『度华年(度華年)The Princess Royal』
2024年 6月〜 中国 全40話
原作 「长公主(長公主)」 墨书白(墨書白)
出演
李蓉→赵今麦(趙今麥)
裴文宣→张凌赫(張凌赫)
苏容卿(蘇容卿)→ 陈鹤一(陳鶴一)
通常のやり直し系の作品とは一風違った設定が面白い。
ネタバレ 第1話~第10話。
20年の婚姻関係を結んだ長公主の李蓉と首輔(宰相的な地位)の裴文宣が、最後は憎み合って死を迎えるところから始まるが、よくある二人のうちの一方が、過去へ戻ってやり直しをする、という話ではなく、二人が同時期に婚姻前に戻ってやり直すというところが新鮮である。
憎み合って昇天した記憶のある二人が、再び出会ってどう展開していくのかと思っていたが、過去の互いの中にあったのは、敵対心や憎しみだけではなかったことが段々見えてくる。
戻った時期は、駙馬を選出するという話が上がった頃であり、かつてと同じように、その宴の場で公主の李蓉と駙馬候補の裴文宣は再会する。
一周目では、夫との離縁が出来ずにいたため、想いを寄せていた蘇容卿との恋が実らずに息を引き取ってしまった。それだけが心残りだった李蓉は、同じ宴に出席していた容卿を見付けて喜びが隠せない。
前のめりで容卿に近付く李蓉を、ジトっとした目で監視する、こちらも記憶のある裴文宣は、既に嫉妬心がみなぎっている。ゆえに、この段階で、憎んでたのではなく愛していたのだということが分かる。
互いが記憶のあるまま二周目を生きていることも、割と早い段階で判明するが、過去に仲違いするまでの出来事が、おおよそ誤解から生まれた猜疑であったため、これを一つ一つ解いていくのだと思われる。
李蓉は、かつて裴文宣の婚約者だった秦真真(のちの太子妃)の件で、夫がまだ秦真真を愛しているのだと思い込み若干傷心していた。二周目でも、彼女のことばかり思い出しては口にする様子をみると、それが仲違いする最大の原因だったのかもしれない。ということは、余程、裴文宣を愛していたのではないか。
裴文宣が秦真真の件をはっきり否定しないのは、何か事情があるのだろうが、おそらく李蓉が誤解しているだけである。その誤解、まだ解けてないけど笑
お互いが二周目だというのを知った後では、これまで対話もせずに言いたいことも言えなかった鬱憤を晴らせているため、段々と誤解も解けていきつつある。
この口喧嘩のような微笑ましい対話の中に、長年の情とその間に築いた愛情が見え隠れしているため、どこかのタイミングで、封じ込めていた気持ちの堰が切れそうではある。
容卿の方も、一周目の駙馬候補の宴には出席していなかったことや、言動の端々を踏まえてみると、二周目なのかもしれない。
容卿は実に不憫な男である。
過去に皇帝から謀反予備軍と見做された蘇家は、家を潰され、一族は全て処刑や流刑を科されて、彼一人、命だけは取られずに李蓉に仕えていた。しかも官刑という処罰を受けていたため、宦官だったのだと思われる。
美しく儚げな容卿は、第1話から怪しいと思わせる空気を纏っていたものの、至10話では、もしかしたらミスリードに誘われたのかも、、、と思い始める。
かねてから、常に李蓉の側にいる容卿を危険視していた裴文宣は、李蓉の気持ちを考慮して当時は言えずにいたようだが、二周目でやっとその心中を口にする。これを聞いた李蓉は、自分を毒殺したのは裴文宣だと思い刺客を放ったのに、実は容卿だったのかもと思い始める。
結局、同じ境遇の二人には信じられるのはお互いしかいないのである。
割と簡単に容卿に疑いを抱く事案が登場したため、動機が揃い過ぎていて、逆に首謀者ではないのかもしれない。彼も李蓉を愛しているようだし、裴文宣に邪魔されなければ駙馬の座も考えていた。
他に容卿がやろうとしていることは、蘇家が破滅させられた歴史を修正することだと思うが、彼の目的も、二周目なのかも明白ではないため、どう動くのか分からないな。
他国に武器を売ったり、辺境で兵を蓄えていたりと、朝廷にとっては危険因子だった楊家は、皇帝と裴文宣の茶番でさっさと消されてしまったため、目下、二人の最大の目的は太子を守ることである。
かつて皇帝となった太子の終末は、元の素直で明るい姿は消え、憎しみと絶望に苦悩する姿に変わってしまった。それを変えるには、皇宮では自分たちを含め、誰一人幸せではなかった負の連鎖を断たなければならない。
そのため消去法で考えると、駙馬の地位に就くのは、やはり裴文宣しかいない。事情を分かっている中身は熟年の夫婦が再び夫婦となった方が、正直手っ取り早いってのはある笑
寒門出身の裴文宣は、公主という立場で何も知らずに育った李蓉と違い、かつての皇宮の様々な事情も把握していたようだから、李蓉のために言えずにいたことも多くあったのだと思われる。今世でもそれは変わっていないが、対話を交わして少しずつ誤解が解けるといい。
協力関係となる過程で、裴文宣が、かつての太子の心中を口にしていたが、太子の気持ちを思ったらほんと切なくなった。
二度目の婚姻関係を結んだ二人は、互いの想い人との恋を実らせることに力を注ぐことにするが、その想い人がお互いだと気付くまでが楽しい期間になると思う。姿は20と18でも、中身が40と38だと思うとちょっと面白いね笑
つづく
追記ネタバレ 第11話~第12話。
皇宮で不幸だった皆の心を守るため、早速、李川の賜婚の危機を回避した二人だったが、秦真真を入宮させなければ、彼女と李川の気持ちはどうなってしまうのかな。
李蓉は、未だ裴文宣の想い人が秦真真だと思っているため、わざわざ自分たちの婚姻はただの契約で、じきに離縁するということを彼女に伝える。
おそらく秦真真の悩みどころは、李川は好きだけど太子だし、入宮するのは躊躇しちゃうな、という部分だから、李蓉からの謎の告白に困惑していたように見える。
思い込みで人の話も聞かずに突っ走り、傷ついた心を隠すことに慣れてしまった李蓉は、このことを20年来にして初めて夫に指摘される。
土砂降りの中、過去には伝えられなかった自分の想いを告白する裴文宣の姿で、遂に言ってくれたという安堵感を得られることとなるが、これまで思い込んできた裴文宣とは全く別の顔を見せられた李蓉は、唐突に飛び出した予想もしない言葉を受け止められず、戸惑ってしまう。
口論することに疲れて去っていく裴文宣を黙認して、ここでまた、過去を繰り返すのかと自問する李蓉は、大雨の中、裴文宣を追いかけるんだけど、、、
最初に口にしたのが「對不起」だったのが、個人的には最高に嬉しかった。歩み寄ろうとする姿勢がよかった。
「権力の裏には人の心がある。その心が分からなければ、結局、望むもの全ては空っぽのままだ。」
20年にして初めてその心が見えた李蓉は、これまで見ないふりをしてきたことを悔いての謝罪だったのだと思われる。いや、李蓉としても良かれと思っての選択だったわけだが、思い込んで人の話を聞かないため、見逃していたことも沢山あったんだろう。
それを理解してもらいたくて、必死に誤解を解こうとする李蓉の姿は実に尊いものがある。これまで一方的に押さえつける態度で振舞っていたのだから尚更である。
長い歳月、妻を見てきたからこその指摘で、やっとスタートラインに立った二人、過去に戻った甲斐があったというものである。
人の心が分からないと言われていた李蓉は、これを少しずつ改善していくのだろうが、未だ自分の心も分からず、容卿への気持ちもまだ掴めていない。
朝廷では、権力争いの一環で、太子妃の座を得るために娘を道具にするいつものおじさん達(皇后含む)で溢れている。皇后と上官家の考えは一致しており、そちら側に付く蘇家も、李川(太子)と懇意にしている秦真真の存在が邪魔なのである。
そこで、秦家を陥れ、売国奴として破滅させることにする。
李蓉と裴文宣が介入したことで、既に歴史は変わりつつあるが、上官家への賜婚がなくなったことで、代わりに秦家が潰される危機に陥ってしまった。
上官家以下が仕込んだ、楊家との偽の密通書を証拠として出された秦家は窮地である。戦で武功を上げても、権力を乱用され、すぐに破滅への道へいざなわれるのは実に気の毒である。
李川は、この窮地を救うため、公主の権力で「督察司」なるものを立ち上げ、世家に手出しされぬよう皇帝直属の調査機関として、独自に秦家への疑いを調査することを提案する。
これは元々、裴文宣が提示したものだが、この機関の立ち上げに関して、皇帝や世家を説き伏せるには、全てが李蓉の手腕に懸かっている。
中身が38とはいえ、重い使命を背負わされた李蓉は悩んでいるものの、夫と盟友、どちらにしても自分は既に生死を共にする覚悟がある、という裴文宣の言葉は、おそらく強く心に響いたのではないか。
とはいえ、まだ先は長そう。
めちゃくちゃ良い感じになってきた。容卿もういらないな、、、
つづく
追記ネタバレ 第13話~第15話。
督察司設立に説得力を持たせるため、秦真真が自害したことにして、彼女の無念を晴らすことを託されたかのような茶番を計画した李蓉は、見事皇帝の関心を引くことに成功する。
これで皇帝直下での秦家捜査の権利を得ることとなるが、それに反対する各機関に邪魔をされてすんなりとはいかない。その間にも、囚われた刑部で秦家の者は痛めつけられている。老いた祖父に鞭を当てるのやめてくれんか、、、
一芝居打った秦真真は亡くなったことになっているため、その名を捨て、侍衛となって李蓉の側に仕えることになる。良かった、いつか李川とも共に過ごせるときが来るといい。
李蓉の自身の気持ちを確認させるため、口では容卿との縁を一度試してみてはどうかと言う裴文宣は、実際に二人で会わせることは心配でたまらない。過去に、お互い心を寄せていた事実があるため、今世ではどうしても容卿には奪われたくない気持ちがあるんだろう。ハンカチぽいっ!のシーンは気持ちに正直すぎて笑う。
それでも秦家の件で会わねばならない李蓉は、容卿と待ち合わせて会うことにする。
その間、裴家に召集された裴文宣は、秦家の件に手を出さぬよう公主を諭せ、という命令を聞かず、鞭打ちを受けている最中だった。
これを知った李蓉は、容卿との予定をほっぽり出して勇み足で乗り込んで行くが、今は愛だと気付かずとも、今世では夫を全力で守るつもりのようである。18では上手く使えなかった権力も、年輪を経て38になった今では、その権力に相当する話術も身に付けている。その姿を前にして、裴家はぐうの音も出ない。
二叔は公主にでさえ、女は黙ってまつりごとには口を出すな、という態度で挑んでいるが、この男はかつて裴文宣の父を死へ追いやった首謀者である。道理で生意気だと思ったよ、性根の悪さがその顔面から出ている。(という芝居が巧み笑)
鞭打ちで弱った裴文宣は、ここぞとばかりに李蓉への気持ちがむき出しとなっているが、昔もこうやって寄り添っていたかった彼の気持ちを考えると切なくなった。今のところは、はいそうですか、といって寄り添うことは出来ない李蓉も、やはり過去では得られなかったものを得ているという実感はあるのではないか。
直談判の内容は違っても、過去を繰り返す李蓉の情景が浮かんだ裴文宣は、かつては一歩先を越されて容卿に奪われた李蓉の心を、今回は自分が奪いに行く。
やっぱり人って必死さが重要なのだよ、、、余裕で歩く容卿を後ろ目に、駆け足でその機会を掴みに行く裴文宣にはちょっと感動した。
ここで流れる「执爱(執愛)」韓ドラっぽいね笑
だけど、タイトルは正に裴文宣の心そのままである。
夫を亡くし、男共に丸め込まれて意見することもなかった裴文宣の母親は、夫を殺めて財産を奪ったのが二叔だというのを知り、閉じ込めていた自分の意思を取り戻すこととなる。仕向けたとおりに母親が奮い立ち、二叔を引っぱたく姿はもっとやれとすら思ったところ笑
秦家の件は、皇帝もいつまでも待ってくれないようだし、権力を持つ世家が立ちはだかり順調にはいかなそうだが、修正することによって過去で不幸だった皆が報われるといい。特に秦真真には、その尽力が報われて短命だった過去が覆されるといいな。
つづく
追記ネタバレ 第16話~第19話。
秦家冤罪のための証人は世家から軒並み消されていくが、最後に残った証拠を手に入れるため、裴文宣が遠方へ出向くこととなる。
もちろんこれにも追手がいるわけだが、事前に刺客に備えていた裴文宣は、崖から落とされても証拠は手放さずに生き延びる。
京では、崖から落ちた裴文宣が亡くなったという話が出回り、李蓉も音沙汰ないことに不安が隠せない。必ず生きて戻ると信じてはいるものの、万が一のことを考えると不安が拭えないのである。
これから先の未来のためにやらねばならぬことが山ほどあるのに、さすがにここで死なれては、到底一人で成すことは出来るのか、という不安もあったんだろう。
裴文宣の李蓉に対する想いは明白だが、未だ自分の気持ちが見えない李蓉は、無心で彼の名前を書き続け、しまいには手紙に気持ちをしたため始める。自分では無意識なのだろうが、どう見ても愛である。
裴文宣が亡くなったことを機に、すぐに容卿も動き出す。
もう二度とすれ違いたくない、といって李蓉を娶る意思を伝えに来た彼は、やはり二周目なのだと思われる。ただ、李蓉も容卿もお互いがやり直していること確信がないため、今のところは推測の域を出ない。
李蓉は、過去に抱いていた気持ちが未だ残っており、この申し込みを受けてかつての出来事を回顧して想いを巡らすが、何か言葉にする前に夫の帰京の知らせを受ける。
この時点では、少し期待していた容卿にとっては気の毒な結果となるが、彼が裴文宣に警告していた、李蓉が矢面に立つこの状況が命取りとなり、一度は手放さざるを得ない状況になるかもしれない、まだ残り20話以上あるし、、、
裴文宣が証拠を持って帰京したことで、秦家はギリギリで打ち首を免れ解放される。これによって、秦真真の侍衛としての役目も終わり、彼女も皇宮を離れることになる。
最後の李川との会話は実に胸の詰まる思いだが「以前は守ってあげられなくてごめん。」の「之前」っていつのことなんだろう。今世で秦家が糾弾された時なら分かるが、続けて「今回は入宮させたくない。」と言っていたことに、私の脳内では混乱が生じる。
過去では入宮して早世した秦真真だったが、今回は入宮には至っていないため「這次」ってのが引っかかるなぁ、、、
まるで、やり直し前のことを謝罪しているように思えてしまったが「起こってしまったことは変えられない。」という秦真真の反応を見ると、もし二人が二周目だとすれば、互いにそれが分かっていることになる。しかしそんな様子も会話も全くなかったし、皆が皆戻っているわけないか、、、
上官家では、じいさんが家事を退き、上官雅が取り仕切ることになるようだから、心強い味方となりそう。このまま望む人と一緒になってほしい。
李蓉と裴文宣は、明らかに心を寄せ合い始めているが、元々封じ込めていた気持ちだし、李蓉がそれに気付くのも時間の問題だと思われる。一方で、李蓉のまつりごとの参入が気に入らない各部署から狙われる裴文宣、、、今回は浅い傷だったものの、裴文宣を狙って警告してくる輩を誘い出すため、李蓉は自身が囮となる計画を立てている。それを夫には黙って行おうとしているため、またひと悶着ありそう。
つづく
追記ネタバレ 第20話~第22話。
刺客を誘き寄せる計画は上手くいったものの、裴文宣とはすれ違う。
連れ立ってお散歩気分で出掛けるだけだと思っていた裴文宣は、李蓉を喜ばせるための舞台を完璧に揃えていたが、結果は、まつりごとの延長での血まみれた舞台となる。何も知らずにいた裴文宣は、純粋な想いを踏みにじられたことに惨めさが隠せない。
李蓉は、過去20年で知る裴文宣の姿が未だ大きく影響しているため、言わずとも、彼がこの計画を知っていて、それに合わせての外出だと思い込んでいた。全てを把握して計算高く動く男だったから。この時点では、愛情だけのための行動が出来る男だとは思っていなかったのかもしれない。それくらい新婚当初に受けた情の印象は薄れていたのだと思う。
ゆえに、今世で心が近付きつつあるものの、未だ意識の中ではその確信が持てず、疑って自分を守って来たこれまでの習慣をそう簡単には変えられないのである。
違っているのは、この気持ちを正直に打ち明けられたところ。以前、馬車を降りて追いかけたこともしかり、しっかりその裏にある人の心を分かろうとしている。
この後の裴文宣のじらし作戦が成功していたのを見ると、それでも計算高いところはあるよね笑
刺客を寄こしたのは刑部の謝大人の差し金だったが、この刺客の正体は存在を知らずにいた自分の息子だったようである。(あの血液鑑定では親子の証明は出来ないけど笑)名門に生まれたゆえに愛を捨てねばならず、歳を隠されていたために自分の子だとは思っていなかった謝大人の過去は気の毒だが、その事を知らず息子に命を獲られた一周目よりは、まだいい方だったのではないか。少なくとも藺飛白の心は守られたのだと思いたい。
この後の、どんなに憎んでいても死にゆく時は一番美しかった思い出が浮かぶという話の中で、裴文宣の最後の情景は知れたが、李蓉が見た情景は何だったのかな。
この件で、李蓉も今世に戻って来ていることを確信した容卿だが、憎み合っていた裴文宣となぜまた一緒にいるのかが腑に落ちず、結果、裴文宣も戻って来ているのではという疑いを持つ。
容卿は、世家で利用出来そうな人物を次々と望む方向へ引っ張っているが、おそらく、蘇家と李蓉を守るためだけに動いているため、そのせいで犠牲になる人々のことは眼中にはない。
この男にとっては、かつて死にゆく李蓉に「最大的遺憾就是錯過你」とまで言われたのだから、それを今世では実現させようと必死なのである。暗い影を纏って怪しげな動きをする容卿は、一見鬱陶しく思えるが、かつても結ばれず、今世では心すら手に入れられないと思うと、過去も現在も不憫な男である。
つづく
追記ネタバレ 第23話~第26話。
演奏会で猛々しく挑発し合った裴文宣と容卿は、メインだった柔妃の娘と息子の影を打ち消すほど、激しい戦闘心がみなぎっている。今世こそはと互いに心に誓っているために三人の暗躍も続く。
かつての惨劇で破滅してしまった蘇家が、巻き戻した時間で新年を祝う姿は、一族全部が笑顔に満ちていて悲劇の欠片すらも見られない。しかし過去を修正しようとするあまり、墓穴を掘り続ける容卿は、李蓉とは敵のような立ち位置になり始めて、また官刑の繰り返しにならないかとハラハラさせられる。
皇室の不和を招くため、容卿は世家と一緒になって、柔妃や各部署の官職者を利用した上に、様子を窺っていた上官雅をも騙して、裴文宣を思いのほか高い地位に推薦することをやってのける。
李蓉は、少しばかり位を上げる程度のつもりで裴文宣の手助けをしたものの、結果は四品という地位になってしまった。
寒門出身の若い裴文宣(と李蓉)が、四品に成って力を持つことを警戒した皇帝は怒り狂うが、この結果は、李蓉も裴文宣も望んでいたものではない。
このことを皇帝に弁明し、おそらく裏で何者かが暗躍した結果だと示唆したものだから、柔妃を疑った皇帝は、彼女を引っぱたいて責めることとなる。
この行為が柔妃の恨みを買い、おそらく皇帝は毒殺されるのではないか。寵愛されているのに、己の非によって一度責められたくらいですぐ手を下すとか、何の忠誠心もないんだね、、、この皇帝も普段の様子を見ると狭量の極みだが。
李川の方は、秦真真との文通でなんとか心を保っているようだが、婚期を遅らせる件でもまたもや容卿が何かと手を回していた。
この弘徳関連で掻き回された李蓉は、皇帝の警戒心を和らげるため、やむを得なければ一度離縁するという計画を提案する。その離縁という言葉で、不安な気持ちに追い打ちを掛けられた裴文宣は怒り心頭である。
今となっては、裴文宣だけでなく李蓉の方も既に夫を愛していることに気付いているため、激しい罵り合いでお互いを傷付け合っているが、一周目よりも心中を曝け出すことで理解は深まっている。
ちょっと恐ろしいくらいの形相で船を漕ぐ裴文宣は、離れたくない気持ちがあまりにも大きく、無理矢理、强吻する描写もあるが、どうやら張凌赫は强吻キャラを確立してしまったようだな笑
どこかで観た激しい嫉妬と强吻(もちろん寧安如夢のことだけど)、、、少女大人での非の打ち所のないキャラから、人間くさいキャラに見事に進化?したのだね。
その後、意地を張らずに素直に心中を晒すところが、二周目なだけあって、面倒な拗ねらせ合いを続けることなく進むのが良い。
弘徳を知っていたことで、容卿も戻って来ているのが確実となったわけだが、今のところ、彼の動きが自滅へ向かっているために、蘇家の惨劇を防ぐことが出来るのか分からない。裴文宣を排除するための彼の計画は、結果的にその妻の李蓉をも敵に回している。
容卿としては、李蓉が戻って来ていれば、最後の言葉は有効だと信じているはずだから、そう易々と心変わりをしているとはおそらく思っていない。どちらにしても傷付いた容卿が闇堕ちしそうではある。
過去を改善していくはずが、戻って来た容卿が妙な動きで掻き回すために、全く明るい方へは向かっていない。李蓉も蘇家の破滅は繰り返したくないのが本心だと思うけど。
つづく
追記ネタバレ 第27話~第32話。
思えば、蘇家を破滅に追いやったのは李川の代だった。ゆえに太子を皇帝にさせないことが、容卿の目的だったのを失念していた。
太子に代わって粛王を皇帝の座に置くという淡い期待が、容卿の存在によって現実味を帯びてきた(ように見えた)柔妃は、独自の路線でそれに向かって進む。容卿に相談とかしないのかよ笑
少し前に、容卿が科挙について手を回している話があったが、これは、合格者の座をすり替えられた寒門出身の学生たちが、不満を爆発させて騒動を起こさせることが目的だったのだと思われる。
この騒動で太子への責任を追及して、その座から引き摺り降ろすまでが容卿の計画だったが、李蓉と裴文宣も黙っては見ていない。
背面で暗躍している存在を皇帝に気付かせるため、どちらからも利用される立場となった柔妃は、李蓉が派遣した崔玉郎にそそのかされ、その学生の中で告状を提出した陳厚照の存在を李蓉が始末したのだと思わされる。
後に、柔妃が悪事の全てを担っていたように証言されていたが、おそらく彼女の及ばない出来事も、裴文宣によって捏造されている。仕掛けたのは容卿の方だが、なんというかどっちもどっちな気がしないでもない、、、
粛王を太子にするため、督察司をその足掛かりにしようと考えた柔妃は、陳厚照への罪で李蓉を糾弾し、督察司から彼女を追い出してその座を掴むことに成功する。
柔妃を失脚させるため、この行動を予測して崔玉郎を送り、裴文宣とも離縁した李蓉に踊らされている柔妃の姿は実に哀れだが、この時点では、彼女が皇帝に毒を盛っていることは誰も知らない。
督察司に粛王が就任し、寒門出身の学生の陳情で世家と対立することとなった柔妃は苦しい立場である。それでも息子に太子の座を獲得させるためにその道を突き進む。
結果、李蓉の策略に嵌って予想通りの失脚を遂げることになる。皇帝も、これが李蓉の策略だったことを早速見抜くが、大勢の前で柔妃の悪事を暴露されてしまっては、皇帝の力を以っても救えぬと諦めたようである。
柔妃としては、寵愛されている自分は必ず救ってもらえると信じていたのだろう。救えぬ皇帝に激しい怒りをぶつけて、二度と子を作れぬ毒を盛っていたのを自ら告白する柔妃は、まだ活路を見いだすことを諦めてはいない。
牢に囚われた柔妃は、今度は娘(華楽)を利用して、粛王を太子にし、自分が太后の座を得ることを思い付くが、そのために李川と李蓉の存在を殺めねばならないことを華楽へと吹き込む。優しい顔をして選択肢を与える柔妃だが、もちろん華楽の選択を見越してのことである。母親を守るための純粋な心で、二人を殺す選択をしたこの責任の犠牲を、娘に取らせることに躊躇もないのだね。
今回は、皇帝の若干不憫な部分も垣間見える。
(本心であれば)割とまともなこの皇帝は、上官家の皇后とは反りが合わず、寵愛妃にも裏切られ、太子もパッとせずでこの国の行く先を憂いているのである。
世家で最も力のある上官家の血を引く太子が皇帝になれば、その力が一層増してしまうために、世家連中が私利だけに囚われて国や民を顧みないことを危惧していたようである。
そのため、この国や民を託せる気概が太子にあるのかどうかが気がかりだったが、太子の口から出た言葉は期待に沿う結果にはならず、憂いはますます募るのである。
これ以上は自分の血縁を残せない身体となった皇帝は、太子にそのまま皇帝の座を譲るのか、それとも粛王に譲るのか苦渋の選択を強いられるのだろうが、どちらにも期待していない様子は見える。反面、李蓉の才覚は既に分かっているようだから、李蓉に譲る選択肢もあるにはあるが、、、
上官雅は、実にいい働きをしていて、時には慰め、時には鼓舞して李蓉を支えているが、心を寄せる容華とのこの先は既に諦めたようである。
それもこれも、容卿が謀反とも捉えられる動きをしているためだが、太子に挑むような計画を遂行する彼は、蘇家を守るために今度は自分を犠牲にしようとしているのか。
容卿の中では、起こることからは逃れられない、という思いが消えず、家族には何も知らせずに己一人で虐の道へ向かっている。家族には一切影響のないよう、自分だけで犯したことの責任を取るつもりなのだろうか。そもそも過去にどのような罪で蘇家が糾弾されたのかも分かっていない。
李蓉や容華から、今ならまだ引き返せると再三言われている容卿は、そうしたい思いとそうできぬ思いの挟間で苦しんでいるのかもしれない。過去の惨劇の哀しみを手放せないために、全てが終わらないうちはその心も解放はされないが、その終わりが死だと思うと辛いところ。そうではないことを祈ります。
破滅の道を進む容卿とは相対して、李蓉と裴文宣の絆はより一層強まっている。柔妃の件で、自ら危険な賭けをした裴文宣の身を心底心配しているし、以前の疑うような気持ちなどはほとんど消えてしまったようである。
しかし、まつりごとは不穏な空気を纏い、誰が味方で誰が敵なのか見えないために、どこから飛矢が襲ってくるかが分からない状況となっている。太子に狙いを定めている勢力(容卿)が最大の敵だが、周りの世家や官職者がどちら側なのかが全く分からないために、どうなるのかという妄想もはかどらないな笑
秦真真の兄の友人の顔をしていた崔とかいう輩もスパイだったため、誰も信じられない。
つづく
追記ネタバレ 第33話~第34話。
32話までにあれこれ考えていた妄想とは全く違う方向へ持っていかれた笑 しかも現在の話ではなく、過去に起きた出来事のせいで。
しかしこれで、容卿が積極的に李蓉を奪いに行かないのも、破滅へ突き進んでまでも、李川を皇帝にはしないという思いを捨てないことにも合点がいった。
結論から言えば、かつて李蓉を毒殺したのは、今世で今必死に守っている李川だったのである。皇帝となり、周り全ての人間が姉さえも信じることが出来なくなっていた李川は、李蓉に命を獲られると思い込み、先に手を下したというわけである。
それを知っていて黙認していた容卿と上官雅は、手を出すこともなければ救うこともせず、ただ傍観していただけだった。それも次の皇帝に李信(序盤に名前だけ出ていた)を据えるためである。
李信は、上官雅と容華の子であり、李川の子ではない。これをおそらく知っていた李川は、蘇家を破滅させて、残った容卿には官刑を課したのである。
容華が亡くなり、唯一その血を引く李信を守るため、容卿と上官雅は李蓉を助けず傍観して、命を獲られるのをただ見送るだけとなったようである。
ということは、容卿の李蓉への想いは愛ではなく罪悪感なのだな。結局、李蓉を愛していたのは「長公主は陛下の姉上じゃないですか、そんなことしませんよ。」と言っていた裴文宣だけだったようだ。戻って来ている裴文宣の様子を見ると、おそらく李川が手を下したのにも気付いていない。
しかしこの話は戻る前に起きた未来(20年後)の話である。
皇宮での不幸な人生を送らされた果てのこの所業は、上官雅にも李川にも今はまだ芽生えていない悪心である。
それでも聞かされた李蓉にはその区別を付けるのが難しく、今世は友達のようにして語らう上官雅に、過去の所業を気持ちでは責めている。李川に至っては、今は純粋で無垢でも、心に抱えた虎がいつか飛び出すことを危惧して、皇帝に推すのは間違いかもしれないと思い始める。
そこで下した決断は粛王を太子にすること。
その粛王は、柔妃の件で疑心を抱かれた皇帝に毒殺されてしまった。息子を諦めきれない柔妃の兄が連れて来たのは、、、おそらく替え玉だと思う、、、
35話からの配信カレンダーが妙な動きをしていたため、収官礼が出るのだろうと思っていたけど、、、やっぱり出たみたい笑
つづく
追記ネタバレ 第35話~第40話(最終話)。
ストーリーが散漫せずに、序盤からの目的に到達するまでを一筋に描いた作品だったため、余計なことに混乱させられることもなく最後まで面白かった。
最後の6話は、李川や上官雅が望まぬ生を歩んで、変貌していく姿に死ぬほど時間が割かれている。終盤などは、それによって狂わされた過去を手放せなかった容卿が主役といっても過言ではない。
最後に駆け足となる作品も多いなか、この6話に重点を置いて、じっくり描かれる皇宮の闇と容卿の葛藤は実に見応えがあった。
今回もやっぱり負けてしまった、と言っていた容卿だったが、そうじゃない、一度目は勝っていた。ただその機会を自分から手放したのだ。子は作れずとも、共に過ごした17年間、心は容卿のものだったよね。それよりも家族への想いが勝っていたために、己でその機会を放棄したのである。
二度目も同じく、家族を守ることに必死になっていたために、裴文宣のように自分で機会を掴みにいく気合で負けていた。一度に二つを得ることは、一つを得るために必死になっている人間には敵わない。
自分が弱気だったわけではない、あなたが彼を好きだと分かっていたからだ。と最後に言っていたのも、家族を守るためには敵対せねばならず、やむを得ないと言い聞かせたのだろうが、一番はやはり過去の自分の罪悪から逃れられず、李蓉の心を得ることを諦めていたのだと思う。その罪悪を拭うためにも幸せに過ごす姿を見られて最後は少し救われたのかもしれない。
生きて欲しいという周りの人間の思いは分かるが、彼にとっては死によって自分に科した罪を償って満足したように見えたな、、、容華は本当に弟思いの兄だったために実に不憫だった。(見返してみると、裴文宣が容卿を琴の前に座らせる引きの絵面が笑える。)
常に疑心を抱え、世家の脅威に苦しんで愛息を手放しに愛せなかった皇帝や、寒門出身の柔妃の長年に渡る劣等感など、皇宮でのそれぞれの息苦しさにもしんどい思いをさせられた。
何処から連れて来られた粛王の替え玉が一番気の毒だったけど、、、連れて来られた意味、、、
結果的に、過去に不幸だった皆の運命を変える、という序盤からの李蓉と裴文宣の目標は全て(容卿を除く)達成され、皆が思う通り生きる姿には大きな満足感を得られる。裴文宣が過去も現在も一途に李蓉を愛する姿は実に良かった。
このドラマは、最近よくある委ねる系でもなく確実にハッピーエンドだったために、さすがに文句も出ないと思う。ぶーぶー言われるのは、最後6話の配信スケジュールくらいかな笑
↑別の面でぶーぶー言われてるみたいですね、、、