あべのハルカス美術館で開催されているジャン=ミシェル・フォロン展とVS. グラングリーン大阪で開催されている安藤忠雄展をハシゴしてきました。
まずはフォロン展。
マグリットの絵に魅せられて、美術の道を志したというフォロン。
マグリットの影響を感じる作品はありますが、マグリットのような強烈さはなく、やさしくソフトな印象の作品が多いです。
フォロンの作品の多くに登場するリトル・ハット・マンというキャラクター。
何物でもなく、何物にもなれる、普遍的な人として描かれるこのキャラクター。
そういえば、マグリットの絵にも山高帽の男が登場しますね。
彫刻にもゼンマイ。
様々なテーマの作品がありましたが、特に多かったのは矢印をテーマとした作品。
ほかにも、天体に興味を持ったり、
水平線に魅了されたり、
環境や戦争など、社会問題への関心も、作品として表現しています。
様々なメディア向けにも作品を制作しています。
オリベッティのタイプライターの広告。
ポスター。
雑誌。
特にアムネスティ・インターナショナルの世界人権宣言の挿絵が印象的でした。
この展覧会のチラシを見るまで、ほぼ無知だったフォロンですが、柔らかな色彩とタッチで描かれるちょっと不思議でユーモラスな作品の数々、特にリトル・ハット・マンの作品は新たなお気に入りになりました。
続いては安藤忠雄展。
兵庫県立美術館のAndo Galleryや直島のANDO MUSEUMの展示は観たことはありますが、今回は大規模な展覧会で、没入体験できるような映像空間もあるようなので観に行ってみました。
基本的な展示物は安藤さんが手掛けた建物を紹介する写真、模型、設計資料など。
こちらの住吉の長屋はANDO建築の原点ともいわれる初期の代表作。
年代ごとに個人の住宅を紹介するコーナー。
ほぼ観る機会はありませんが、個人の住宅も大小問わずかなり多く手掛けられているんですよね。
住宅と言えば、六甲の集合住宅はすごい。
一度観てみたい...
一般の人にとって馴染みのあるANDO建築は公共の建物ではないかと思いますが、個人的にもっともよく訪れているのは美術館です。
中でも一番多く訪れているのは、この兵庫県立美術館。
司馬遼太郎記念館もANDO建築でした。
現代アートの聖地と言われる直島は、ANDO建築の宝庫。
もうすぐ開館する直島新美術館も楽しみです。
「こどもの本の森 中之島」。
最近は社会貢献として「こどもの本の森」プロジェクトに力を入れているそうですが、この第一弾の中之島や神戸は知っていましたが、他にも全国各地に続々と完成しているんですね。
祈りの場としてのANDO建築。
中でも教会三部作は有名です。
今は六甲ミーツアートの展示会場となっている風の教会。
「光の教会」。
そして、「水の教会」はインスタレーションで原寸の空間を再現していました。
仏教も手掛けられています。
札幌にある頭大仏は、映像で体感できるようになっていましたが、壮観でした。
海外の建物も数多く手掛けられていますが、中でもすごいのは「プルス・ドゥ・コメルス」。
18世紀に穀物取引所として建てられた歴史的建造物を美術館として再生したこのプロジェクトでは、建物の中に建物を建てる新旧建物の入れ子構造とすることによって再生しています。
この発想の原点となったのはアーバン・エッグと呼ばれる中之島の中央公会堂の改造計画。
この計画は実現しませんでしたが、それを海外の歴史的建造物の再生プロジェクトにおいて実現してしまうとは。
安藤さんは近年、建築家の枠にとどまらず、大阪への恩返しとして、都市再生や緑化運動にも注力しており、このグラングリーン大阪はその最前線とのこと。
安藤さんの描く大阪の未来、ちょっと楽しみになってきました。