2月から、書こう書こうと思っていたのですが、ショックが大きくてなかなか着手出来ませんでした。
でも今日、ようやく投稿します。
風光明媚な長野県大鹿村に2021年からリニア新幹線の工事が始まり、送電線の鉄塔を建てるために樹齢300年以上の2本のブナの木が伐採の危機にあったことを、何度かブログでお知らせして来ました。
そうしましたら、長崎でお会いした事のある読者さまが、私のブログを巨木好きなご主人にも読んでもらったそうなんです。
ご主人は色々調べて何とか伐採を避ける手立てはないものかと、ご自身が制作に関わっているNHKの番組内で取り上げて下さる事になったのです。
それが、美輪明宏さんがナレーターを務める『にっぽん 巨樹の旅』という番組でした。
「番組内で、ブナの巨木を取り上げる事になったきっかけはmisaさんだから、観て下さったら主人も喜びます。」と奥様は番組が放送される度に事前に知らせて下さっていました。
そして今年2月11日に放送されるシリーズ6回目の番組の時も、奥様が放送直前にLINEを下さったのですが、今回はこれまでと様子が違ったのです。
ご主人さまは、この大鹿村の番組ロケの帰り道、大西山(1741m)の登山道から滑落し亡くなってしまわれたと。。
信じられません。。
めちゃくちゃ仲の良いご夫妻だったのに。。いつも奥様のLINEから、ご主人さまの優しさが滲み出ていました。
奥様のLINEより↓
『彼を迎えに現地に行きましたが、豊かな自然に恵まれた大西山は、リニアモーターカーの工事のために、酷いことになっておりました。
土砂を削り、木を伐って、工事のためのトラックが何台も何台も山道を連なって走っている光景に、夫が心を痛めたのが心底理解できました。』
これからも、もっともっと良い番組を作って、私たちに大切な事を訴えかけて欲しかったと、残念でなりません。。
ご主人の最後の番組は、録画してあるので永久保存版にさせて頂きました。
みなさまにも、ご主人の遺作でもある番組の内容を是非知って頂きたく、内容をシェアしたいと思います。
山の中腹にそびえ立つ2本のブナの木。
リニアの送電線の鉄塔を立てるため、伐採されようとしていたブナの木ですが、村の若者たちが署名などで伐採反対の運動を起こしたのです。
リニアの消費電力は新幹線の3倍なので、大量の電氣を送るため、大鹿村だけで9本の鉄塔を立てる計画になっていました。
その結果、2本のブナの木は伐採を免れることは出来ましたが、周りの樹木は全て切り倒されていました。
言葉を失う青木さん。。
ブナの木を守りたいという一心だったのに、ブナのために自分が取った行動は、果たしてこれで良かったのかと自責の念にかられるのでした。
電力会社は、ブナの木は残すが鉄塔は予定通り立てるという姿勢でした。
周りの木が伐採された事で、強い雨風が直接ブナに当たるようになり、ブナの幹に亀裂が入っていました。
ますます落胆する青木さん。
しかし、近年の研究で樹木同士が交流していることが明らかになったのです。
『菌根菌』を介して樹木同士がやり取りをしているというのです!
プラネット(惑星)は、まさにプラントのネットワークでできているのです。(番組では言ってないけど)
辺りを良く見ると、あちこちからひこばえが生えてきていました。
まだ根っこが残っているため、そこから新しい芽が出てきていたのです。
という事は、まだブナの木と根っことのネットワークは繋がっていたのでした!
樹齢300年ほどの巨樹ともなるとマザーツリーとも言われ、様々な種類の木と繋がることが出来るそうです。
稚樹に栄養を与え育てていく事も出来るので、この地にブナの巨樹を残せたことは次世代に大きな意味を持つと研究者の人たちに言われ、青木さんもようやく安心できたようでした。
山はひとつの生命体↓青木さんが描いた絵
人間の開発と破壊さえも乗り越えていく力が、この2本の巨樹にはまだ残っているかも知れない、その力を信じたい。
2022年12月には、ブナの巨樹のそばに77mの鉄塔が立っていました。
日本は巨樹の国。
巨樹は人を救い、人は巨樹にこうべを垂れて来た。。。
人の何倍もの生命力のある巨樹は、存在そのものが神だと思います。
送電線が通れば、電磁波の影響もあるかも知れません。
だけど、そんなものに負けないでブナの巨樹には大地にしっかりと根を張り、いつまでも存在していて欲しいと心から願います。
物言えぬブナの巨樹に代わって、身を挺してたくさんのメッセージを残して下さった◯◯さんの為にも。。
<まとめ終わり>
本当に良い番組だと、涙しながら観ました。
こんなにも心に残る番組を制作して下さりありがとうございました。
だけど、本音を言えば、ご主人さまにはもっともっと活躍していただきたかったです。
そして、私がブナの巨樹のことをブログで書かなければ、ご主人もブナの木を取材しに大鹿村の山に登ることもなく、事故に遭うこともなかったかも知れないと思うと、私にも責任がある氣がしてならないのです。
前途ある有能な優しい方を失ってしまった悲しみは深いです。
ホントに悔しくて残念すぎますが、◯◯さんのご冥福を心よりお祈り致します。
今度、奥さまとふたりで温泉宿かどこかでご主人さまのことを語り合いたいと思っています。。。