マーカー機能
ここまで読みながら実践されていればある程度モデリングはできるようになっているかと思います。
次のステップとしてモデルに座標を入れてみましょう。
metashapeでは、マーカーと呼ばれる目印に座標を落として対応させることができます。
(マーカー機能はプロフェッショナル版のみの機能です)
モデルに座標を入れることで、次のような変化があります。
・スケールの調整
・表面積や体積の測定が可能に
・DEMなどの出力が可能に
・GISソフトなどに向いた出力が可能に
知り合いの測量屋さんに聞いたところ、座標を入れたところで正しい形に修正してくれるわけではないそうなので、結局は丁寧に写真を撮ってモデリングすることが大事です。
さて、今回のお題はコチラです。
Google ドライブから写真をすべてダウンロードしておいてください。
(今回もスマホで撮影しています)
本来ならばトータルステーションなどで座標を入れたいところですが、そこまでするのも面倒だったので今回はメジャーでざっと測りました(怠惰)。
マーカーの種類
マーカーは目立つもので動かないもの、点が特定しやすいものなら何でもいいと思います。
あんまりしたくないですが、石の尖っている部分のような点でも可能です。
とは言いつつ、皆さんが使っていらっしゃるものは図1のようなものだと思います。
図1 各種マーカー
遺構の撮影、遺物の撮影それぞれ用途によって使い分けが必要かと思います。
図1左上の丸い白黒のマーカーはmetahapeから入手できます。
「ツール」メニューから「マーカー」、「マーカーのプリント」を選択します。
図2 マーカーのプリントの選択
すると、次のような設定画面がでますのでお好みの設定にし、OKを押します。
PDFで保存できますので、お好きなところに保存してください。
図3 設定画面
保存したものを開くと図4のようになります。
これを印刷して使えばいいんですが、ページ数が多いのでお気を付けください…。(僕はこれですごい量のマーカーが印刷されてびっくりしました)
図4 出力されたマーカー
マーカーの設置
では、さっそくマーカーを設置していきます。
今回は白黒丸のマーカーと(画像では見えにくいけど)赤ピンを使っています。
現場ではこれが使いやすいかな。
図5 マーカーの設置状況
マーカーを置くことで、マッチングの目印になりマッチングしやすくなる利点もあります。
(マニュアルでは写真ごとに4つ以上のマーカーを写すことを推奨しています)
白黒なら大抵の環境で目立ちますので便利ですね。
中央の石をモデリングしたいのでその周りに並べてみました。
知り合いの測量屋さんによるとマーカーを線で結んだ範囲内は精度が高く、マーカーから離れるほどズレる傾向にあるそうです。
ですから、テキトーに配置するのではなく、どこをモデリングしたいか考えて配置しましょう。
今回は平面的になっていますが、トレンチなどでマーカーを配置する場合は、壁と床両方にマーカーを置いて立体的に対象を囲めるといいですね。
マーカーの読み取り(手動)
それではマーカーを配置した状態で撮影した画像を使ってモデリングしてみます。
まずは低密度クラウドの構築、そして今回は時間短縮のため高密度クラウドをすっ飛ばしてそのままメッシュとテクスチャを構築します。
図6 低密度クラウド → メッシュ(ソリッド) → テクスチャ
ん~、石はそこそこきれいにできてるけど、他が汚い…。
これが失敗例です。皆さんはこんなことにならないようにちゃんと写真を撮りましょう。
さて、気を取り直してマーカーをモデル上に落としてみましょう。
マウスのホイールを使って、モデルの赤ピンにグーっと寄ってみましょう。
赤ピンの真ん中で右クリックをし、「マーカーを追加」を選択します。
マーカーは左クリックとドラッグで動かせますので修正は可能です。
図7 マーカーの追加
マーカーはモデルからではなく、写真からも同様に追加できます。
今回はメジャーを使ってざっと50cm四方に赤ピンを配置していますので、各赤ピンにマーカー1~4を追加します。
図8 他の赤ピンにもマーカーを追加
すると、写真ゾーンに青や緑、白の旗が表示されます。
緑は認識済み、青や白はまだ認識されていないので写真を開いて、マーカーの旗をクリック&ドラッグで正しい位置に置いて認識させましょう。
この作業をすべての写真に対して行います。
この時にマーカーのズレを修正しておく必要があります。
図9 緑・青・白の旗
ただし、以下のようによく見えない場合は無理して設置しないでください。
マーカーを選択して右クリックで「マーカーの削除」ができます。(青・白旗ならそのままでも大丈夫です)
図10 葉っぱで釘の中心が見えないのでマーカーを置かない
また、すでに別の写真で配置したマーカーなら、写真上で右クリックから「マーカーを配置」で選択できます。
図11 マーカーを配置
こんな感じで、全部やってみましょう。
…とここまでやったのが、手動でのマーカーの読み取りです。
写真にマーカーを置くだけならmetashapeに写真を読み込んですぐでもできます。
やってみた方は分かりますが、まぁまぁ面倒ですよね。
しかも実際にやるときは100枚以上写真を使うことも多いです。
手動でちまちまやってられません。
ということで、次の項では自動の方法です。
マーカーの読み取り(自動)
最初に出力した白黒の丸を使って読み取りをしていきます。
ある業者さんはこれをラミネートして中央に釘を刺して使っていました。
やりやすいように工夫してみましょう。
「ツール」メニューから「マーカー」、「マーカーの検出」を選択します。
図12 マーカーの検出
つづいて出てきた設定画面で、マーカーのタイプ等を選択します。
僕は円形12bitで出力したマーカーを使ったのでこの設定にしました。
図13 設定画面
これでOKを押せば、自動でマーカーが認識されます。
…というはずだったのですが、撮影の仕方が悪かったのかマーカーが上手く認識されません。
すみません、今回は方法の紹介ということで、勘弁してください。
まとめ
今回は座標を入れる前準備ということでマーカーの設置をご紹介しました。
残念ながら一部失敗しておりますが、これを教訓に皆さんは失敗しないでください。