大阪中之島美術館にテート美術館展を観に行ってきました。
2ヶ月前に長沢蘆雪展を観に来た時、テート美術館展は既に並行開催されていたのですが、その時は副題の”ターナー...”の文字を見て、ターナーなら10年ほど前にターナー展を観たし、今回はいいかと思ってスルーしていました。
しかし、よくよく展覧会の詳細を確認すると、ターナーを主題としているわけではなく、「光」の表現に着目して、ターナーから現代アートまで幅広く展示されており、草間彌生やジェームズ・タレルなどの作品(ともに撮影不可)もあるということで、改めて訪れた次第です。
ジョセフ・マロード・ウィリアム・ターナー/湖に沈む夕日
ターナーの作品は写実的な風景画ではなく、後半期に描かれた光を抽象的に表現した作品が数点展示されているのみでした。
印象派よりも少し前の作品ですが、すでに印象派のような表現を試みているところが興味深いです。
ジョン・マーティン/ポンペイとヘルクラネウムの崩壊
ターナーの他は名前にも作品にも馴染みがなく、ただ光の表現に注目しながら観ていきましたが、この作品が特にインパクトがありました。
空想画なので、現実にはあり得ないような風景ではありますが、奥から差し込む強烈な光によって火山噴火の恐ろしさが伝わってきます。
エドワード・コーリー・バーン=ジョーンズ/愛と巡礼者
これは、光うんぬんよりも、周りの小鳥たち(いろんな種類がいる...)が気になりました。
クロード・モネ/エプト川のポプラ並木
モネやシスレーなど、印象派の作品も少しありました。
ジョン・ブレット/ドーセットシャーの崖から見るイギリス海峡
絵画で最も気に入ったのは、展覧会のキービジュアルにもなっていたこの作品。
薄明光線がただただ美しいです。
ブリジット・ライリー/ナタラージャ
現代アートになってくると、アプローチががらっと変わってきます。
ゲルハルト・リヒター/アブストラクト・ペインティング(726)
そして表現が多様です。
デイヴィッド・バチェラー/私が愛するキングス・クロス駅、私が愛するキングス・クロス駅8 (手前)
デイヴィッド・バチェラー/ブリック・レーンのスペクトル2 (奥)
インスタレーション作品もあります。
オラファー・エリアソン/黄色vs紫
特に動きのある作品が好きです。見入ってしまいます。
オラファー・エリアソン/星くずの素粒子
こういう宇宙を感じさせるような作品も現代ならでは。
以上、ターナーらの時代から現代まで、約200年間をたどる展覧会でしたが、光の表現という意味では、現代のほうが圧倒的に多様、多彩で面白いです。
人は誰しも光を求めるものですから、芸術が光を探求する方向へ向かうのも自然なことだとは思いますが、光を自由に操る技術を手にしたことも大きいのでしょうね。
これから先、どのような新たな光の表現が観られるのか、想像もつきませんが、楽しみです。
余談ですが、今回は会場を出たあと、何かを見逃したような気がしてあとで作品リストを確認してみると、展示室を丸々1室すっ飛ばしてしまったことに気がつきました...
そこだけ動線がよくなかったために気づかずに通り過ぎてしまったようですが、出品リストを確認しながら鑑賞しないといけませんね。