ツタンカーメンが着用している「ヘムヘム冠」の象徴的意味について考察します。
この冠はファラオが葬祭儀礼の際に用いたもので、その形態は非常に独特です。古代エジプト人は形・色・配置に強い象徴性を持たせており、細部に至るまで意味が込められています。
ヘムヘム冠の基部には雄羊の角が置かれています。雄羊は繁殖力と豊穣の象徴であり、生命力の源を示す存在です。その上に配置された中央の三つの形(上の絵の赤い線で表した形)は、私は女性器の象徴として表現されていると考えています。この構造は、日本神話の八咫鏡の中心の黒丸(下の図)とも共鳴しており、黒丸が「再生・復活の場」、すなわち子宮を象徴する点と響き合います。そこから生まれ出る球体は、生命の誕生を示すものと捉えることができます。
三つの女性器形態は、オリオン座(上の図)の三ツ星(小三ツ星)を象徴している可能性があります。古代エジプトではオリオン座は再生の太陽の舟として重視され、のちにジェド柱へと象徴変換されました。ヘムヘム冠の三つの形は、この宇宙的再生の構造を冠の中に取り込んだものと考えられます。
冠の周囲に配置されたウラエウス(立ち上がるコブラ/上中央の青で囲んだ部分)は、ファラオの王権を示す守護の象徴です。私はこのウラエウスを男性器の象徴と捉え、中央の女性器形態と合わせて、男性性と女性性の結合による再生の原理が表現されていると考えています。
以上のように、ヘムヘム冠は生命の再生、宇宙の循環、男女原理の統合といった象徴が複合的に組み込まれた、極めて豊かな意味構造を持つ冠であるといえます。
※ 玉座の写真はEgyptologyさんからお借りしました。





