大湯環状列石の遺構から出土した片口土器について考察します。
この土器は、開口部が四角形を呈しており、一般的に円形が主流である縄文土器の中ではきわめて珍しい形態だといえます。
私は、深鉢形土器の開口部の円形は、太陽ハロ(日がさ)の円環を象徴的に表現したものであると考えています。しかし、このような解釈は一般にはほとんど共有されていません。深鉢土器が水を入れて煮炊きに用いられたことを踏まえると、太陽ハロがもたらす雨(水)との象徴的な共鳴は、古代人の感覚において自然であったように思われます。
一方、この片口土器の四角形の開口部は、円形の四隅を直線化して表現した形態と捉えることができます。また、三つの直角部分に付された円形文様は、幻日や上端接弧など、太陽ハロを構成する光学現象を円形として象徴化した可能性があると考えています。
古代においては、干ばつや不作が生活を脅かす重大な問題であったはずです。そのような環境の中で、太陽光や雨をもたらす太陽ハロの形を土器に表現することは、祈りや願いを込めた重要な行為であったと推測されます。
この片口土器に刻まれた四角形と円形の組み合わせは、太陽ハロという自然現象を象徴的に捉えた縄文人の世界観を示す貴重な手がかりであると考えています。





