
今年も「京都モダン建築祭」に行ってきました。
昨年は御所西、西陣、北大路あたりを巡ったので、今年は東山、岡崎あたりを巡りました。
まず、朝一に訪れたのは建仁寺そばにある祇園甲部歌舞練場。
玄関の大きく張り出した唐破風が特徴的。

劇場内部は伝統的な劇場の造りですが、近現代の建築技術を使って建てられているそうです。

舞台は撮影不可、客席には見学者がいっぱいで劇場全体の雰囲気がわかる写真はお見せできませんが、やはりこの豪華な折上格天井や舞台上に付けられた千鳥破風、そして、周りを縁取る提灯によって彩られた空間は、花街の華やかさが感じられて素敵です。
ただ、「祇園 花街芸術資料館」の見学は11時からだったようで、ちょっと訪れる順序を間違えたようです。

歌舞練場のお隣の「弥栄会館」は現在、改装工事中。
来春に「帝国ホテル 京都」としてオープンするそうなのですが、こちらの建築も気になるんですよね。

続いては、観光客でごった返す八坂の塔、産寧坂を通って清水寺門前にある五龍閣へ。

五龍閣は1921年に建てられた松風嘉定の邸宅で設計者は武田五一。
洋館なんですが、和の要素も取り入れられた個性的な外観です。

内部ではまず三階までの吹き抜け階段が素敵です。

ここも人がいっぱいなので室内は上向きの写真ばかりですが、1階の奥の大きな部屋はカフェになっています。

五龍閣は清水寺の参道を少し脇に入ったところにあるのですが、このあたりはいつも観光客が多くてそそくさと通過していたので気づきませんでした。
なかなか素敵な空間なのでまた機会があればお茶しに来てみたいです。

2階のお部屋には折上格天井。
長方形と正方形が入り混じっているところが珍しいです。

別のお部屋。
天井には八芒星。
窓のステンドグラスも素敵です。

五龍閣を見学した後は、清水坂を下って京都に数ある路地のひとつ、あじき路地へ。
明治末期に建てられた長屋で、現在は若手の作家さん達が暮らし、工房などを開いています。

長屋は採光のため南棟は平屋、北棟は2階建てとなっています。
奥から入口方向を見ると、背景に銭湯の煙突が入り、趣があります。

お地蔵さんの祠もありました。きれいにされています。

奥の方に空き家があり、内部を覗けるようになっていました。
いい雰囲気...ですが、実際住むとなると寒そう...

あじき路地を見学した後は、清水五条から出町柳まで電車でワープして、京都大学にある尊攘堂へ。
”尊攘”って”尊王攘夷”のこと?と思っていたら、はやりそのようで品川弥二郎が尊王攘夷の功ある人々を記念して創設したそうです。

この建物は品川の死後に、吉田松陰や幕末の志士が遺した歴史的資料を収蔵・保管するために建てられたものですが、それらの資料は図書館に移されており、現在は大学構内の埋蔵文化財を保存・展示する施設として使われているそうです。
今回の建築祭では京都大学人文科学研究所分館も公開されていたのですが、こちらはオンライン整理券が必要とのこと。
そのオンライン整理券は当日の朝7時から受付とあり、私も7時過ぎに申し込もうとアクセスしてみたのですが、どうやら秒殺だったそうで入手できませんでした。

続いては京都大学のそば、吉田山の山頂にある茂庵へ。
大正時代に谷川茂次郎が山中に造営した一大茶苑だそうで、一番大きなこの建物は茶会などを催した旧点心席。
2階部分が少し張り出していて懸造りのような柱組みで支えているところが面白いです。

1階は厨房で、2階は小屋組みで板敷きの大きな広間になっています。

現在はカフェとして営業されていますが、今日は中は見学のみで、外で飲み物や軽食の販売をされていました。

西側のカウンター席は少し眺望が開けており、左大文字や愛宕山が見えました。
ここまで登ってくるのが少し大変ですが、こんなところでお茶するのもいいですね。

旧点心席から少し下ったところには静閑亭という茶室がありました。
三方に連続した窓が備え付けられているのが特徴的です。

こちらの茶室には水屋が備えられており、さらに水屋の床の階段の下はタイル張りの地下室になっているのがおもしろかったです。

さらに少し下ると田舎席という茶室がありました。

内部は茶室と前室に分かれた間取り。

バルコニーのような露台からは大文字山が見えました。

茂庵を見学した後、吉田山から景色を見ながら下っていると、結構、木々が色づき始めているのが目に留まったので、紅葉の名所、真如堂にちょっと立ち寄ってみました。

まだまだ色づき始めでピークまではまだまだですが、真っ赤に色づいた紅葉も少しあり、切り取り紅葉なら楽しめます。
紅葉シーズンの京都はとんでもない人出なので、少し早いくらいの方がゆっくり楽しめていいかもしれませんね。
(2) へつづく...