古代エジプトのファラオやホルスが身につける「ヘジェト」(白冠)は、ボーリングのピンのような形をしていますが、その下部には円い甕のような形が付随しています。
私は以前、ヘジェトの形を「シャボン玉が生まれ出る瞬間の形」として考察しましたが、今回はこの円い甕(下の写真の青の部分)のような部分を 八咫鏡の構造 と照らし合わせて再解釈してみます。
八咫鏡の中心に描かれる黒い円は、トーラス構造の中心部に対応します。
この中心は、再生・復活・変容が起こる場所であり、古代の人々はここから新しい生命、霊魂・魂・神霊などが生まれ出ると考えていたはずです。そして、これらの存在は球体として理解されていました。
私は、この中心部分を「円い甕」として捉え、それがファラオの頭上に表現されたのではないかと考えています。
八咫鏡の構造(上の図象)では、中心の甕(青色の部分)から膨らむ形(赤色の部分)が現れ、その後に球体が生まれ出ます。
ヘジェトの形は、まさにこの「球体が誕生する瞬間」を象徴的に表したものだと思われます。
古代の人々は、形をさまざまな事象に変換して象徴化する能力に長けていました。
彼らは八咫鏡の構造を理解し、その再生原理をヘジェトの形として表現したのではないかと考えています。
※ 八咫鏡の構造は吉野信子氏の著書より引用



