電視観望は直焦点撮影なので、視野角(倍率)は鏡筒の焦点距離とカメラのセンサーサイズによって決まります(詳しくは「機材選び カメラ編」を見てください。)。普通の観望(眼視)のようにアイピースを使用しないので、焦点距離の異なるアイピースに変更して倍率を変更することができません。
電視観望で倍率を変更したい場合は、フォーカルレデューサーとバローレンズを活用することになります。
・フォーカルレデューサー・・・焦点距離を縮める=倍率が下がる=視野角が大きくなる(視野が広くなる)
・バローレンズ・・・焦点距離を延長する=倍率が上がる=視野角が小さくなる(視野が狭くなる)
メシエ天体などディープスカイを対象とする場合は、高倍率は必要ありませんので、どちらかというと視野角を広げたいというニーズが多いと思います。逆に、惑星などを高倍率で見たい場合は、バローレンズを使います。いずれにしても、電視観望で倍率を変更しようとすると
フォーカルレデューサーかバローレンズを使用するしかありません。今回は、フォーカルレデューサーとバローレンズを使用した倍率変更に挑戦しました。
まずは、フォーカルレデューサー。
「機材選び まとめ」で紹介した機材を使うと、フォーカルレデューサーなしの場合は、こんな感じです。
月が全部入り切りません。
0.5倍のフォーカルレデューサーを使用するとこんな感じになりました。
Amazonで31.7mmの0.5倍フォーカルレデューサーを購入して、ZWO ASI385にねじ込んで撮影しました。(使用したフォーカルレデューサーはこちら。2000円しませんでした。)
たしかに視野は広くなりましたが、なぜかピントが合いません。安物だからでしょうか?とりあえず、後日ゆっくり考えてみたいと思います(問題先送り)。
次にバローレンズ。今度は逆に拡大してみます。別の日に月を撮影しました。
まずは、バローレンズなしの状態。
追加レンズなしの時の視野角は、先日のフォーカルレデューサーの時の満月と同じぐらいです(当然ですが)。
5倍バローレンズを使った結果がこちら。
若干ピントが甘くなりますが、バローレンズなのでこんなもんだと思います。拡大率が上がって迫力は出ました。
(使用したバローレンズはこちら。こちらも2000円しませんでした。)
<後日追記>
フォーカルレデューサーは、0.5~0.7倍程度のものしか見たことが無く、あまりレパートリーがありません。また、フォーカルレデューサーを使用すると、視野周辺の収差が大きくなりがちです(視野周辺が伸びて見える)。一方、バローレンズは2倍~5倍程度のものが各社から発売されていて、調整幅も大きく、性能の良いものは高価にはなってしまいますが、像も安定しています。
これらのことを考えると、「長焦点望遠鏡の焦点距離をフォーカルレデューサーで縮める」よりも「低焦点望遠鏡の焦点距離をバローレンズで延ばす」方が有利だと思います。