京都でこの秋に観たかった美術展2つを観に行ってきました。
リニューアル後の京都市京セラ美術館。2度目。
ここで観たのは「竹内栖鳳-破壊と創生のエネルギー」
近代の京都画壇において、上村松園と並んで、その画業の全貌を観ておかなくてはと思っていたのが竹内栖鳳。
実際に観てみると、この人一人の画業を追うだけでも、近世から近代への日本画の変遷というものを感じることができました。
西洋画の表現を取り入れながらも、あくまでも日本画の技法で描く、その創意工夫というものが随所に見られてとても面白かったです。
今回の展覧会では、上の写真の作品2点とそれぞれ下絵が写真撮影可となっていましたが、この重要文化財に指定されている「絵になる最初」という作品などは、頬を赤らめる一瞬の女性の恥じらいを巧みに捉えており、上村松園の「序の舞」の指先から感じる緊張感と同じように、こういう人間の感情の微細な表現は、近世以前にはなかったものなのかなと思います。
今日は展覧会を鑑賞した後、少しだけ美術館の建物も探訪してみました。
中央ホール。
地下のエントランスから入ってチケットを購入して、上がってくるこの広々とした空間は、壁や天井が白一色。
控えめな装飾でかつ全体的に直線的な造形ながら、螺旋階段や2階のバルコニーなどに観られる滑らかな曲線がほどよいアクセントになっています。
各展示会場に向かう前に、一旦気持ちをニュートラルにしてくれるような心地よい空間です。
幾つかの展示会場に分かれている中で、今回の竹内栖鳳展は南回廊1階での開催でした。
そのちょうど真ん中あたり、一旦展示室を出たところ。
ベンチやお手洗いがありますが、そのお手洗いの裏側には「天の中庭」があります。
昔は非公開だったそうですが(そういえば、見たことなかった。)、今は中庭に出て一休みできるようになっています。
暗い展示室から一旦出て、外の空気を吸えるのはいいですね。
北回廊にも「光の広間」という中庭があります。
展示会場の出口を出ると、東側に大きなガラス越しに日本庭園と東山を眺められます。
美術鑑賞の余韻に浸るのにいい空間です。
今年の紅葉はまだまだこれからのようですね。
そして京都市美術館と言えば、玄関ホール。
今は封鎖されていますが、昔はここから入館したんですよね。
懐かしい。
美術館や博物館に入る時に感じる建物の重厚感。
今は少なくなりました。
2階に上がったところ。
天井のステンドグラスが美しい。
ミュージアムショップにはこのステンドグラスをモチーフにしたグッズも売られていました。
その中に、しおりがあり、ちょうどほしかったところなので買ってしまいました。
京都市京セラ美術館を出た後は、寺町通まで戻ってスマート珈琲店でお昼ごはんにタマゴサンドをいただきました。
京風の玉子焼きをサンドしたタマゴサンド。
味付けは塩のみで、パンに少しだけ塗ってあるからしバターがほんのり香る程度の究極にシンプルなタマゴサンドなんですが、卵がほかほか、ふわふわで絶品でした。
これはまたリピートしたい。
タマゴサンドを食べた後は、寺町通を北上し、鳩居堂で小物をいくつか購入し、
一保堂でいり番茶を初めて買ってみました。
ほうじ茶よりも安価でワイルドな普段使いのお茶。
焚火をした落ち葉を煎じて飲んでいるかのようなスモーキーな香りが意外と癖になりそう。
そして、行列がひどくて長い間敬遠していた出町ふたばで、久々に食べたかった栗餅を購入。
今日も平日にもかかわらず結構な行列で、買うまで40分かかりました。
そして、いつのまにかかなり値上がりしており、栗餅は1個320円!(豆餅は220円)
これは一線超えた感があります。もう高級和菓子ですね。
そして最後に京都駅にある美術館「えき」でユトリロ展を鑑賞。
ユトリロの絵って、ほとんどが小さな通りや教会など、パリのありふれた風景を描いていて、特段うまいともすごいとも思わないのですが、どういうわけかとても好きで、特に評価が高いとされる「白の時代」の独特な白に惹かれるのかなとぼんやり思っていたのですが、今回、多くの作品を俯瞰で眺めてみて、遠近法の気持ちよさにはまっていることに気づきました。
そういえば、写真を撮る時もユトリロ的な構図で撮っていることが多いかも...
ユトリロは「白の時代」の印象が強いですが、今回の展覧会では「モンマニーの時代」、「白の時代」、「色彩の時代」の作品を見ることができ、異なる時代に描いた同じ風景の絵を見比べたりするのも面白かったです。
あと、ユトリロの母ヴァラドンに驚愕しました。
平日の京都はいいですね。
京都駅や観光地には休日以上に外国人が目立ちますが、美術館は人が少なく、ゆったりと作品を観賞することができました。