縄文土器は深鉢型が圧倒的に多く、世界的に見ても日本だけが突出した「深鉢文化」を形成しています。これは他地域の土器形態と比較すると明確です。

 

研究者は、この縄文の深鉢偏重を次のように説明しています。

 

(1) 煮炊き中心の食文化

 

縄文人は

• 木の実のアク抜き

• 魚介類の煮込み

• デンプン質植物の長時間加熱

を日常的に行っていました。

深鉢はこれらの調理に最適であり、生活様式が深鉢を大量に必要としたと考えられます。

 

(2) 定住性の高さ

 

縄文人は狩猟採集民としては珍しく、定住性が非常に高い文化でした。

深くて重い土器は持ち運びに不向きですが、定住生活では問題なく使用できます。

 

(3) 水と火を使う調理技術の発達

 

縄文土器は世界最古級であり、水を煮る技術が早くから発達していました。

深鉢はその象徴的な器形といえます。

私の考え:深鉢型は「日暈(ひがさ)」の形象である

 

私は、これらの考古学的説明に加えて、縄文土器の形態にはさらに重要な理由があると考えています。

 

縄文土器の口縁部には、

 

 

 

• 四隅が尖って反り上がる形(上の写真)

 

 

 

• 四隅が盛り上がって二股になる形(上の写真)

 

 

 

 

 

• 火焔型土器のように四隅が炎状に立ち上がる形で上から見ると円の中に均等な突起や〇が配置された形が多く見られます。(上の写真)

 

これは、私には 「日暈(ひがさ)」の形をもとに深鉢土器に表現したと考えています。

深鉢は日暈(ひがさ)の太陽アークを土器に表現した(下の図)と私は捉えています。

 

 

 

日暈は、太陽と水(大気中の氷晶)が生み出す光の現象であり、

古代人にとっては 雨をもたらし、生命を守る神聖な兆しとして受け取られた可能性があります。