リーチ先生 | Archive Redo Blog

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「暗幕のゲルニカ」に続いて読んだ原田マハさんの「リーチ先生」。

 

明治から昭和にかけて、日本とイギリスで活躍した陶芸家バーナード・リーチの半生を描いた小説です。

 

バーナード・リーチについては、大山崎山荘美術館などで、濱田庄司や河井寛次郎の作品と並んで展示されている作品を観たことがあり、エキゾチックにも思える日本の作品にはない独特な作風が目に焼き付いています。

 

しかし、そのキャリアについては詳しくは知らず、小説に取り上げられるのもまた珍しいなと思い、この作品を読んでみた次第です。

 

リーチ先生が、様々な失敗や挫折を味わいながらも、陶芸に開眼し、日本とイギリスの両国で窯を開き、両国の陶芸文化の懸け橋となれたのは、来日のきっかけを作った高村光太郎、そして、柳宗悦、武者小路実篤、志賀直哉、岸田劉生といった白樺派の同人たち、陶芸界では濱田庄司、河井寛次郎、富本憲吉など、よき友に恵まれ、彼らの熱き友情に支えられたからなんですね。

 

この時代、政治・外交の世界では関係が良好でない時期もあった日本とイギリスですが、芸術の世界、殊にこの作品の中にはそういった世事には一切触れられず、熱き友情物語に終始しているのが清々しく、純粋に芸術の話として楽しめました。

 

異国の若き芸術家同士がこのような熱い友情で結ばれるのは、互いをリスペクトする気持ちがあればこそ。

 

政治・外交の世界でも、そうであってほしいものです。

 

 

余談ですが、この作品を読んで、イギリス伝統の陶器、スリップウェアに興味が湧きました。

 

で、先日、島根に旅行に行った際、リーチ先生直伝のスリップウェア(厳密にはスリップウェア風?)を作っている玉造温泉の湯町窯という窯元に寄って、コーヒーカップと大小の皿を購入してきました。

 

日本の陶器にはない趣の器たちですが、艶やかな琥珀色が美しく、素朴な味わいがあり、かつ、いかにも丈夫そうな作り。

 

民芸運動で言う日用品の美というのは、このようなもののことを言うのかと思わせるような器です。

 

 

さっそく、小皿にちょっとしたお菓子を添え、コーヒーを楽しんだりしています。

 

器自体に 何とも言えない温かみを感じますので、特に寒い時期にこういう風に温かいものを入れて楽しみたいですね。