秋の東北登山遠征1座目、早池峰山にやってきました。
前日から盛岡市内のホテルに宿泊し、朝7時半頃に出発して河原坊の駐車場に9時頃に到着。
9時20分頃、登山開始。
まずは登山口の小田越までは車道歩きになります。
30分ほど歩いて小田越に到着。
ガスっていて霧雨がぱらぱらと降ってきたので、念のためレインウェアの上を羽織り、ザックカバーをかけて入山します。
最初は樹林帯の中を歩きますが、20分もすれば岩稜帯に出てきます。
早池峰山の地形の成り立ちはかなり古く、隆起準平原という平坦な地形だったものが浸食されて形作られたそうです。
早池峰山を構成する岩石は主に蛇紋岩で、植生ということでは植物が育ちにくいということが特徴です。
そのため、この緯度であれば本来2000mくらいである森林限界が、ここ早池峰山では1300mほどとなっています。
また、登山者にはとっては、ツルツルと滑りやすいことで有名です。
そんな蛇紋岩がゴロゴロと転がる登山道を登って行くわけですが、滑るといっても面の傾きや足の置き方、加重次第。
注意して歩けば問題ありません。
五合目にある四角い岩。御金蔵と呼ばれているそうです。
背後に見えるのは小田越を挟んで早池峰山と対峙する薬師岳です。
隣の山ですが、あちらは主に花崗岩で構成されているそうで、山容も植生も随分違って見えます。
登山口でぱらぱらときた霧雨はその後降らず、ここでレインウェアとザックカバーはしまいました。
予報的にも何となくお昼くらいには晴れてきそうな気配。
五合目あたりから一旦緩やかになったと思った登りが再びきつくなってきたあたりで現れる巨大な一枚岩に架かる鉄ハシゴ。
蛇紋岩はこのあたりが最もよく滑りました。
上下二段に分かれたこのハシゴを慎重に登っていくと、東の方、遠くにうっすらと太平洋が見えました。
早池峰山の山頂から東は宮古市。太平洋が近いんですよね。
地図を見ていて気づいたのですが、早池峰山の山頂は花巻市、宮古市、遠野市の境界になっているんですね。
面白いのは遠野市の境界線が不自然に細く早池峰山の山頂に伸びていること。
遠野市と宮古市の境界線は遠野市から小田越を経て早池峰山の山頂へと続く登山道に沿っているのですが、遠野市と花巻市の境界線は薬師岳の山頂から早池峰山の山頂まで一直線に引かれています。
分かち合うことになっても、早池峰山の山頂をわが市に組み入れたいということなのでしょうか。
この地域の人々にとって、早池峰山はそれだけ大切な山ということなんですね。
鉄ハシゴから10分ほど歩くと稜線に出ました。
山頂部はまだガスが濃いです。
そんなガスの中に浮かび上がる鮮やかなオレンジ色に紅葉した植物。何でしょう?
若干ですが、木もありますね。
背は低いですが、大きな松ぼっくりが目立つオオシラビソが生えています。
稜線の木道を山頂に向けて歩きます。
目の前に山頂のようなピークが見えますが、本当の山頂はもう一つ向うでした。
早池峰山(1917m)の山頂に到着。
小田越から2時間でした。
ガスっていて眺望がないため、とりあえずお昼ごはんにします。
この日のお昼ごはんは、盛岡グルメで一番楽しみにしていた福田パンです。
本店で朝7時の開店直後に買ってきました。
甘い系から調理系まで、いろいろな具材の中から選んで注文すると、その場でコッペパンに挟み込んで作ってくれます。
その中から、甘い系として「あん・バター」を、調理系として「オリジナル野菜サンド、ツナトッピング」を選択しました。
まずは、「オリジナル野菜サンド、ツナトッピング」から。
コッペパンと言っても、かなり大ぶりなもので、開くと具材がぎっしりで、食べ応え満点。
これはうまいですね。
ただ、二本食べるつもりが、一本でお腹いっぱいになってしまいました。
(あん・バターは、翌日の朝食としていただきましたが、こちらもあんとバターがたっぷりと挟み込まれていて、端までおいしくいただけました。)
こういうパン屋さんがあると楽しいですね。
ちょうどお昼を食べ終わった頃、いきなり空が晴れ上がりました。
私も含め、周りは写真撮影タイム。
またガスが上がってくるかもしれませんからね。
急いで周囲の景色を撮りまくります。
登って来た登山道とその先に薬師岳。
東側の稜線。
北側には北上山地の山々がはるか先まで続きます。
方角的に岩手山も見えるはずですが、残念ながら雲に隠れています。
西側の稜線。
早池峰山は小田越からのピストンで登るのが一般的ですが、こちらの縦走路を行けば、中岳、鶏頭山を経て岳という集落に下山できるようです。
この写真では分かりづらいかもしれませんが、少し紅葉が始まっているようですね。
晴れていたのは、ほんの10分、15分程度でしょうか、その後またガスが出てきたので、下山開始。
下降開始後しばらくして振り返る早池峰山。
また晴れてきました。
この後も晴れたり曇ったりを繰り返しつつ、次第に晴れの時間が長くなっていきました。
薬師岳を正面に見ながら下って行きます。
開放感があって気持ちいいですね。
きれいに積み上がった岩々。
早池峰山は固有種の多い花の山としても有名です。
この時期、花はだいぶ少なくなっていますが、早池峰山を代表する固有種、ハヤチネウスユキソウがまだ見られました。
ただ、咲いているように見えてもこれは花後。
同じく固有種のナンブトウウチソウ。
これは花期の最終盤で、たくさん咲いていました。
こちらも固有種のナンブトラノオ。
これも花期の最終盤。
どちらかというとナンブトウウチソウの方が”虎の尾”っぽいですが、イブキトラノオと同属なのでナンブトラノオなんですね。
イブキトラノオも尾っぽ短めですが、ナンブトラノオはさらに短いです。
登山道の周囲には紅葉する植物は少なめのようですが、よく見ると色づいている植物がありました。
こちらはホソバイワベンケイ。
こっちはウラシマツツジですかね。
登山口の小田越に下山。
下山は1時間20分でした。
河原坊から顧みる早池峰山。
すっかり晴れましたね。
河原坊からの往復で休憩込み約5時間。
標準コースタイムでは5時間42分となっていましたのでずいぶん早く歩けました。
いや、早く歩けたというより、標準コースタイムが甘めのような気がしました。
もちろん、コンディションにもよるでしょうが、思った以上に手軽に登れる山ですね。
本当はハヤチネウスユキソウなどが咲く夏に来たいと思って温めていた山で、今回はどちらかというとついでに登りに来たという感じではあるんですが、花期を外しても蛇紋岩の登山道は楽しく、また眺望も開けていて気持ちのいい山登りでした。
今度は花盛りの夏に訪れてみようと思います。