南港ATCで開かれているバンクシー展。
イギリスを拠点に世界中のストリートに作品を描き、世界をザワつかせている神出鬼没な覆面アーティスト、バンクシー。
その程度の知識とテレビやネットで見たいくつかの作品のぼんやりとしたイメージしか知らなかったのですが、アートとしてよりもむしろ社会現象として興味深かったので、観に行ってみました。
バンクシーというと、こういう街中の建物の壁に描かれた作品の印象があります。
グラフィティアートなんていう呼び方をするようですが、ようは落書きです。
許可なくゲリラ的に描かれるグラフィティアートは、バンクシーであろうがなかろうが、気分のいいものではありません。
ただ、このパレスチナにあるウォールドオフホテルのようにプロデュースされた作品もあるのですね。
こういうものは大いにありだと思います。
ディズマランドもしかり。
ディズニーランドには興味はありませんが、ディズマランドには行ってみたいかも。
パパラッチに追い回されて馬車が横転して事故死したシンデレラ...
さて、何を連想しますか?
バンクシーの作品は、反戦、反消費主義などを風刺的に表現しており、そこに注目されているわけですが、
反消費主義を訴えながら、その意に反して(?)バンクシー作品自体が消費されているというのは皮肉なことです。
煙草をくわえてガソリンをまくチャーリー・ブラウン。
火事になったビルの壁に描かれたこの作品は、後に切り取られて競売にかけられたとのこと。
そしてこちらはサザビーズで落札された瞬間に額に仕掛けられたシュレッダーで裁断されたということで話題になった作品。
会場ではそのオークションの様子がビデオ放映されていましたが、シュレッダーは途中でとまってしまい、完全には裁断されなかったんですね。
で、途中まで裁断されて棄損したその作品は、その事件によって逆に付加価値が付くというなんだかおかしなことに。
どこまでが仕掛けなのか狙いなのか、よくわかりませんが。
バンクシーが発する鮮烈なメッセージの数々を見た後、会場を出ると、美術展お約束のミュージアムショップにはバンクシーグッズがずらり。
ついついいつもの調子で物色しはじめましたが、ふと、この作品(↑)が目に浮かび、苦笑。
我に返ってみると、展覧会が開かれ、のこのことお金を払って観に来ている時点で、私も、バンクシー作品を消費してしまっているんですよね。
こういうアーティストの作品とはどう向き合えばいいんでしょう。
何とも言えない複雑な思いで会場をあとにしました。
ただ、やっぱり、落書きはよくないと思います。