイケオジだよね。コイツが黒幕で、謝征と長玉に共通する親の仇なのか?あれだけイケてるならただのモブでは終らなそうだし。
あの人形劇がこれから起こる出来事なら、いずれ長玉の出自が明かされて二人で戦場に就くことになるんだろうが、それまでに築かれる強固な絆までの過程が楽しみ。口にせずとも互いを思いやる姿に今でも既にときめいているけど。
追記ネタバレ 第12話~第13話。
浅姐が過去の出来事でトラウマ級に恐れている仮面の男が齊旻で、地下に隠している息子の寶兒は、おそらく齊旻との間の子か、、、現在は風貌や声を変えているため確証はないが、当時の感覚を呼び起こす禍々しい気が浅姐を焦燥させている。
一方の齊旻は、ひたすら浅姐とその子供を捜していたようだが、この執着は生半可ではないね、ただしねっとりとした視線が鄧凱だとどうも面白さが勝ってしまうな笑
このねっとり齊旻が酒楼に居座ることに耐えれられぬ浅姐は、ひとまず偽の夫として謝征を借りることにする。今や長玉の願いは一つたりとも断れない謝征おもろい笑
この齊旻が米商人を名乗って、そこら中の食糧を買い占めているため、長信王の侵攻を食い止めている魏宣率いる軍の元へ送る食糧が不足している。この話は既に謝征の耳に入っていたため、齊旻と対面し、商談と見せかけ敢えて自身の身分を晒したように見えた。
以前、謝征が謹州の件を調べ始めたことについて、魏相の推測では、そう仕向けた何者かの存在があると言っていた。どうやらその何者かが齊旻だったようだね。
続けて齊旻が、父王は自分を気に掛けたことはない、どうせ世子の地位は随元青のものだ。と言っていたことで、齊旻が随家の息子だということが分かるが、脳内では随家ってどこよ?となっていた。
後に、魏相にも謝征が謹州の件を調べるきっかけとなった何者かが、長信王側の者だったことを知らされる。
「随家は私の計画を壊そうとしている。」魏相のこの言葉で、なるほど、随家の主がすなわち長信王で、齊旻はその息子なのかとなる。ただし齊旻は、自分を顧みぬ父のために事を起こしているわけでなく、謝征を自分側に付けて利を得ようとしているだけである。その勢いでいずれ随家の跡取りも狙っているのかもしれない。なにしろ目下夢中になっていることは、浅姐とその息子を手に入れることで、さほど政権争いに興味はないんだろう。
それにしても、謝征へ探りを入れに行った齊旻の手下が全てを俯瞰的に把握していることが謎でしかないのだが、何でそんな詳しいんだっけ笑
一方の謝征は、自身の目的を密かに進めながら、樊家で若夫婦とその娘(寧娘)のような風体で穏やかな日々を送り、完全に心地良くなっている。
政局が騒がしくなりつつあり、ここを去る日も近付いているが、そんな様子は一切見せず、店を手伝えば娘衆にキャーキャー言われる日々を3人(+趙夫婦)寄り添い絆は深まるばかりである。それでもいつか去って行く未来は変わることなく、夢のような時間は儚く終わってしまうんだろう。鍋をつついて新年を祝う皆の笑顔は眩しいのに、なんだか心にはすきま風が吹く。
つづく
追記ネタバレ 第14話~第15話。
新年を祝った記憶があまりにも遠く、その感覚も朧げだった謝征にあの時の温もりがよみがえった日、貰った赤袋の中身はやはり銭だった笑
ニアミスにニアミスを重ね、未だ夫婦らしい繋がりは皆無だが、互いを想う距離は着実に近づいている。
浅姐に仕組まれ、いずれ去って行く謝征の子だけは残せる機会を得て、一応、長玉なりに誘ってはいたようだがそこまで本気でもないんだろう。長玉なら、去って行く男に縋りつくことなく、潔く吹っ切って逞しく生きていけそうである。それでも去って欲しくない気持ちはきちんと伝え、それが望んだ反応でなくとも受け入れる準備はあるのだと思われる。帰ってくるよね?という問いに何も言えぬ謝征を窺う長玉の目にその気持ちが見える。
逆に戦略以外で脳内を悩ますことのなかった謝征は、手放すことを惜しんで別れまでの日々を悶々と過ごす。「ここを去れば再び会うことは困難になるよ。」「留守中に謝家を守ることの出来る強い女性が必要だろ。」などの公孫鄞の言葉が脳内を巡り、連れて行こうか、しかし連れて行けば自由を奪うだけだから、この無限ループで、普通の人間さながら長玉の存在が大いに謝征の心を悩ませている。
これひょっとして、このまま連れて行っちゃうんじゃないんだろうか。こんなに心を寄せてしまったら、自分に言い聞かせることより手放したくない気持ちの方が勝ってしまいそう。
同じようにして公孫鄞も、長公主と李懷安(李太傅の孫)の婚姻をそのまま傍観するしかなさそうだが、その李懷安の謎めいた立ち位置は、謝征や賀将軍と同じく、国を守るための大義を持ち、悪事などとは無縁だったようだ。李太傅の言うことが事実なら、全ての元凶は魏相であり、17年前から皆がこの悪事に巻き込まれている。それでも人物像の見えなかった李太傅がやけにまともに思えたため、そう簡単なんだろうかと少し疑っている、、、
戦の緊張は高まり、長信王へ到底歯の立たなそうな魏宣が、足りない食糧を百姓から徴収する暴挙に出て、庶民にも混乱が生じ始めている。戦はもう目の前。
そして今回、祖父が言いかけた過去の事情が明かされる。長玉には、父親が国を背負ってきた一端だったとまでは分かっていないが、この事情を謝征は既に知っている。となると敵は同じ魏相となるため、事実をいつ明かすかで共に進むのか否かの未来は変わってくる。
ほどなく浅姐の酒楼が貶められる事件が発生するが、これもおそらく今にも始まるガチンコ戦の波紋の一端なんだろう。浅姐の命は齊旻が居座っている以上、心配はないとおもうが。今回は、齊旻の本名が随元淮という情報をゲットした笑
今回の、ラッキーなだけの現世報でもないような壁ドンの衝撃で、外灯が揺らいで雪が降り注ぐ演出は、一番距離が近付いた動揺をスローで表現してより効果を生んでいた。
おお、超えたねぇ。
Netflixで華ドラがランキングに入ったの初かも。
つづく
追記ネタバレ 第16話~第17話。
長信王跡継ぎの随元青がどんな奴かと思えば、クズじゃねーか笑
魏宣が足を引っ張る中、随家の策略で西固巷は乗っ取られる危機に陥り、一気に戦火が降り掛かる。
暴民と化した百姓を扇動して殴り込んできた者達を収めるため、謝征と共に囚われた県令を救い出すことになった長玉だが、あのしょうもない県令を助ける意味あったんだろうか、、、県主に恩を売れたことだけには価値がありそうだけど。それでも着実に準備していた謝征のおかげで、百姓の暴走を収め、随元青を手負いとして城から追い出すことに成功する。賀将軍とは言わずとも理解し合う謝征だが、そこに加わるほどの状況判断力を持つ李懷安は、これからも頼りになりそう。
ただしこの過程で随元青との絡みのあった長玉は、豚扱いの平手打ちで「おもしれー女」をいただいた上、謝征の弱点ということも知られてしまった。崖落ちしたものの、おそらく命は落としてないと思われるこのクズに、これからも長玉が執拗に追われるかと思うと気が重い。同じようにして、劣等感の塊である魏宣に命を狙われる謝征も気の毒だが、イマイチ魏相の考えていることが謎だな。幼い謝征へ期待を抱き育ててきた情をそう簡単に捨てられるんだろうか。魏相の妻が、跡継ぎが生きていたと喜んでいたんだが、魏家は謝征に継がせるつもりなのか?
緊張感の続くなか、随元青を追い立てる前の、「老地方見」でちっとも通じていないのが笑えるが、その場所が正解だったのは、おそらく一生懸命考えたのちに謝征を拾った場所だと見当を付けたんだろう笑
そんな長玉の思考回路などをのんびり考えていたのに、二人が会話を始めた途端、事態は急変する。
え、、、ケンカ別れなんですか、、、
こんな唐突に別れが来るとは予想外だったが、目の前に戦火が迫った以上、謝征は自身の責任を果たすために帰還せねばならない。いつもながら長玉は、謝征の持つ目的を優先し、無理に引き留めずに関係の清算をしようとしているが、それが突き放されているように感じる謝征はただ悲しかっただけなんだろう。売り言葉に買い言葉で思ってもないことを口にする姿はどこか虚しい。
今や張凌赫の强吻は定番となっているが、ジレンマの中で荒々しく唇を奪った後の謝征の告白は、必死で自分の想いを飲み込んで送り出さねばならない長玉にとっては逆効果となる。
このようにして、互いに憂いを残したままの別れには侘しいものがあるが、気持ちまでが離れたわけではない。未だ謝征の正体を知らぬ長玉は、悔いを残したまま徴兵された夫の安否に心を痛める日々となる。
村の男衆は、愛すべき舎弟四人組や趙大叔も軒並み徴兵され、視聴者にとっても辛いところだが、無事帰ってきてくれたらそれでいい。落ち込んでいても、託された舎弟家族の面倒を見ながら残った趙夫人や寧娘と寄り添い、これまで通りどうにか生き続ける思いは手放さぬ長玉がどこまでも頼もしい。
浅姐と寶兒だけは西固巷を去ることになるが、どのみち齊旻に捕まってしまうんだろう。使者を殺め、親父の命は全然聞かないのな、この人笑 狂気の沙汰だが想いは一途。
その脇で「え?その傷、樊姑娘にやられたの?ねえねえ?」この公孫鄞の緊張感の無さが、重苦しい雰囲気を緩和してくれる貴重な存在だと思うよ笑
つづく
追記ネタバレ 第18話~第19話。
予想を超える西固巷の殺戮に震えた2話。
清風寨に住まう山賊を唆し、意気揚々と現れた随元青の目的は、武安侯の弱点である長玉を手に入れること。そのためだけに夥しい血を流し無辜の命を奪う。
表現する言葉が見付からないほど地獄絵図の中、意地悪代表だった康婆の死に様に胸を抉られる。奪われてばかりの身内の中で一人残った小虎と、生まれた頃から知る寧娘を守って逝った康婆は、意地悪に見えても人として一番大切なものは持っていた。
このようにして、散々視聴者に憎ませてから最後に輝きを持たせ、結果的に強烈な印象を残すようなキャラ構成が上手い。普段こんな役柄はあっても無理矢理すぎて全く響かないヤツも多いが、喧嘩しながらも寧娘の小虎への感情は悪いばかりではないと思わせるくだりで、長玉が康婆へ抱く思いも同じなんだろうと推測出来る筋書きが巧みだと思う。
隠せるだけの村人を地下へ隠し囮となった長玉は、たった一人で男衆の前に立ちはだかり激しい戦闘を行う。崖の先端まで追い詰められ、辱められるくらいなら死を覚悟して落ちてゆく表情には、その自分を誇るような美しさがあった。長玉にはその精神にも肉体にも勿論顔面にも欠点が見付からないわ、、、
この知らせを受けた謝征が長玉の捜索に使うのは、鳥とは思えぬ賢さを持つ伝書隼だが、毎度期待を裏切らずいい仕事をしてくれる。
隼隼を必死に追い、蔦に引っかかった長玉をみるやいなや、その表情は武安侯から夫が妻を思う表情に変わる。大事に繰り返し布団にくるみ、変わり果てた長玉の姿に心を痛めて涙する謝征には、その芝居からとびきりの愛が見えたよ。
献身的に癒した謝征のおかげで、ほどなく長玉は目を醒ますが、謝五を敵と勘違いしてその場を飛び出してしまう。いやそれは君の愛する男の手下だよ、、、というじりじり感が襲う中、再会した謝征は面具付きであり、存在に気付かぬすれ違いが更にじりじり感を誘う。
とはいえ事情を知らない長玉の立場では、このくらいの警戒心を持たねばこの先、生き延びてはいけないだろう。
「待っててなんてよく言えるね。」この言葉と嫌悪感に満ちた長玉の表情を最後に別れた謝征は、これ以上嫌われることを恐れて面具なしでは対面出来なかったのだと思われる。林安鎮で過ごした日々の中で確かに心の通い合った瞬間はあったはずだが、今ではその確証も揺らいでいる。
正体を隠せば長玉の真意を知れるという思いで、あの状況ではまるで見当違いの問いばかりを繰り返す謝征の姿に、冷静になれば長玉も気付けたかもしれない。ただし敵だと勘違いする長玉が真意を晒すはずもないよね。ともかく今の状況はそれどころではなく、自分が夫に贈った發帯が自身の髪に戻ってきていることにも気付いていない。
一旦、長玉の無事を確認した謝征は、そのまま正体を明かさず、長玉の行方を捜索中だった李懷安へ委ねた格好となる。賀将軍に託された姉妹の命はどこまでも遵守する李懷安の義の堅持には安心感がある。
村へ帰れば、幼い頃から慣れ親しみ、支えとなってくれた大事な人々はほとんど命を奪われ、待っていたのはわずかに残った村人のみ。それでも趙大娘が生きていてくれたことにはまだ救いがあった。
この悲惨な状況でも、思いやりを失わず懸命に村人の墓を建てる長玉には胸が痛む。寧娘の行方も分からず、崩れ落ちる姿は苦しすぎたが、くよくよ留まらずに、寧娘を見付け出すための歩みは決して止めない長玉は逞しく眩しさしかないよ。
その寧娘は、清風寨の頭の妹、十三娘に拉致られて随元青と合流していた。寧娘の存在は、武安侯を貶めて長玉を手に入れる格好の材料となり、大喜びする姿が心底憎たらしい、、、水筒を渡して水を飲ませる優しさはあるのかと思えば、水汲んでこいよ、俺用の、とか言っちゃってるし、我らが寧娘を怖がらせて悦に入ってんだが、悪戯を覚えたての子供かよオマエは。
反面で、十三娘の人格には少し期待している。兄を奪われ復讐の鬼と化しているが、話が分からない人間ではなさそうだし、寧娘を大事に扱い、愛らしい謝謝姐姐に既に絆されている。
清風寨山賊の100倍もの戦闘力を持つ血衣騎を以てすれば、寧娘を捜し出し、奪い返すことは容易に出来そう。
一方の浅姐は、齊旻の狂気に付き合わされる日々をどれだけ送らされるのかと思うと不憫でしかない。やっと家族が一つになったと齊旻だけは満足気だが、このまま狂人で終わるのかなこの人、、、弟の随元青と睦まじそうにしていた姿も、それが真意でないのは明らかで、いずれ後ろからサックリ刺してきそうな狂気がある。
随元青を演じる林沐然が、卑劣な行動ばかりでごめんなさいって動画で謝ってたのおもろい笑 悪役にやりがいはあってもそのイメージの払拭は必要なことかもしれないね。
つづく
ここで出会った陶老頭は、弟子を捜していたところを役人に捕まりこの地へ送られたようだが、やけに博識が高く魏相を知る素振りがあったため只者ではないと思っていた。
どれだけ絶望しても、食べて寝るという基本を怠らず生き続けることが家訓である長玉は、こんな場所に送られても他人への思いやりを忘れない。陶じいも長玉も未だ気力は失っておらず、なんだか意気投合した二人がゴミ連中に絡まれたところへ、背面から現れた舎弟四人組の姿に歓喜する。
ここにいたのか!なんという運命!
顔馴染みの姿を見た途端、わんわん泣き出す長玉の安堵は実に分かり味深く、林安での惨事を知らされた四人は、打倒随元青のもと団結は更に深まることになるが、そこに知り合った陶じいも参入するのだと思われる。
この陶じいが、おそらく謝征と関係する人物だと見当を付けていたため(ドラマの大半はこのパターンだから笑)、ここに至るまでに当てはまる人物を巡らせているうちに、その口から九衡という名が出た瞬間、アッとなる。陶じいは謝征の老師なのだね。思えば、脱臼を治す技も同じようにやっていた。
この陶という名は、魏相だか賀将軍だかの政局面の会話にも出ていた気がするんだが、17年前の当時は朝廷にいたのかも。
随家では、浅姐も加えた3人で過ごすことも許され、蘭嬷嬷に感謝しかないが、イマイチ齊旻が何を考えているのか分からない。
随元青に接している顔は確実に偽物で、21話最後の侍衛同士の諍いも、弟を油断させるための茶番なんだよねきっと。
個人的に、浅姐や寶兒への狂人っぷりも元青を油断させる芝居であって欲しいが、そうだとしても犯した行為の報いは受けねばならない。長く側にいる蘭嬷嬷があれだけ賢明なら、齊旻の人格もそれなりに成熟するはずなんだけど。
そもそも齊旻が現皇帝と同じ名字なのは、長信王の血縁ではなく皇帝と何か関係あるんだろうか。そのせいで世子の地位は元青のものになってるの?
今回は出番の少ない謝征だが、随元青からの煽りをくらって怒りは頂点である。囚われた寧娘を救うため、賀将軍への協力を求めた謝征がその身を救う日は近い。姉妹の父親が自害したという事情についての詳細は、賀将軍にとって今は語るときではないらしい。
気になったのは、少し前に、長玉が趙大叔へ託した言正への風呂敷が手元に届いたことだが、舎弟四人組と共に連れ去られた趙大叔が謝征の軍営に現れたということは、長玉と謝征はもしや同じ場所にいる、、、?
つづく
これだけに留まらず、軍略にも大きく貢献した「殺猪小隊」の名は、謝征の耳にも届くことになる。この殺猪小隊という名がどうみても長玉なんだが、よもやここにいるはずがないと脳裏に過ぎる思いを拭う謝征は、すぐそばに居ることに未だ気付いていない。
砂埃混じりの朧げな光の中からGメン走りで「老頭ーー!我們回来了ーー!」は痺れたわ。
殺猪小隊が随元青の斥候を阻止したおかげで寧娘を取り戻し、誘き出した先で敵軍を壊滅させた謝征は、次の戦場へと足を踏み出すことになる。寧娘を救った謝五との連携は実に美しく、まさに戦神の極みだった。
ただし随元青の前にちょこんと座る寧娘が可愛すぎて、そっちに気を取られちゃったよ。
一方の齊旻は、そんな弟の敗戦など気にも留めておらず、高台から悠々と眺めるだけだが、浅姐のこととなるとそうはいかない。血相を変えてダム決壊下にあった屋敷へ戻り浅姐を救う齊旻は、哀しくも歪んだ愛に支配されている。途方もなく突き抜けた狂人で天罰は必要なんだが、どこか切ないんだよね。完全に演員(鄧凱)のせい笑
序盤から、17年前を振り返る魏相の周辺で、度々、承徳太子という名は出ていたが(長玉の父親が隠していた手紙の中にもあった。)、齊旻はその太子の息子だったようだ。随家に引き取られた経緯は謎だが、コイツの向かっている先は仇討ちなんだろうか。浅姐への歪んだ愛以外、イマイチ何をするつもりなのか見えない。
側にいた蘭嬷嬷も太子妃に子を託されて今まで仕えてきたようだが、とっくに狂人齊旻には見切りを付けている。蘭嬷嬷がそういうのならそれを装ってる線はなく、本気の狂人なんだな笑
気になってるのは十三娘の行方。
公孫鄞に会いたい一心で、再び皇宮を抜け出してきた様子の長公主は、婚姻話が進む中でも公孫鄞を手放せないでいる。公孫鄞は立場を弁えて一線を超えるような素振りはないが、自分のためにここまでやってきた長公主にいずれは絆されることになるんだろう。軍師ならばそう身分違いでもない気がするけど。
このようにして、戦場ばかりの日々を送ってきた謝征が庶民へ婿入りし、苦しい生活の中でも温もりを知れたように、皇宮から出ることもなく世間を知らぬ長公主が、前線を守る戦場の過酷さを身を以って体験したことは、権力を持つ立場で有る限り、この先の国の未来へ活かせる良い結果になるのかも。
つづく
互いに口調は厳しくとも、そこに見えるのは愛のみであり、この二人の未来に危機感は全く感じない。
ただし、謝征はともかく長玉の葛藤は次の段階へと進む。これまで同じ境遇の庶民だと思っていた言正が、武安侯となれば身分の違いによる齟齬が生じるわけだが、無知な部分が多い長玉でも、それがどれだけの難しさかの心得はあり、身を引かねばならないと自制を始める。
この関係に対し長玉から何か行動を起こすことはなく、ここで謝征が諦めてしまえば、おそらく二人の縁は終わってしまうだろう。ゆえにこの縁を未来へ繋げるためには、謝征が必死こいて長玉を繋ぎとめるしかない。このことは謝征にも分かっているため、頑なに拒絶する長玉へ、いつかのように意地を張らずに偽りない言葉を重ね続ける姿はすごく良いと思うよ。幸い、謝征には諦めるつもりは全くなく、軍営に現れた陶太傅へ養子縁組に関する相談を早速持ち掛けていた笑
ひょっこり現れたお久しぶりの陶じいにニンマリしながら、ひたすら話題にしていた弟子と妻が同じ長玉だったことは実に和んだ一幕だった。
焦ったのは滿地が窮地に陥ったという知らせだが、プライベートライアンの如く逃がした敵に刺された滿地は、妹の寄こした護心鏡のおかげで命が守られていたことに安堵する。護心鏡というだけあってその名通りの役目を見事に果たしていたね。
そして引き続き長公主の可愛さが増している。
戦の最中、随元青を取り戻しに現れた石越の突撃で傷を負った公孫鄞は、それを利用して長公主の反応を試したかったのか命の危機を装うが、逆にぷんすこさせる結果となる。心中を探るために命を軽々しく引き合いにするもんじゃないよ、慌てすぎて足袋のまま駆け付けた長公主が可愛すぎたじゃないか笑
このようにして、軍営内の時間は穏やかに流れているが、敵の動きは止まってはくれない。陶じいとの会話から妄想すると、長信王が謀反を起こしているものの、背面で齊旻が暗躍し、それに李太傅も絡んでいるという。何を餌にどちらが利用しているのか、或いはどちらも利用し合っているのかはっきりとは見えないが、予想に反さず、李懷安の祖父もどうやら真っ当ではないようだ。
あの時、お前は李を名乗るべきではない、と謝征が言っていたが、利に走らず正道を歩む賀将軍や自分の持つ大義を、李懷安にも見たんだろうと思う。
齊旻はこれから先、承徳太子の血脈だということを公言して玉座を取り戻そうとしているのだろうか。
いよいよイケオジ来るよー、長信王!
このドラマは、演出が巧みなだけでなくそれに伴う演者も実に美しく描写されているが、視聴者の気を逸らすことなく主軸をじっくりと描き、今ではないと感じさせる周辺事情のカットインを一切入れてこない編集にも緻密さが見える。国を問わず雑音で気の散るドラマの多い中、視聴者の心を理解する筋書きがすごく輝いて見えるよ。
現実には有り得ない事象があってもいいのよ、創作物なんだから。
つづく
『ブリジャートン家 BRIDGERTON』シーズン4
2026年 1月 アメリカ 全8話予定
Netflixオリジナル
原作 ジュリア・クイン
制作 ションダランド(ションダ・ライムズ)
ブリジャートン家で最もイケているベネディクトのターンきた笑
ネタバレ 第1話~第4話。
次男という立場のおかげで、シーズンを通して一番フリーダムに過ごしていたベネディクトは、相変わらず男女関係なく愛人を侍らせていたが、舞踏会で会ったソフィーのキラキラな瞳に一瞬で恋に落ちる。
シーズン4の予告を目にした時、正直、東アジア人の自分から見てもベネディクトは(顔面に関して)東アジアは選ばんやろ、という思いがあったのだが、ソフィー役のソ・イェリンは、欧米で起用されるようなステレオタイプのアジア人ではなく実に愛らしい顔立ちをされている。ソフィーだけでなく、ペンウッド家の姉妹はどちらも顔立ちが良く、これまでの欧米作品で感じてきた、アジアの容姿を殊更落とすような配役でないことに少し時代の変化を感じる。
ペンウッド卿の庇護下にいたソフィーの実際の出自は謎だが、彼がmy ward(私の後見人=財産を継ぐ者)と言っていたことを考えると、正式にペンウッド家を継ぐ地位にあったんだろうと思う。それを横から入って来た継母に奪われメイドとして酷使されている。遺言書にソフィーの名が記されていなかったというのも継母の嘘なんだろうが、一夜だけの舞踏会や12時の門限、手袋の片方を残していくなどの筋書きはまんまシンデレラである。メイドの環境に焦点を置く辺りはダウントンアビーとも通じるものがある。
ベネディクトは、ソフィーを捜して街中の娘の唇を物色する変態と化しているが、メイド姿のソフィーの唇にはなかなか気付かない。対象条件が貴族の令嬢だと思い込んでいるため、よもや目の前のメイドがあの晩の娘だとは思っていない。それでも本能から発せられる信号には抗えず、捜していた令嬢そっちのけでソフィーへの想いをつのらせる。
貴族がメイドに手を出すのはどの国においてもよくある話だが、遊びでない限り、立場の弱いメイドの方が割を食う世の中で、ソフィーを傷物にすることは何人でも尊重するベネディクトの良心が許さない。
ていうかさ、メイドにすらあんな優し気な振舞いの貴族とかほんと勘弁してほしい、すぐ好きになっちゃうじゃん笑
一方で、ソフィーへの想いを断つために令嬢捜しを続けるベネディクトは、既に令嬢などはソフィーを忘れるための道具へと変化して、留めてもらったボタンを触れる手が止まらぬ姿はちょっと笑える。いや本人は苦悩しているのだから笑うところではないんだが、常にチャラついていたベネディクトがガチ恋に目覚めたことの嬉しさでもある。
理性と本能の挟間で苦しみ、4話最後に、駆け付けて何を伝えるのかと期待していたが、「Be my mistress」だったことに、それはねーわ、、、となる。
おそらく「愛人」とは、貴族が庶民に与える権限の中でも最高の地位であり、これから先、そこに愛を注いで不自由のない生活を保証するということでもある。貴族の正妻は愛が無くとも貴族でしか担えないために、ベネディクトにとってはこれが精一杯の告白だったんだろうと思う。
ソフィーには元貴族だというプライドもあるんだろうが、メイドの身分で相応以上を求めることはこれまでもなかった。そのためベネディクトのさり気ない言葉や行動に期待せぬよう自分を律していたわけだが、一瞬そこを超える期待を抱いた結果が愛人だったことに失望する。うーん、もどかしすぎる、、、
しかも噂になっていた越してくる隣人が継母だったことも、この先を想像するとダルいな笑
相変わらずエロイーズの可愛さが極まって、そこはいつもながら楽しいんだが、今シーズンは、脇CPの唐突エロスのカットインや下ネタが若干煩わしい、、、
追記ネタバレ 第5話~第8話。
つがいが増えたせいか、なんとなく散らかって見えたシーズン4。軸となる二人の他に、描く人物が多すぎて集中力がそがれる瞬間を何度も繰り返すが、サイドストーリーとしては重すぎるジョン(フランチェスカの夫)の死亡エピソードは実に気の滅入る一幕だった。
このシリーズでは、初(だと思う)の人を貶める系で登場する継母の存在を終盤まで引っ張り、ハラハラして晴れない気分が続いたこともあって、そこからの幸せモードが駆け足すぎたように思えたが、この継母の意地悪を筋書きに入れた以上、この流れは妥当なのかもしれないね。
ソフィはジョン・スノウ(ゲームオブスローンズ)のような、ペンウッド卿の姉妹夫婦の子か何かだと思っていたが、序盤から言われていた通り母親の身分は低かった。それでも半分はペンウッドの血脈ということに変わりはなく、正当な後継だと主張していた継母を含む二人の娘は血脈ですらない。遺言書でも娘三人へ平等に財産分与されていたのだから、何があそこまで継母を不安にさせて不遇に扱ったのかは理解に苦しむ。ただ強欲だっただけかな、、、継母への罰は軽すぎた気もするが、罰によって被る害から娘二人を守ったと思えばこれで良かったんだろう。
何が良かったって、騙されたフリを貫いた王妃の高笑いがそれまでの重かった雰囲気を解消してくれたこと。あの高笑いがあったおかげで沈んだ心が一転して、王妃の心も晴れたかと思うと気分が良くなった笑
ベネディクトはずっとイケてたし、エロイーズもぺネロぺも年を取ってるはずなのにシーズンを重ねるごとに美しくなっていく。エロイーズに関しては、前回、少し不憫だったクレシダへの対応も含め、愛という存在の重要性を理解しつつある。ということは、そろそろエロイーズのターンになりそうだが、エロイーズの濡れ場があると思うとちょっと複雑だわ笑 ペネロペの濡れ場も早送りだったし、この二人には心を寄せすぎて正直そういうエロさは求めていない。濡れ場がちょっと過激すぎるよね、そこを皆無にして雰囲気と目線でひたすら胸きゅんを誘うイギリス制作のオースティン作品はより秀逸なんだけど。
つづく
『成何体统(成何體統)How dare you』
2026年 2月~ 中国 全32話
出演
庾晚音・王翠花→王楚然
夏侯澹→丞磊
夏侯泊→唐晓天(唐曉天)
謝永儿(謝永兒)→胡意旋
主演二人の顔面が美しすぎる。
ネタバレ 第1話~第6話。
現代から小説の中へ穿越するというまだまだ流行りの筋書きだが、庾晚音へ穿越してすぐに皇帝の夏侯澹も同じ現代人だと分かり、開幕から協力体制となって生き残る未来へ変えていくところが新しい。
夏侯澹が同じ現代人の穿越者という確認のための、How are you?,Fine thank you,and you?にめっちゃ笑ったんだが、これって日本でも中学英語で最初の挨拶として習うヤツだよね。(正確には、How are you?,I'm fine thank you,How are you?だった気がするけどどうでもいいな笑)それが国が違っても英語圏ではない国では同じフレーズを学ぶのかと思ったらなんだか新鮮だった。
小説内では夏侯泊と謝永兒が中心に描かれ、庾晚音は脇役中の脇役で、散々悪事を働いたあげく皇帝と共に殉葬させられる運命を辿るという。その皇帝である夏侯澹は、愚帝として暴挙を振るいまくり万人に恨まれながら夏侯泊によって暗殺されるため、二人の最後は死のみである。
因みに、謝永兒の中身も馬春春という名の穿越者なのだが、これを含めて小説内の物語のため、二人にとってはやはり小説内の人物に過ぎない。
訳も分からずいきなり古代に飛ばされた二人だが、同じ境遇の仲間がいたことで絆は一瞬で深まり、生き残るために敵を欺く芝居を深刻にもならずに楽しんでいる姿がすごくいいね笑
夏侯澹などは既に2話で、端王側へ付いたとしても絶対に裏切らない、とか言っちゃってる。一方の庾晚音には若干の打算があったのだが、真っ直ぐに信頼を向ける夏侯澹の言葉に罪悪は感じていたようだ。
この夏侯澹は現代では総裁だというが、序盤に、このつまんない小説の権利を買ったと言われていたあの総裁なんだろうか。庾晚音はそう思っているようだが、本人は総裁とは言っていたがはっきりその人物だと言ってはいないよね。
庾晚音に引っ張られて、暴君を演じている夏侯澹は若干ポンコツに見えるが、芝居だとしても暴君っぷりが冴えているし端々の鋭い指摘などを考えると、ただの穿越者ではない気がするんだけど。
と思いながら観ていたら、至6話で夏侯泊が自分たちの行動に先回りして筋書きを微妙に変えていることに気付く。二人が馬春春を読んでいるように自分たちが夏侯泊によって先を読まれているとなると、現代から穿越したと思っている二人は実は馬春春と同じ状態なのかもしれないなどと思い始めて、ちょっと訳が分からなくなってきた笑
こうなると何でもありのため、夏侯澹の存在もただの穿越ではなく、穿越という事実すらも揺らいできた。
ハツラツとしたコメディでも、筋書きを変えながら進む日々の中で、小説では死なずに済んだ胥堯を失くした庾晚音が後悔で苦しむ姿には胸が痛む。残忍な夏侯泊にガチで恐れおののく姿も唯一の同志である夏侯澹を目にして安堵する表情も、相変わらず王楚然の芝居が光っている。
ほどなく護衛となる母親と幼馴染の北舟は、武芸の高さはもちろん、性別を変える技を身に付けるなど実に優秀な男で、普段は崔奕演じる女性の姿のため既に愛着が湧いている。端々にお馴染みのオジ面々が登場するのも楽しみの一つ。侯長榮は現在配信中の伏酷の方(唐宮奇案)にもいたね笑
つづく
追記ネタバレ 第7話~第8話。
夏侯泊が自分たちの行動を既に知っているわけでなく、おそらく勘の良さだけで何か様子のおかしいことに気付いて、鎌かけ作戦を行っているという持論を新たに見出した晚音は、すぐに明るさを取り戻す。
こうして一喜一憂する晚音を、優し気な視線で見守る夏侯澹の哀愁が一気に増してきた。夏侯泊との密会にも口出しせず、それによって晚音が端王側へ回るかもしれぬことを含め全てを許して手放す覚悟を持つ夏侯澹には、やはり何か隠された秘密があるようだ。
夏侯泊というより夏侯澹の方が既に起こる出来事を知っていて、そこに至るまでを敢えて晚音に選択させているように見えるため、この男が穿越して小説内へ入り込んだというより、一度経験した時間の二周目を歩んでいるようにも思えるが、そうなると夏侯澹は現代人ではなく、どこまでも小説内の登場人物ということになる。ただし晚音の知る小説の筋書きにはそんな事実はおそらくないんだろうと思う。
それでも遥か前から晚音の人柄を知っていて、彼女へ向ける愛情も短期間では築けないような深みを感じるんだけどな。
逆に晚音の方は、既にこの世界へ馴染み草民の苦しみを自分のことのように感じて、より良い未来を築こうと決意を固めちゃったりする過程で、夏侯澹へ疑惑を抱くことになるのだが、、、二人の目的は、夏侯泊や太后の策略を躱して死なずに済む方向へ運命を変えることである。その先に、現代へ戻るという目的もあるんだろうが、穿越なのか二周目なのか、その意味なども全く分からず謎めいている。
王楚然と丞磊の顔面の強さに似通ったものがあって実に相性がいい。
つづく
追記ネタバレ 第9話~第10話。
信じたくとも薄っすらと夏侯澹へ疑いを向ける晚音の心中を察して、自らそれを打診した夏侯澹だが、問われた自分の身分は明かすことが出来ない。事実を言ってしまおうか、だけど言ってしまえば今ある信頼を失くしてしまうかも、という思いの挟間で、ここでは言わない選択をする。
そのせいで二人の関係にも溝が生まれるが、そのことに苦しむ夏侯澹は追い打ちで謎の頭痛に悩まされる。謝永兒は門前払いでも、心配して駆け付けた晚音にはすんなり許可される夏侯澹との謁見は、自分が小説への穿越者なのだから、自分が中心だと思う謝永兒にとっては虚しく感じたのかもしれない。
正直、あの光景を見ただけでここまで絶望する理由は分からないが、その後の蕭添采との会話から、穿越してもこのまま知らぬ土地で、名もなく散って行く未来を感じたんだろうと思う。ただし彼女(の中身の馬春春)も小説の登場人物のため、おそらく物語の最後は決まっているはずである。蕭添采に名前のクレジットが出ていたということは、この男は馬春春にとって重要な人物となるんだろうか。
それはともかく、心配して駆け付けた晚音へ自分の身分を打ち明けたため、今のところの夏侯澹の憂いは解消される。
しかしここで明かした売れない俳優という身分は嘘である。回想によれば、16年前、授業中にスマホでこの小説を読んでいた最中に穿越していたという事実が見えてくる。
今から16年前なら、スマホが台頭してきた時代ではあっても、web書籍が簡単に配信されて読めるような環境はまだ確立されていなかった気もするけど。その辺はおいといても、16年間現代へ戻れずに古代で過ごしていたということ、、、?小説は完結しているため、16年間抗おうとしても結局小説通りに進んで、暴君という事実は変わらなかったということ?
回想と同じ顔面の現太子が現れて、この子も穿越しているのかと一瞬思わされたが、回想は一貫して夏侯澹のものであり、「反正種花的人也已經不需要它了」と言っていたことを考えると、あのSOSはかつての夏侯澹が穿越者に対して発したメッセージだったんだろう。当時捜していたのは、小説内の主役である馬春春だったんだろうが、暴君皇帝とならねば馬春春の穿越も発生しない筋書きであり、馬春春の存在を知る前に、そのさらに上から穿越してきた晚音に出会ってしまったわけか。
晚音が16年間待ち望んだ現代からの人間だったため、初見でも涙が出る程嬉しかったんだね、、、というわけで、小説外からの穿越はこの二人だけのはずだから、穿越の時期はズレていても張三(夏侯澹)と晚音の時間軸は一致しているようだ。このSOSを発見した興奮気味の晚音をじっと見つめる夏侯澹がなんとも切ない表情をしていたね、、、自身の孤独な16年間を思い返していたのかな。
これが隠している事情の全てなら、晚音を以前から知っているように見えたのは、気のせいだったということなるね、自分にそう見えていただけだけど笑
本来の事情が色々と明かされる一方で、この世界の未来をより良く築くための夏侯澹と晚音の計画は着実に進んでいる。
先の、国を担う人材を招集して未来を委ねられた5人は、夏侯澹や晚音と団結してほどなく起きる干ばつを脱しようと尽力している。相変わらず足を引っ張る端王と太后への対抗策もこの結束力で躱していけそうな安心感がある。北舟などは、あんなに強いのにほぼパシリと化しているのが笑える。
つづく
追記ネタバレ 第11話~第12話。
とても小説の主役を担っていたとは思えない悪さの端王だが、視点をこちらに変えれば正義に見えるのか、、、野心を持ちすぎる余り、打算で娘たちをたぶらかして常に皇帝を貶めようとする彼に正義は全然見えないんだけど笑
自分の計算通りに進む悪巧みが、よもや踊らされていたとは思わず浮かれている姿は滑稽の極みである。
5人の活躍で燕黍の種付けも順調に進み、墕国との戦を起こさぬための商談へ出向く機会を得て、夏侯澹と晚音率いる一行の未来への歩みは着実に進んでいる。国を愛する草民5人、皆が良すぎてちょっと感動した。
ここで新たなキャラが登場するが、以前から妖妃(晩音)の排除を催促していた白先生なる人物の弟子(阿白)は、夏侯澹とは長年の友らしい。周りにそのことを隠し、白先生の予言の元、何かを進行中なんだろうが今はよく分からない。阿白が渡してきた白先生からの手紙も元々夏侯澹のもののようだし、事情も全て知っている節がある。
小説内に入り込んだとはいえ、この16年の間に、ひょっとしたら小説に沿わず枝分かれした夏侯澹独自の世界が展開されているのか?ともかく夏侯澹にはまだ秘密がありそうである。
他に気になるのは、晩音が度々口にしている、穿越してきたと思っている自分が小説内のキャラではないとは言い切れない、とか、小説外が実は二次元なのかもしれない、など、実際はこちらが現実世界かもと思わせる発言だが、確かに私たちの生きている世界はこれらをはっきり否定出来ない曖昧なところに存在している。
現代に戻ろうと奮闘する描写が皆無なことも謎だが、最終的にどう収まるのかが見えず、相変わらず謎ばかり増えるよ笑
ここまで、端王へこちらの動きが見透かされている節があり、コイツが遥か高みから行動を読んでいると疑っていたこともあったが、今回、侍女の小眉が間者だったことが分かる。これが端王に忠心を置いていたわけでなく(少し同情はあったかもだが)、晩音を思うあまりだったというすれ違いが哀しい、、、小説の設定は、どこまでも端王が善で夏侯澹が悪なんだね。
夏侯澹が穿越してきた事実が明かされてから、最後に張三の過去が日記として描かれているが、この日記で謎はいくらか解消されていきそう。
つづく
追記ネタバレ 第13話~第14話。
端王もアレだがその上をいく野心家太后が、めちゃくちゃダルい笑
先太后を殺め、幼かった夏侯澹を傀儡に育て権力を得ようと長年支配していた太后は、思い通りにならなかった夏侯澹を諦め、汚い手を使って産ませた跡継ぎである現太子に狙いを定めている。太子を生んだ母親の存在は謎だが、どの妃とも交わりを拒否している夏侯澹に、太后が媚薬でも盛って子を作らせたのかもしれない。
今回の阿白との会話では、さらに謎が深まる。師父白先生の予言で、複数の因果と絡み合う前塵の縁、という話が出ていたが、これが前世のことなのか今世の過去のことなのか抽象的ではっきりとは分からない。それでも序盤から感じる、敢えて晩音へ正解を選択させる振舞いと、にじみ出る深い愛が二周目としか思えないんだよね、、、
草民5人との団結力で、端王と太后の悪巧みを今のところは上手く躱しているが、そのための芝居で、勘違いした李雲錫が晩音を守ろうとする気合の入った「臣願死諫」がなんだか愛しかったわ笑
既に皆の心を掴んでこの世界の一員となった晩音は、いつか離れねばならない時どちらを選択するんだろうか。全てが終わって晩音がここを離れる時、自分はもういないと言っていた夏侯澹の言葉も気になる。どういう意味、、、
一方の謝永兒は、端王に甘い言葉をかけられそのまま契りを交わしたようだが、夏侯澹との床入れが未完のまま孕むことを恐れ、唐突に誘惑を始める。これが弾けすぎてちょっと面白いんだが、床下から覗き見していた晩音も抜群に可愛くてニンマリする一幕だった。
謝永兒は生き残るための打算で端王へあの様な対応を取っているんだろうか、さすがに本心から好いてるわけではないよね、、、引き続き蕭添采に焦点が当たっていることを考えると、やはり謝永兒にとって蕭添采はキーとなる人物なのかな。
今回の張三日記では、自分の失態は周りが引き受けねばならぬ太子としての重圧が不憫だった。この頃から端王が、太子や年下の皇子への罰を代わりにその身で受けていたようだが、肉体を直接罰されるより、自分の代わりに誰かが罰されるのを見せられる方が心の痛みや精神の疲弊は大きい。夏侯澹の頭痛はおそらく毒でも盛られているんだろうが、その頭痛の苦しみを見せることすら許されぬ環境は苦しかっただろうね、、、幼少を鑑みると端王の最大の標的は太后でないとおかしい。
つづく
追記ネタバレ 第15話~第16話。
現代人の馬春春が小説内に穿越して中に入られるキャラ設定の謝永兒だが、本人にとってはそれが現実であり、端王の子を孕んで堕胎という体験は、自分が主役だと考えていた謝永兒をさらに絶望へと追い込む。
自分が見ていた作品のように、生き延びてこの世界を変えられると勇み足だった序盤の面影もなくなり、この2話は不憫でしかなかった。
開幕に、この小説は端王と謝永兒が主役だと晩音が言っていた気がするが、重ねてその上から晩音が穿越してきたことで、私たちから観ているこの世界の主役は晩音であり、謝永兒周辺は筋書きが変化しているのかもしれない。結局はどこを視点にするかで中心となるものが変わってくるため、謝永兒が自分を主役だと思えば主役なんだが、そう思えなくなったのがイマイチ謎だな、、、主役は概ね命の危機に晒されるものだが、味方もおらず生き延びられる気がしていないからか。
ニッコニコで面白ダンス披露してたのにね、、、
結局、堕胎の件を太后に知られ、他責で誤魔化すしかなくなるんだが、罪の着せ合いをする姿は皆がもう生き延びることに必死である。あの侍女はともかく、晩音はひたすら謝永兒を気に掛けていたのに、よもや罪を着せられるとはとんだとばっちりである。
謝永兒がそれでも端王を庇っていたのは、この世界の謝永兒を演じているだけだと思うが、やっと晩音も現代人だということを告げる時が来たようだ。
開幕の「How are you?」がまたここで使用され、このフレーズが確認するための定番となっているのが笑える。こうなると、謝永兒も仲間に加わる展開になるはずだよね。今回は、頼んでもないのに現代から飛ばされたあげく、散々な目に遭う謝永兒が不憫でしかなかったから、このタイミングでの晩音の告白は心強いものがある。
今回の張三日記で端王との決別の時が描かれるが、元々、太后が原因なのは明らかで、夏侯澹が善人だと分かっていてなぜその道を選択したんだろう、一緒になって太后を倒すような気概を見せんかい。
つづく
追記ネタバレ 第17話~第20話。
二人が現代人だという事実を告げ、謝永兒もようやく無邪気な姿を見せ始めて、晩音とのわだかまりは解けた気がしていた。それでも端王の打算を聞かされた謝永兒がこの先どう動くのかは予想出来なかった。
自分たちが彼女を変えられるかもしれないと言う晩音と、所詮は作られた二次元キャラなのだから既に人格は決まっていると言う夏侯澹で意見は分かれるが、観ている方からもこの先は判断出来ず、結局裏切りの道を選ぶ可能性は捨てられなかった。
ほどなく墕国の使団が現れるが、この偽使団は夏侯澹へ復讐を企てる墕国王子、圖爾を含む殺意みなぎる一行だった。これに早々に気付いた夏侯澹だが、和平を望み、これ以上の争いを生まないため知らぬフリをして穏やかに商談を進める。
ただし太后や端王は、己の野心を達成するために悉く夏侯澹の邪魔を繰り返し、堪え性のない太后が先に策を練って夏侯澹を邶山へ誘き出すことになる。幼少から機会を伺って暗躍していた端王は、この太后の策で、太后、夏侯澹もろとも圖爾に始末させて漁夫の利を得るハイエナ状態で、顔面は抜群でも漏れなく性根が腐っている。
邶山への旅路にうっすら疑惑を抱いたものの、そんな怪しげな集いに晩音を行かせぬため、甘んじて自分が随行することになった夏侯澹は、端王の予想通り圖爾に命を狙われる。
同じ頃、城でじっとしていられない晩音の元に、端王が機に応じて命を狙っている旨の便りが届く。一見、差しさわりのない内容だった謝永兒の便りだが、庭で炙り出しをひたすら見せて暗に促す謝永兒の姿に安堵しかなかった。
たとえ二次元キャラ(遺伝子レベル)でも、目の前にある現実の前では、周りの人間や環境によっていくらでも良い方向へ変われるという流れは実に夢がある。
危機を察した晩音は、北舟の開発した銃を携えて邶山へと向かうが、夏侯澹は既に毒刃を受け瀕死である。純粋がゆえに好いた女の仇を真っ直ぐに討ちに来た圖爾だが、その彼も実は都合よく操られただけの男で、夏侯澹への仇討ちも結果的には筋違いだったことに本人も気付くことになる。
追記ネタバレ 第21話~第22話。
太后がヤケクソで振り上げた刃は、我らが北舟の俊敏な動きで事なきを得て、即座に命を奪わぬ代わりに服毒を科す。その後は、城へ援軍を求めて疾走した楊鐸捷の緊迫感のない(心中は必死だったと思うけど)説得で禁軍が駆け付け、端王の派遣した追っ手も逃げ帰るしかなくなってしまった。
自分の暴走のせいで、ほどなく命の尽きる太后には政へ口出しすることも、太子を操って権力を得ることも出来なくなり、敵は一人減ったことになるんだろう。ひたすら屋敷に座っていただけの他力本願の端王は、思い通りに進まぬ結果に苛立ちはMAXとなるが、やたら冴える勘と悪巧みのヒラメキには長けているため、まだまだ諦めることはない。行き場を失った太后側の配下が端王側へ回れば、烏合でも数では勝ることになり面倒なことになりそうだけど。
毒刃を受け、一度は死を覚悟した夏侯澹だが、蕭添采の治療によって一命は取り留める。蕭添采によれば、既に毒に侵される身体に別の毒が侵入したことで、謎の効果が発生して出血は止められたという。ただしこの先、解毒まで出来るのかどうかは不明である。
蕭添采は、ひたすらに謝永兒を気に掛け、妃という理由だけでなく淡い恋心も抱いているようだが、皇帝の妻という身分の謝永兒とは離縁でもない限りどうなるわけでもない。謝永兒も恩は感じていてもその先の感情はないようだし、一方的に心を寄せたままになりそう。ていうか、穿越してきた現代人皆がこのままこの世界で命を全うするのか、各々のいた元の世界へ戻るのか、或いは現代自体が虚構なのか、最終的な着地点が見えないため、この二人の云々を妄想するのは無意味な気もするが、、、ここまで現代へ戻る話が皆無なのは、16年間戻れていない夏侯澹の存在を考えると、もはや戻る想定ではないのかもしれない。そもそもの謝永兒は二次元キャラだが、戻ることを考えなければ、目の前にあるこの世界が3人の共通した現実であり、二次元キャラという意味もなくなっている。
今回の邶山での災難は、命を落とすギリギリの緊張感はあったものの、結果的に太后を失脚させ、圖爾と親交を深めて和平まで結べたことは大きな成果だった。謝永兒も完全にこちら側となり、これまでの深刻さとは打って変わって良い方向へ進むだけの実に和む回だった。
ぶつぶつ言いながらも秘密地下で匿われる素直な圖爾がとんでもなく愛らしかったよ笑
この災難を経て、晩音と夏侯澹の想いの階層はようやく一致したようだが、未だ本当の事情は話せていない。それでも二人の結束は固いため、正体だけの問題で受ける晩音の反動はさほど心配していない。他にも隠している事情はありそうだけど。
つづく
追記ネタバレ 第23話~第24話。
太后の取り巻き連中を軒並み追い出し、仲間5人をそれぞれ官職に据えて朝廷は正常になりつつあるが、汪昭を失くして失意の中、次に受け取った便りは岑菫天の近況だった。
岑菫天は初めから、余命が尽きる前に国の未来の糧となるものを残すという目標があり、農耕においての記録を一身に書き記していた。現段階で、燕黍の栽培で干ばつを防げるという未来を描けたために、たとえ畑一面に実った景色が見れずとも、やがて命が尽きることに悔いはないようだ。
晩音は既にこの世界の一員となり、彼らが創作物だとも思わず深い情を抱いているが、今はここが現実なのだからそう感じるのは当然である。しかし長年この世界で日々を重ね、創作物だと言い聞かせて情を抱かぬよう律するしかなかった夏侯澹は、汪昭を追悼し、死にゆく岑菫天に別れを告げたいという晩音の外出を許さない。夏侯澹にとって、屋敷から出ないことが端王へ命を狙う隙を与えない唯一の方法であり、晩音の命を守るためには、自分と同じように晩音へも創作物と割り切るよう言い聞かせるしかないのである。
結局、晩音はこっそり出向いて行くのだが、このおかげで残った4人の心はいくらか救われたように見えた。残された汪昭の母との遺体なき埋葬には泣かされたが、反面で、岑菫天には、一面に実った畑を皆で見るまでは生き続けるという気持ちにはさせたようだ。蕭添采が目まぐるしい活躍をしている。
案の定、この帰途で端王に絡まれるのだが、コイツの言っていた、信じて言い続ければそれが事実となる、という持論はあながち間違っていない。それが端王の人を貶める卑しさだけの手法に当てはまっていないだけである。母親が宮女という理由で、賤人と言われ続ければ歪んでいくのは分からんでもないが、あの頃に選択を誤らず、夏侯澹と親交を深めて太后を躱していたなら別の道もあったかもしれない。とはいえ小説内のキャラ設定のため、力もなく幼い夏侯澹にはどれも変えられなかったんだろう。
そんな端王を躱し、夏侯澹の手配した迎えの馬車で無事屋敷へ戻った晩音は、暴君に豹変した夏侯澹を目の当たりにして震えるくらいの衝撃を受ける。
これまでのように笑って許してくれる彼の姿はなく、これが暴君の真の姿なのかという恐怖で、晩音が初めて夏侯澹に怯んだ瞬間だった。ただしこの問題を長くは引きずらず、すぐに解決へ向かったためにストレスは全くなかったね笑
これは晩音を心配しすぎたゆえに起きた発作なんだろうが、「有一段時間了」ということは、穿越して始まったものでなく割と最近起こり始めたことなんだろう。イマイチ分からなかったのは、発作で暴君の性が飛び出したのか、暴君の性とは別に発作が起きているのかだが、発作で暴君の一面が出てくるのなら、晩音が現れたことによって、夏侯澹がそのキャラ設定に抗い始めたことによる創作物からの反発なのかもしれない。そうなると謝永兒の筋書き変更による反発もありそうだが、太后に毒を盛られながら、不本意でも強要される日々を送ってきた夏侯澹の精神が限界に達したとも考えられる。
その太后の終焉も近い。
つづく
追記ネタバレ 第25話。
悔し紛れにひと手間加えて遂に太后はご臨終となる。
この知らせを受けたと同時に、端王が夏侯澹へドドメを刺す計画も動き出すが、そんなショボい作り話が上手くいくんだろうか。それに山中に待機していた端王の手下らしき軍の統領は阿白だったよね、敵陣へ潜入していたのかあの人。
夏侯澹の解毒に関しては蕭添采が何とか治療方法を見付けてくれそうだが、ハラハラしているのは謝永兒が何か覚悟を決めた様子だったこと。
小説の筋書きに抗って、晩音と共に端王を倒して安寧を目指す方向へ進んできた謝永兒は、夏侯澹と晩音の計らいで皇宮から解放されたわけだが、別れ際の表情に、この先待ち受ける運命を悟っているように見えた。
晩音に対し、笑顔で未来を語った姿はどこか哀しく、最後の別れのように思えたんだけど、、、いやまさかここまで視聴者が心を寄せた(少なくとも自分は)人物を死なせはしないよね?それ全然望んでないから。そんな雰囲気になったら蕭添采頼むよ?
追記ネタバレ 第26話~第27話。
いや違うやん、何でもないところであんな腰巾着の腐れじじいに無意味に刺されて地味に逝ってしまうなんてよ、、、我らが謝永兒がよぉおおおおお!
晩音が目覚めたあの時、目の前にあった謝永兒の姿に全ては杞憂だったと安心したのは一瞬で、よもやモブ中のモブに刺されるとは仰天しすぎて脳内が無になった。謝永兒の死がなくても十分敵を憎めているんだから、この結果は全く望んでいなかった。
以前、屋敷で別れを告げたとき、謝永兒がどこか悟って見えたのは、二次元キャラは消える運命だと分かっていたからなんだろう。それでも今目にしている世界がここで生きる皆にとっての現実なんだけどね、、、
追記ネタバレ 第28話~第32話(最終話)。
右軍の駐在している城へ入り、阿白と再会してようやく夏侯澹と進めていた計画を知る。太后と端王の成敗してより良き世界を築くため、夏侯澹の命の元、長い間、阿白が右軍へ潜入して内部から着々と準備していた。
まず端王や付随する手下を倒し、自分が逝った後に太子と晩音の安全を確保出来る密旨まで用意していた夏侯澹だが、晩音の目下の目的は囚われたであろう彼を救出することのみで、夏侯澹が亡くなる前提の計画に興味はない。
同じ頃、捕らわれた夏侯澹が亡くなったという知らせが届く。この時は、端王を躱すために蕭添采の妙薬かなにかで仮死状態を作り出しているのかと思っていた。
ところがこの後の右軍の軍営に夏侯澹が匿われていたことが分かり、へ?いつの間に城内から救出されたの?という混乱が生じる。それでも後にその過程が語られるんだろうとさほど気に留めなかったのだが、一方の城では夏侯澹の葬儀を行う準備が進められており、そこにある遺体も夏侯澹だったことで訳が分からなくなる。
しかしこれも、別れたはずの北舟が戻ってきて、他人をあの顔面に仕立てているんだろう、などとぼんやり考えていた。
事情を隠して進めていた二人の未来などない計画にぷんすこの晩音は、夏侯澹に再会してもしばし意地を張っていたが、愛するがゆえの怒りは例によってすぐに収まり、共に端王を倒すことを決意する。
北舟の開発した銃を手に、何も知らぬ左軍中軍を掻き回して右軍は進軍し、見応えのある戦を展開しながらほとんど端王に悪あがきもさせぬまま捕えることに成功する。あの密道がめちゃくちゃ役に立っていたな笑
ここで阿白が、葬儀予定だった夏侯澹の遺体を見に来るよう使いを寄こしたところで、脳内でこれまでのぼんやりした疑問が繋がってやっと気付く、、、(おそっ)
北舟だったんや、、、端王の追っ手に割と簡単に捕まったと思っていた夏侯澹だが、そこから牢に横たわり端王へ図星を突いたあの美しすぎるくだりまでの中身は北舟だったんだ、、、どうりで自分の事を言っているはずなのに、「我」という言葉が一つも出ず、やけに客観的な表現をするよね、と若干の違和感があったはずである。北舟は既に端王の心を誰よりも見抜いていたんだ。
少し前、夏侯澹が幼馴染の息子ではないことを知らされた北舟だが、そんな事実は既にどうでも良いくらいの愛情を抱く今となっては、夏侯澹を少しでも遠くへ逃がすため、己で身体を破壊してみすみす捕らわれたのである。これには愛が深すぎて震えたわ。
少し前には、岑菫天の命も尽きて傷心だった上に、連続して北舟の献身を見せられるのは視聴者にとって実に苦しい展開だった。毎度ながら回想で抉ってくるのやめてくれんか、、、
この事情を知っていたのは蕭添采のみで、遺言で夏侯澹の解毒を託されたため、一層そこに力を注ぐことになるが、謝永兒が逝ってしまったことを晩音が黙っていたのは英断だった。どこかで生きてさえいてくれれば、蕭添采は謝永兒の残した手紙だけでも光を浴びて生きて行くことが出来る。
その謝永兒だが、死してもなおこの解毒に一筋の希望を与える重要な役割を生前に遂げていた。同じようにして旅路で出会った花花も、仇討ちのために側にいたことを知った瞬間は残念だったが、伝聞とは違う敵国で晩音の優しさに触れ、結局、裏切ることなくこちらも解毒のヒントを残して散っていった。思えば、故郷が同じ太后も死に際に「回家」と言っていたよね。
驚いたのは、胥堯の父親(侯長榮)が再び登場したこと。胥堯は父親が捕らわれたことで夏侯澹へ恨みを抱いて端王の下で失脚の機会を狙っていたが、ほどなくそれも端王の策略だったことを知り、夏侯澹側へ寝返ったばかりで命を落としてしまった。父親の残した教えを口にしながら逝った胥堯の最後は苦しい思いをさせられたが、膿を一掃したのちに、その父親を朝廷へ呼び戻すことは前々から決めていたようだ。それなら先に胥堯へ知らせていれば良かったとも思ったが、父親が捕らえられたその頃はまだ晩音と出会う前で、はっきりとした未来は描けていなかったのかもしれない。
序盤の捕らわれていく姿で終了だと思っていた侯長榮が、再び最後に登場してなんだか嬉しかったわ。イケおじがすぎる。
幼くしてこの世界へ閉じ込められ、どれが現実なのかが曖昧だった自分の前に突然現れた晩音の存在は、孤独に耐え続け、屍のような日々に射したある種の閃光だった。この紛うことなき光に引っ張られ、草民5人と共にこの世の安寧を築くために力を注いできたが、以前から自身の命が短いことは悟っていた。師父の占った未来では、初めから双星は同時に存在することはなく、どちらか一方が消えるしかない運命だという。それなら自分が消える方を担い、晩音を生かす選択をしてこれまでを歩んできた夏侯澹だが、師父の予言は外れないと言っていた割に、結果的にはどちらも生かされていた。阿白が解毒薬を見付けて夏侯澹を救うという予言も、その一旦は担ったものの正確には違うため、予言の正確性も定かではない。
昔、趣味で漫画を描いていた頃、脳内の筋書きになぞって描いているはずが、勝手にキャラが動き出し、思ってもなかった方向へ進んでいくという経験をしたことがある。この小説もそれと同じような感覚で、まして別人が入り込んだ世界では、筋書きやキャラが決まっていても、結局、そこにいる人物によって未来はどうとでも変えられるという流れが、実に浪漫のある最後だった。
端王はこの世界では気が触れたように見えるが、自分がこの舞台(小説)で踊らされていたことに気付いたようだよ。
ラブコメと思いきや話数を踏むごとに深刻さが増し、終盤などは消えていく仲間が多く苦しい思いもさせられたが、創作物はエンディングが全てであり、最後まで忘れさせないキメ台詞にじんわりした。主演二人の相性が抜群だったね。
32話(最終話)のエンディングはスキップしないように笑
『秋雪漫过的冬天(秋雪漫過的冬天)Loving Strangers』
2026年 1月~ 中国 全28話
出演
姜家齐(姜家齊)→赵又廷(趙又廷)
周遇安→张子枫(張子楓)
割と観ている韓国ドラマの中では、個人的にこれを超える作品はそうそうない、「マイディアミスター 私のおじさん」のリメイク版。視聴予約のサムネイル自体は二年前くらいから出ていたけど、やっと来たわ。
ネタバレ 第1話~第4話。
くたびれたおじさんを演じる趙又廷の顔面が好きすぎる。
この4話までを観て、物語の筋道がオリジナルとほぼ同じということに驚く。家齊の職業や家族構成に少し違いはあるものの、大筋となる出来事や会話の台詞などは割と忠実に描かれている。
いくつものバイトを掛け持ちする遇安は、他人との関わりは一切持たず、ひたすら労働に明け暮れている。両親は不在で身体の不自由な祖母の入院費のために、誰かに構っている暇もなくその気力もほとんどない。結局、その日暮らしの日々で入院費も払えなくなったため、施設から祖母を連れ出すことにするが、ベッドや買い物カートをそのまま拝借することに罪悪を感じるような倫理観も持てる状態ではない。
その上、家に戻れば借金取りの陳任(張新成)に待ち伏せされ、暴行されるという悲惨な日々に疲弊はMAXである。ただし張新成のこれまでの役柄のイメージと優し気な顔面でそう悪く見えないのが困るわ。
製薬会社勤務の家齊と遇安は同じ職場で働く間柄だが、ある時、遇安は家齊が賄賂を受け取るところを目撃する。
賄賂といっても、社内では派閥を巡る争いが充満し、堅物の家齊を排除するための顧辰派の罠が、家齊の知らぬところで張られていただけだが、このせいで家齊は内部監査を受けることになる。
一方の遇安は、その賄賂を奪って借金を返そうと試みるが、陳任には通用せず元に戻すことにする。
陳任は敢えて遇安の借金を肩代わりをし、一生返せない利子を付けて付き纏うつもりらしいが、この事情も追々明かされるんだろう。
家齊が監査の対象となったのは顧辰の秘書の密告のせいだが、遇安に見られていたことを知る家齊は、焦って隠した賄賂を紛失したことが遇安の仕業だと疑い追及する。しかし元々が優しい性質で、常に怒りを飲み込んできた家齊では遇安の気性には勝てない。
結局、会社から追い出される前に賄賂が戻ってきたため、事なきを得るが、遇安を疑った自分を戒め、度々、飯をおごることが日常となっている。
一方の家齊は、別の仕事をする遇安をたまたま見かけたりして、同情する気持ちが既に湧きつつあり、スーパーの売り場から遇安が使いっぱにした商品をこっそり買い取って、部下の行為の責任を取る実直で優しいおじさんそのものである。
ただし相変わらず金が必要な遇安は、家齊の妻と不倫する顧辰との取引で、家齊と反派を監視するというバイトを始める。そのために家齊のスマホにアプリを忍ばせるわけだが、これが遇安にとって、家齊という人間をより理解するアイテムとなっていく、、、
姜家の小舅と弟の家魯(辛雲来)は、どちらも社会的には自立出来ておらず、唯一会社勤めをする家齊が金銭的に支援している。姜家は家齊へ負担を強いていることを恥じてはいるが、小舅は過去の失敗から浮上出来ず、家魯は一度味わった栄光を捨てきれず、映画業界へしがみ付いている。といっても今は何も出来ていないが。
つづく
追記ネタバレ 第5話~第6話。
顧辰との取引で、反派を追い出すためのスパイ行動を精力的に行い始めた遇安は、家齊の後ろ盾だった重鎮を追い出すことに成功する。賄賂の出先を調査していることも遇安の密告によって顧辰に既に知られていたため、遇安が勝手に遂行した力技も顧辰にとってはどちらかと言えば都合が良かったらしい。
重鎮を追い払ったあとの標的は家齊の番となり、引き続き遇安の盗聴は続くが、顧辰にとっての有益な情報は得られず、むしろ自分にとっての新たな事実を知ることになる。
当時、履歴書を見て自分を採用したのは家齊だった。理由は、特技欄に記載した「跑步」(走ること)。リメイク元の韓国語→日本語の訳では「かけっこ」となっていたが、かけっこだと競争のニュアンスが少し入りそう。
ともかく自分を採用した理由を、走り続けられる人は我慢強いはずだから、と言った家齊の言葉は、人との関わりもなく自分へ向ける他人の印象に関心もなかった遇安の胸に響いたんだろうと思う。
頼る者もなく両親の借金を返しながら祖母を守る日々に一瞬うっすらとした光が差し、唐突に走り始めた姿には切なさしかないが、待ち伏せしていた陳任の存在で再び闇へと引き戻される。
この男とは幼馴染みだということが今回分かるが、祖母の施設の未払い分を代わりに返して、自分への借金を敢えて膨らませている理由は言わなくても分かる。不器用な男だよ。
今のところの遇安は、家齊を監視し貶めるつもりで動いているが、必要のない家庭の会話を盗聴して自身の心の穴も埋めているように見える。耳と口が不自由な祖母と二人で語る者もろくにおらず、家齊とその家族の他愛もない会話で自分もその一員になったかのような温もりを感じているんじゃないのか。この辺りは、善き人のためのソナタのHGWXX/7を思い出す。
一方の家齊は、盗聴されていることも、盗聴されたその情報が顧辰に漏れていることにも気付いていない。追い出された後ろ盾の上司は、二人の間だけの会話が漏れていることに気付き、家齊へも不信を抱きながら地方へ去って行った。自分を排除しようと動く顧辰と妻が不倫しているとも知らず、冷めきった妻との生活にも疲労を感じており、叔父や弟とつるんでばかりの日々である。
家齊が家庭に息苦しさを感じて実家に入り浸っているのは、まずは甲斐性なしの身内を放っておけないことや、優秀な妻を満足させられない自分が不甲斐ないと感じているのか本当のところは分からない。以前、妻に言われていた通り、育ったあの場所から抜け出せておらず、新たに築いた家庭も自分の居場所ではないと感じている節がある。妻にとってはそれが疎外感を感じる部分であり、メリハリのない夫相手の寂しさを顧辰で埋めているんだろうが、その心中を晒すのは、不倫がバレてからじゃない?と思うところもあって、この段階でキレるにはまだ早い気がしたんだけど笑
どれにおいても期待せず諦めたように生きる家齊は、自らの心中を語ることもなく何がそうさせるのかも定かではない。ただし、分かりづらくとも身内や他人に対しての情は深く、苦しむ人を放っておけない優しさがある。これからその家齊の良さがじわじわと見えてくるはず。
小舅と弟の家魯は共に商売を始めるようだが、借金だらけの小舅は妻に離婚を迫られ、家魯はまだ映画界への夢を捨ててはいない。これから家魯を巡る大分濃いドラマが展開するはずだが、この役柄に辛雲来だとちょっと男前すぎるんだよね笑
つづく
追記ネタバレ 第7話~第10話。
この4話で、家齊と遇安には互いの理解者は互いだけという思いが段々強まってきた。
遇安は相変わらず金のために家齊を追い出す計画を進めているが、その一環で家齊の唇を無理矢理奪い、その写真を噂好きの不倫先輩へと送って広めさせるよう仕組む。この時は、実際に家齊を貶めるつもりだったんだろう。(結局未遂に終わった。)
飯を驕るだけの若い娘から唐突な攻撃を食らった家齊は困惑し、悶々と考えたあげく遇安をクビを言い渡すが、顧辰派の上司に許しは貰えなかった。
屍のように生きる私たちの人生は同じように腐っている、という遇安には家齊が自分と同じだと既に分かっている。必死で隠してきた心の闇を見透かされた家齊は、恥ずかしくてたまらない思いだが、家齊もまた、これまでの境遇のせいで、大人の世知辛い事情が分かるくらい早く大人になりすぎた遇安を気の毒に思うのである。
この辺りで、陳任が借金を盾に粘着する理由も分かってくる。
「あの男はもう死んだでしょ?」(この台詞ほんとせつない。)陳任からの暴行で付いた青あざを見た祖母に言い聞かせた言葉で、過去に遇安が借金取りだった陳任の父親を殺めたことが分かる。借金を残したままの両親が消えたあと、家に現れては祖母に暴力を振るう日常に耐えられず、その男を刺したのである。幼馴染だった陳任はおそらく遇安を好いていたんだろう、それでも父親を殺められた怒りは収まらず、愛と憎しみの挟間で今も苦しみもがいている。どうしたらいいのか分からず、暴力を振るうことでしか捌け口が見出せないんだろうが、今のところはただ腹が立つだけのポジション。
ほどなく、商売を始めた東山(小舅)に起こった土下座事件で、静かにキレた家齊は誰にも言わずに報復へ向かうが、家族を守るためには一線も超える勢いの家齊の姿が、祖母を守るために行動した自分と重なり、遇安は初めて涙を流す。
知らぬところで自分の怪我を気遣い、家族に対して同じ思いを持つ家齊という人間を知り始めたことで情と信頼は既に芽生えつつある。全て盗聴のおかげなんだけど、、、
この様にして、もっとこの人を知りたいという思いで、既にイヤホンは欠かせないものになっているが、社内の飲み会で家齊が辱められた日などは、この人が消えてしまわないかという焦りで、唐突に走り始めるシーンはほんと泣いちゃうのだ。唯一の理解者として家齊の存在が大きくなっていく今となっては、スパイ行動のための盗聴ではなく、あんな小さな身体で家齊を見守るための手放せない綱となっている。そのため顧辰への密告も害が及ばない程度に済ませて、金だけはしっかり貰うというしたたかさ笑
家齊がひたすら気力もなくそれでも生きているのは遇安と同じく家族のためである。妻子を持ち、手はかかるものの身内仲が良く割と恵まれている風の家齊が、そこに至った原因は定かではないが、やはり仕事面で後輩に先を越され、自分の居場所が不確かとなったことが大きいんだろうと思う。年齢的に更年期という可能性もあるが、、、
その家齊が、謎の誰かに暴力を振るわれながら祖母の面倒も看ている遇安の境遇を知ったとき、少し自分を恥じた部分もあったんじゃないか。年の離れたその存在に知らずのうちに生きる力を貰って、胸を張って前へ進むだけの日々がすぐそこに迫っている。
祖母初見のシーンでは、買い物カートに乗せた祖母とカートを押す遇安を見送り、戻ってきた時に一人では担げないことを見越して、じっと家の坂下で待つ家齊の優しさが沁みる。
至10話でもオリジナルの設定が忠実になぞられていて、お見事という他ないんだけど、韓国版はIUの芝居が驚異すぎたからやっぱり違いはあるね笑
東山と家魯のパートは概ねコメディだが、家魯には新たな再会が訪れる。
かつて映画監督として華々しくデビューした家魯は、次作で出会った大根女優のせいで、名声は地へ堕ちてしまった。と自分では思っているが、その女優もまた、この底辺から這い上がれないのは家魯のせいだと思っている。かつて同時に転落して這い上がれないままの二人の話はこれから。
つづく
追記ネタバレ 第11話~第14話。
序盤の賄賂の件を引き続き調査する元上司と家齊は、手掛かりを頼りに妻が顧辰と密会しているホテルへと行き着く。そこで妻を目撃した家齊は若干胸騒ぎを覚えるが、立て続けに現れた顧辰の存在でおおよそ確信はあったようだ。
思い返せば、その片鱗は至るところにあって、自分が妻を追い詰めていたことを反芻し落ち込むばかりである。家齊は自分なりに妻を愛し、負担を掛けまいとしていたのだろうが、口下手で不器用なためにそれが妻には伝わっていない。しかし夫を傷付けずに会社を去らせることに妻が殊更拘っているのは、後味の悪い最後にしたくない思いとは別に、情は相変わらず存在し、優しい人間だと分かっているからなんだろう。これまでの回想を鑑みると、妻を疎かにしすぎた家齊はかなり分が悪いと思うわ。都度の不満をいくら言っても変わらない家齊が、安心しきって現在のように妻の問いかけにロクに反応しない状況は、妻の心理的にもきつい。だからといって不倫を肯定する話ではないんだが、この夫婦関係に関しては、家齊が妻を大事に扱う描写が皆無なため同情しづらい部分がある。
それでも妻と子の存在だけは、自分の足が地に付く唯一の場所だったのだと思われる。妻には気付かぬフリをして顧辰へ直接別れを強要した家齊の姿でそれが分かるが、もう少し妻への気持ちの描写があっても良かったんじゃないかと思う笑
遇安はこの事情を知る唯一の他人だが、壊れかけた家齊が心配でたまらず、イヤホンから伝わる呼吸の荒さに焦りを感じては居場所を確認して走り出し、その儚げな存在を守っている。
スパイという名目で盗聴を続けているため何も口には出来ないが、心をなかなか開かない自分を理解し、変わらぬ親切心を向ける家齊へ、自分の事情も少しずつ語り始める遇安の家齊を見る目は、情愛ではなくとも安堵感に変化している。
その家齊が苦しむ妻との問題は、遇安にとっても他人事ではなく、なんとかこの苦しみを取り除いてあげたいと思い始める。ほどなく顧辰と一触即発状態に陥ったことを機に、妻へも何か行動を起こすようだよ。
つづく
追記ネタバレ 第15話~第16話。
妻の車の前に立ちはだかって顧辰の本音を聞かせた遇安は、目を醒ませと言って去って行く。顧辰に家齊の妻への愛情がなかったとは言えないが、己の野心を上回るほどではなく、先輩へのちょっとした優越感に浸る道具の意味もあったんだろうと思う。人妻が一番リスクが少ないと言っていた辺り、この妻と結婚するつもりもなかったんだろう。
妻の方は、そんな男と再婚を考えていたのだから、惨めさが半端ではない。その後の悲しむ期間が割と長いことを考えると、余程顧辰に惚れていたのか、又は、騙されていた自分が情けなくてたまらないのか。
顧辰の野心は未だ進行中であり、そのせいで家齊にも禍が降り掛かっているが、それはともかく、妻を敵に回した顧辰の終わりは近そうだ。
このようにして陰で家齊を守っているような遇安だが、その存在を守ると同時に自分の存在の意義も得て、生きる力が戻ってきたように見える。ただし金払いの良くなった遇安を、陳任は不審に思い監視を始めていた。
追いかけて目撃したのは、遇安が向かいに座ったおじさんに笑顔を向ける姿。これを見た陳任の表情はなんだか哀しそうで、自分がこんなに苦しい思いでいるのにアイツが笑っているのが許せない、という気持ちではなく、自分には見せたことのない笑顔をあのおじさんには見せていたことに傷付いていたように見えた。
その腹いせなのか、次は家齊を監視して接触を試みる。これを遇安に咎められた陳任は、そこに好意があることを感じて更に傷付いたようだが、遇安の思いが恋心だとしても家齊の想いまでも得ようという気持ちは一切ない。ただ家齊が健やかに暮らせることだけを望む思いが、初めて他人に掛けたあの加油という言葉に詰まっている。
一方の家魯は、運命を左右させられた女優に付き纏われているが、お互いがお互いの心に傷を付けたために、もはや傷をなめ合って一緒に浮上するしかない運命なのかも。
つづく
追記ネタバレ 第17話~第21話。
かつて監督と主演女優の関係だった頃、芝居の出来ない悠悠を散々いびって自信を失わせた家魯は、おそらく今まではそれに気付いていなかったのだと思われる。怒りの沸点は低いものの心優しい家魯は、昔の私を返してという言葉で過去を振り返り、自分には立ち直らせる責任があると思い始めて屈託のなかった悠悠を取り戻すための協力を約束する。
遇安の方は、借金を返すまでは報酬が必要なため、相変わらず家齊を守りながらも顧辰の望む結果に貢献しているよう見せかけている。顧辰へ宣戦布告をした家齊は、副総裁の座を巡って対立することになるが、家齊を貶めたい顧辰は、遇安を使って弱点を作り出そうとしている。そんな顧辰を誤魔化すため、適度に情報を与える遇安だが、盗聴を通して知っていく家魯を不憫に思い、それでも自分のために陰で尽力する存在に今では恋をしているようだ。
ほどなく遇安の古くからの知り合いにより過去を知った家魯は、陳任の元へ乗り込んで盛大な殴り合いを行う。ここで遇安が陳任の父親を殺めた事実を知ることになるが、間髪入れずに、自分が同じ立場でも殺す、家族を傷付けるような奴は俺でも殺す、と言い捨てる。
誰にも知られないよう隠してきた秘密を、敬愛する家齊へ知られることを最も恐れていた遇安にとって、自分の知られてはならぬ行いを否定せず理解すら示した家齊の言葉で、胸のつかえが取れたように爆涙する姿は胸が痛む。
この後、殴られて血だらけになった家齊の知らせを受けた身内や地元の仲間たちが、大勢で街を駆けずり回って捜しにやってくるシーンはオリジナルでも気に入っている部分で、比べるのもなんだが間というか尺が足らず面食らう笑
オリジナルを観ていると、忠実にそれをなぞって展開されるリメイク版とをどうしても比べてしまうのが欠点である。作品によってオリジナルを超えるリメイク版もあるが、この作品に関しての主観は、どの部分においてもオリジナルの方が圧倒的に上回るため、一見する価値はあると思う、、、
ただしこの段階の陳任だけは表情に憂いがあって、より人間味が増している。(オリジナルだとこの辺りまでは無機質で憎たらしいだけ。)殴り合った後の陳任の回想で、かつては父親に殴られる遇安を助けていたことが分かるが、相反する思いの中で、もがき続ける陳任の姿に少し同情心をくすぐるような絶妙芝居を見せられている。
一方、妻(怡君)の方は、不倫の件が夫の耳に入らぬよう遇安を追い出そうと試みるが、既に家齊には知られていることを聞かされる。自分が知らぬフリをすれば夫婦関係は継続出来ると考えて、家齊は顧辰に口止めをしたわけだが、それを不憫に思う遇安の口から怡君には伝わってしまった。
不倫を知られていることを知る妻と、自分が知っていることを誤魔化せていると思う夫との生活は実に緊張感があるが、ほどなくそれも露わとなってしまう。
怡君の言い分は理解出来る。実家に入り浸って自分を一度も優先することのなかった夫の態度に寂しさは当然あっただろう。怡君が習慣の違う実家へ率先して溶け込むことが出来なかったことにも要因はあるが、もう少し家齊が怡君を気遣うような描写があれば心証も違っていたのも、この夫婦関係に関しては怡君だけを責められない思いが湧いている。常に心優しいはずの家齊が、茶碗の飯を中途半端に残して、さっさとテレビの前に座る姿が冷たすぎて仰天したもん、、、それともこの類の素っ気なさは大陸だと普通なのかな。だからといって不倫してもいいという話ではないが。
傍らで、家齊は遇安の祖母のための養老院を紹介し、無事入院させて負担を減らすことに協力している。祖母にとっては、孫に負担を強いてばかりの自分が歯がゆく、背負ったものへたった一人で立ち向かう姿に不憫さはあっただろう。
あなたのような人が遇安の側にいてくれるからやっとあの世へ旅立てる、祖母の笑顔が沁みた、、、
つづく
追記ネタバレ 第22話~第24話。
家齊が言っていたように、不倫ではなく離婚を切り出すならまだ良かったが、顧辰なんかと陰で付き合っていたとなると怒りと虚しさは倍増する。自分なりに怡君を愛し、身内の揉め事などに巻き込むことを避けたゆえにすれ違いは起きたわけだが、何の責任もない顧辰の見せかけだけの優しい態度は怡君にとっては心地良かったんだろうと思う。
この件で、完全に自分の足場が揺らいだ家齊は妻との会話を反芻しながら心は晴れずにいる。ただし本音を明かしたことで、言葉にせずに抑えてきたものが吐き出されて一歩前進はしたように見える。
顧辰の方は、スキャンダルで家齊の評判を落とそうとして、やはり遇安の存在を利用することになるが、それが逆に家齊の評価を上げるという失態を犯す。
尋問を受け、それに答えた遇安の言葉一つ一つが、会社への称賛に繋がる家齊の存在の尊さを証明していた。オリジナルのこのシーンでは、「このビルを見るだけで力が出ます。」という言葉があって、このドラマ一胸が熱くなる瞬間だったが、こっちでは端折られていた笑(度々のオリジナル話がウザくてすみません、、、)
これまでの遇安を見てきた視聴者にとっては、こうまで言わせるほど変わった遇安の未来に光が見えて安堵する。家齊へ伝えた好人や謝謝という言葉も、おそらく誰にも引き出せなかったあの遇安の言葉だからどこか価値がある。それを感じた家齊にも自身の存在にいくらか価値を見出せたはずである。
このようにして、恋愛をするという形ではなく、もっと深い部分で繋がりつつある二人に、今度はかつて嵌められた家齊の元上司の手が迫る。家齊には未だ嵌めたのが遇安だと分かっていないため、阻止するはずもないが、遇安と小哲はバレる前に逃走せねばならなくなる。それでも副総裁の座を巡って対立中の顧辰から家齊を守るために盗聴は続けているが、盗聴から漏れてくる家齊の言葉はどこまでも家齊の尊さを確認させるだけで、その度に遇安の心を癒している。
家魯の方は、激情型ながらも辛抱強く悠悠を立ち直らせることに尽力している。復帰した先でも監督にいびられる日々に、再び気持ちは堕とされてしまうが、今回は家魯の存在のおかげでなんとか立ち向かっていけそうである。家魯の反撃しろという言葉の後のあの平手打ちで、かつての家魯への仕返しを遂げた悠悠には清々しさが見えて良かった。結局、最初から好意の裏返しだったとはね。
つづく
追記ネタバレ 第25話~第28話(最終話)。
創立者の心も動かした遇安の言葉と、顧辰への牽制が決定打となり、家齊は副総裁の座を手に入れるが、何も言わずに退社した遇安が気掛かりでたまらない。何度も連絡を取ろうとする家齊へ別れを告げるために電話した遇安の言葉は、伝えたかった偽りない本心だけだった。
この辺りで、以前嵌められた件を追っていた元上司が手掛かりを掴み、結果的に自分が遇安に盗聴されていたことを知る。いくらか衝撃は走ったんだろうが、いつもとさほど変わらぬ落ち着きで事実を受け入れた家齊には、救われたことが遥かに勝っていたために怒りなどは全くなかったようだ。
この後、逃亡中だった遇安を見付け出し、己の迷走を正気へと導いた存在に気付いた怡君の協力で、ほどなくこの件は責任を問われることなく解決する。
同じ頃、顧辰は追われる罪から何とか逃れようと足掻いていたが、証拠となる盗聴記録を持っていたのは陳任で、今度はこちらから金を要求されることになる。
序盤から、借金を盾に遇安に付き纏っていた陳任は、幼少の思い出と肉親の死との挟間で苦しみもがき続けていたが、盗聴の中身を確認したことが一瞬で陳任を光へと導いていく。
かつて自分が代わりに殴られることで遇安を救っていた陳任だったが、それに恩を着せるような発言がこれまでなかったため視聴者にはその過去が薄っすらとしか見えていなかった。どれだけ殴られても頑なに通報しなかった遇安には、この陳任の姿が刻まれていたからだとここでやっと気付く。
「不忍心」という言葉で表現された陳任への感情は、かつての頃を忘れたような態度の遇安からは本人すら気付けなかった部分である。陳任はあの頃の感情を手放すことが出来ず、借金で縛り付けていたわけだが、共に過ごした日々を捨てたように見えた遇安にあの頃を思い出して欲しかっただけなのかもしれない。それを忘れたわけでなく、遇安の記憶に刻まれていたことだけで全てを許して手放すには十分だったんだろう、自分を取り戻すために必要なものを手に入れた陳任は、顧辰の金などには目もくれず最終的には粋な計らいを残して去って行く。(顧辰の罪を問う証拠の盗聴記録を家魯へ送る。)結局この男も、遇安と同じく相手が幸せになることだけを望んだ温かい人間であり、陳任に光が戻り本質が見えてくる芝居にじんわりした。
やっと安心してあの世へ旅立てる、と家魯に謝意を伝えていた祖母もほどなくして亡くなり、街中の仲間たちに見送られて葬儀を終える。家魯との出会いがなければ一人ぼっちだった遇安は、ここでもまた救われることになる。
互いが互いのおかげで存在意義を見出し、やっと息の出来る段階へと達した二人は各々の道へ足を進める。
妻は留学する子の元へ発ち、遇安は新たな場所で歩み始めて、ぽつんと残された家齊へ不意に襲ってきた感情は形象し難いが、漠然とした苦しみを抱えて日々を過ごす中で、ぽっと現れた遇安という存在へのやり切ったという少しの達成感やそれに伴う喪失感、反面で安堵感でもあるようなよく分からない感情だったんだろうと思う。