
昨日の建築祭の続き。
吉田山からは岡崎まで歩き、京都市京セラ美術館へ。
欅がきれいに色づいています。

今回特別に公開されていたのは貴賓室。
こちらも立派な折上格天井。
そして、扉の彫金や木彫りの装飾が見事でした。

普段から一般に公開されている部分については以前展覧会ついでにぐるっと見学したのでほどほどに。

ただ、1階ロビーから2階の回廊に上がる螺旋階段を撮っていなかったので、人が通らないタイミングを狙って撮ってみました。
曲線が美しい。

続いては京都市京セラ美術館の向かいにある京都府立図書館へ。
こちらは五龍閣と同じく武田五一設計で1909年に開館したそうです。
阪神淡路大震災の被害を受けたため、現在は正面の外観のみが残され、あとは新しい建物となっています。
窓の上のアーチ、そしてその上のラインが柱の部分にも連続している意匠がおもしろい。

この時代、あるいは現代でも印章などでよく見かけるこの書体は、篆書体というそうですね。
「京都図書館」の文字の上には防火を表すイチョウの葉の文様があしらわれています。

今回の建築祭では外階段を上がらせてもらうことができました。

あと図書館の3階で現存する家具や資料などを見ることができたほか、図書館らしく建築本や建築が登場する文学の選書リストをいただきました。

京都府立図書館を見学した後は、丸太町通を東へ歩き、泉屋博古館へ。
ピロティ形式のモダニズム建築で、住友家の古代青銅器コレクションを収蔵するために1970年に建てられ、今年リニューアルオープンしたそうです。

ここの一番の見どころは青銅器館入口の螺旋階段。
床に放射状に敷き詰められた煉瓦タイルと壁板が調和した美しい空間です。

螺旋階段の一番上から。
(もう少し広角で撮りたいところ...)

建築祭の特典で団体料金で入館できたので、コレクションの展示も鑑賞してみました。
現在開催されているのは「中国青銅器の時代」ということで、今から約3000年前の殷周の時代からの超絶技巧の青銅器がずらりと展示されていて壮観でした。

様々な器や楽器などがありましたが、このミミズクをモチーフにした鴟鴞尊(しきょうそん)など、動物をモチーフにした青銅器に惹かれました。
これらの青銅器は鋳造技術を用いて作られたそうなんですが、3000年前に鋳造でこんなものを作る技術があったということにただただ驚かされます。

展示室は螺旋階段の周りを同じく螺旋状に少しずつ上がっていくように配置されており、展示室を出たところからはこの眺め。
ちょうど木々が紅葉していてきれいでした。

渡り廊下を渡った2号館では、「生誕151年からの鹿子木孟郎」が開催されていました。
鹿子木孟郎は近代の日本洋画界に写実表現をもたらした人だそうですが、関西美術院でも活躍されており、松風嘉定がパトロンで五龍閣の吹き抜け階段に絵が飾られていたなど、京都、というかこの建築祭の公開建築にも縁のある人でした。

その展示室に向かう廊下にあった採光窓が素敵でした。
螺旋階段ともどこか共通するコンセプトが感じられる隠れた見どころ(かな?)

建築と展示をゆっくりと楽しんで外へ出るとすっかり日が暮れていました。
日が暮れて灯りがともされた建物もまた素敵です。

ほとんどの建築が17時で公開終了する中、最後に訪れたのはなぜか公開時間が18時から20時となっていた京都市武道センター(旧武徳殿)。
そのせいか、18時前に着いた時には他の建築を見終えて集まってきた人々で長蛇の列。
ただ、広い建物なので、それほど待たずに入ることができました。

1899年竣工の重要文化財。
伝統的な和風建築を思わせる建物ですが、この広い空間を実現するために屋根にトラス構造が採用されているなど、西洋の技術が取り入れられた建築なのだそうです。

今回は朝からフル稼働で9件の建築を見ることができました。
ほとんどの移動を徒歩で済ますと、これくらいが限界かな。
街中ですが3万歩超とよく歩きました。
パスポートは昨日、今日と有効で、今日も昨日入手できなかったオンライン整理券にトライして、他の見学していない建築と合わせて観に行くこともできたのですが、本降りの雨予報だったのでやめました。
(と、観に行く方は勝手できるんですが、雨だとスタッフのみなさんは大変だと思います。)
先週は芸術祭、今週は建築祭。建築にはアートの要素もありますので面白いですね。
まだまだ観れていない建築がたくさんあるので、また、来年チャレンジしたいと思います。