即位礼正殿の儀の飛び石連休+αで、南九州に遠征してきました。
南九州へは、マイカー、新幹線、飛行機など、いろいろなアプローチが考えられますが、今回はさんふらわあのマイカー舟遊プランを利用しました。
マイカー舟遊プランは、関西-九州の往復に瀬戸内海航路(大阪-別府または神戸-大分)、太平洋航路(大阪-志布志)を片道ずつ利用するプランなんですが、今回は、鹿児島から大分にかけて縦断したいと思っていたので、まさにお誂え向きのプランです。
しかも、なぜか普通の往復運賃よりもかなり割安な運賃になっており、さらに大阪-志布志航路では別途マイカーお試しキャンペーンも適用されてかなりお得になっていました。
ツーリスト(雑魚寝)で往復36,320円、プライベートベッドで往復41,510円。
あまりにも安いので、プライベートベッドを利用してみました。
カーテンで遮蔽できる半個室空間で、タオルと歯ブラシのアメニティセットもついており、ベッドの足元の壁にはテレビもついていてとても快適。
北九州ならマイカーで自走という選択の方が優位かなと思いますが、南九州でさらにこんなにお得なプランがあるならばさんふらわあに乗るしかないですね。
志布志港に到着し、下船したのは午前10時。
初日は、大隅半島を横断し、桜島を経由して、薩摩半島の南端、指宿を目指します。
まず最初に立ち寄ったのは、海上自衛隊の鹿屋航空基地史料館です。
鹿屋航空基地は、海上自衛隊の哨戒機や救難ヘリの基地で、史料館の周囲には引退した歴代の航空機やヘリが展示されています。
また、この基地は戦前の海軍航空隊の基地でもあり、太平洋戦争時に活躍した当時世界最高性能を誇った飛行艇、二式大艇も展示されています。
そして、史料館には、海軍航空隊基地時代から現代に至るまでの豊富な資料が展示されています。
目玉はこの零戦の実機展示かもしれませんが、注目すべきはこの零戦も参加した特攻に関する展示です。
ここ鹿屋は、太平洋戦争末期、海軍の特別攻撃隊の出撃基地となり、多くの特攻隊員が出撃していきました。
この史料館では、かなりのスペースを割き、当時の写真や資料、特攻隊員の写真、手紙、遺書、遺品などが多数展示されています。
知覧特攻平和会館のようにテーマを特攻に絞った施設ではないためか、来場者は知覧に比べると圧倒的に少ないようですが、その展示は充実しており、また、陸軍とは違った海軍の独自色も感じられるので、知覧に行くならこちらも必見かと思います。
特に特攻機よりもさらに悲惨な特攻兵器である「桜花」に関する展示は、心に突き刺さります。
鹿屋航空基地史料館を見学した後は、大隅半島の西海岸を北上。
途中、さんふらわあの情報誌に載っていたおすすめスポット、荒平天神に立ち寄りました。
菅原道真公を祀るこちらの神社は、普段はこうして砂浜を歩いて参拝できるのですが、大潮の満潮時には砂浜が海水に浸かり、神秘的な風景になるのだとか。
大隅半島の西海岸を北上していくと、次第に桜島が近づいてきます。
その桜島に入り、最初に訪れたのは黒神埋没鳥居です。
大正3年に起きた大噴火の際に、笠木が辛うじて見える程度まで埋没したこの鳥居は、高さが3mあるそうですが、噴火の猛威を後世に伝えるために掘り起こすのを止めてそのまま残すことにしたそうです。
この鳥居は腹五社神社のもので、鳥居の奥へと火山灰の砂地を歩いて行くと、コンクリート製の小さな社殿がありました。
噴火当時、この神社を囲む森林も瀕死の状態になったそうですが、100年経った今は立派に再生しています。
噴火の恐ろしさを実感するとともに、鳥居のすぐ横にあるアコウの大樹もしかり、植物の逞しい生命力を強く感じます。
次に訪れたのは有村溶岩展望所です。
ここから見る桜島は、現在活動中の南岳に近く、噴煙を上げる桜島の様子がよくわかります。
また、ここから見る桜島の姿は円錐形に近く、美しく見えます。
ここは大正3年の大噴火の際に流れ出た溶岩原の上に作られた展望所で、周囲の至るところにこのような奇怪な溶岩群が見られます。
遊歩道に設けられたトンネルは、噴火の際には避難壕になるのでしょうか?
溶岩が乗っかかっていますが、実際に噴火して溶岩が流れてくればこのような状態になることもあるのでしょうね。
桜島は元々島でしたが、この溶岩原を生み出した溶岩流が、瀬戸海峡を埋め、今のように桜島と大隅半島を地続きにしたそうです。
この溶岩原も、今では松などの植物がかなり育ってきています。
このイタドリなんかも真っ先にこういう場所に根付くパイオニア植物ですね。
そして、桜島で最後に訪れたのは、現在桜島で立ち入り可能な最高地点、標高373mにある湯之平展望所。
ここから見る桜島は鹿児島市内から見るのと角度的にはほぼ同じですが、間近に見えるだけに山の起伏や火山灰を被っている様子などがはっきりと見え、かなりの迫力です。
この桜島、日本二百名山に数えられる山ですが、こうして見ると、一生登れないであろうことを実感します。
反対側を見ると錦江湾が広がります。
その先にうっすらと見えるきれいな円錐形の山は日本百名山の開聞岳。
翌日はあの山に登ります。
桜島からは桜島フェリーで鹿児島市内に渡ります。
24時間運航で、朝夕は15分間隔で運航するこのフェリー。
1~2本は待たされるのかなと思いきや、意外にすんなりと乗船できました。
乗船手続きも、有料道路のような料金所で料金を支払うだけでのドライブスルーで、料金も車長5m未満で1950円と割安。
鹿児島の人にとっては、特別な船旅ではなく、日常的な生活の足なんでしょうね。
鹿児島港まで約15分のプチ船旅。
わざわざ席に座るほどでもなく、甲板でずっと桜島の景色を眺めていました。
鹿児島側を見ると、そろそろ日が沈みそう。
再び振り返って桜島を見ると、さきほどよりも少し噴煙が激しく上がっているような。
桜島の場合、きっとこれくらいの活動の波は、雨風と同じようなものなのでしょうね。
鹿児島港からはすっかり日が暮れて景色を楽しむこともなく指宿まで南下。
指宿と言えば砂むし温泉ですが、砂むし会館「砂楽」が20時30分まで営業していたので、入ってみました。
これはなかなか楽しいものですね。
そして、何よりじんわりほかほかと気持ちいい。
あまりに気持ちいいので、入浴時間10分目安のところを、20分楽しませていただき、このあと、とてもさっぱりした気分で眠りにつくことができました。