富士山登拝(2) | Archive Redo Blog

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DBエンジニアのあれこれ備忘録

 

9月7日。

 

富士宮口(表口)五合目から富士山を目指すため、前夜のうちにシャトルバスの発着場となっている水ヶ塚公園に到着し、車中泊。

 

始発のシャトルバスに乗るため、ちょっと早めの4時半に起き、ボチボチと準備を始めていると、放送が入り、混雑が予想されるため、定刻6時始発のバスを5時から順次運行開始するとのこと。

 

登山バスではありがちなことですが、予想以上の前倒しです。

 

 

とはいえ、あんまり慌てて忘れ物でもしたら後々困るので、普通に準備をし、チケットを買ってバスに乗り、5時25分頃に出発。

 

シャトルバスは往復一人2,000円。

 

チケット売り場の隣では富士山保全協力金の受付も行っていたので、こちらももちろん協力させていただきました。

 

領収書だけで十分なのにこんな缶バッジもくれるんですね。

 

最初、サコッシュの中にしまっていたのですが、登山中、多くの人がザックにこの缶バッジをつけているのをみて、私もそうしました。

 

赤い羽根共同募金の赤い羽根みたいなものですね。

 

 

6時前に富士宮口五合目に到着。

 

まずは、高山に少しでも体を慣らすため、1時間ほどここでのんびりと過ごします。

 

五合目からの景色。

 

左奥には伊豆半島。右側に広がるのは駿河湾。

 

左手前に見えるのは愛鷹山。

 

1500mくらいの山で、麓から見るとそれなりに存在感のある山ですが、富士山なら五合目からでもあんなに下に見えるのですね。

 

ここからの眺めだけでも富士山の大きさを実感できます。

 

 

富士宮口五合目から見た富士山。

 

いい天気です。

 

ここから山頂までは1400m弱の標高差。

 

山頂の剣ヶ峰にある気象観測所の建物も見えているのですが、スケールが大きすぎるからか、そんなに標高差があるのかないのか、感覚がまったく掴めません。

 

 

どれくらい順応したのかまったく実感が湧きませんが、もうそろそろいいかなと7時前に出発。

 

六合目までは、ウォーミングアップにちょうどいい斜度の道を緩やかに登って行きます。

 

 

五合目から上では植物の乏しい富士山ですが、このあたりではオンタデなどが見られました。

 

オンタデは火山などの植物が生育しにくい荒れた土地に真っ先に進出する植物なんだそうです。

 

 

六合目を過ぎると、登りも本格的になってきます。

 

新七合目、七合目、八合目と節目節目に山小屋があり、それを目標に、休憩の目安にゆっくりと登って行きます。

 

七合目あたりで標高3,000mを超え、個人的に未知の領域に突入。

 

 

八合目では少し長めの休憩。

 

このあたりで標高約3200m。

 

標高差ではもうすでに半分以上登ってきています。

 

眼下を見下ろすと、赤黒い溶岩と砂礫の斜面につづら折りに続く登山道をどんどんと人が登ってきます。

 

五合目からこれまで通過してきた山小屋も見渡せ、かなり登って来たことが実感できます。

 

 

この日の行動食の主力は、静岡のご当地パン、のっぽパン。

 

日本一のっぽの山で食べるのっぽパンは格別?!

 

 

八合目を過ぎると鳥居がありました。

 

ここから上が浅間大社の境内地ということですね。

 

 

八合目まではまずまずのペースで登ってきましたが、そこから九合目、九合五勺、頂上へは、小休止が増えペースダウン。

 

息苦しく、頭が痛く、眩暈もし、少し胸やけもあり、脚の運びも鈍く、予想の範囲内ではありましたが、やはり高山特有の体の変調を感じました。

 

花もなく、単調な景色が続くのも辛いですね。

 

 

12時30分頃、富士宮口頂上にある、富士山頂上浅間大社奥宮に到着。

 

ここまで休憩込み約5時間半でした。

 

この時期の富士山は閉山間際の店じまいの時期。

 

頂上の山小屋はすでに閉まっていましたが、浅間大社はまだ開いており、お参りして、お札とお守りをいただくことができました。

 

これで、一応は日本三霊山、富士山、白山、立山をすべてお参りできました。

(立山は消化不良なのでもう一度行かなくてはならないと思っていますが。)

 

富士山は山頂を踏むよりも、こうして奥宮にお参りできたことに達成感を感じます。

 

 

浅間大社の前で昼食を摂った後、いよいよ富士山の最高峰、剣ヶ峰を目指します。

 

これがまた結構なザレ場の急斜面できついのですが、昼食休憩を取ったあとなので、意外に楽に登れました。

 

 

日本最高峰富士山剣ヶ峰(3776m)。

 

この標柱の直前には、うわさに聞く記念撮影待ちの長蛇の列。

 

行列に並んで待つこと20分くらいでしょうか。

 

普段、山頂で自分の写真を撮ったり撮ってもらったりすることはないのですが、ここでは行列の前後の人が互いに写真を撮りあうのが流儀のようで成り行きで撮っていただきました。

 

 

剣ヶ峰から見る富士山頂上の火口、大内院。

 

右手前にあるスフィンクスのような岩は虎岩。

 

すごい大きさ、そして深さの火口です。

 

火口の最深部は八合目の高さに相当するそうです。

 

 

剣ヶ峰からはさらに進んで火口をぐるっと一周するお鉢めぐりコースがありますが、時刻は13時30分を過ぎており、ここまでの疲労度も考慮して今回は自重。

 

 

富士宮口頂上に戻り、少し休憩した後、

 

 

少し先の御殿場口頂上から名物の大砂走りを少しだけ体験して、宝永山経由で富士宮口五合目に下山します。

 

 

こちらは山小屋が少なく、この日は七合四勺にあるわらじ館まで営業している山小屋がありませんでした。

 

道もザレていて滑りやすく、浮石も多くてかなり歩きづらく、下りは得意なのに思ったほどのペースでは下れませんでした。

 

 

七合目からは大砂走り。

 

正面に見える宝永山に向けて下ります。

 

大砂走りは、一歩踏み込むごとにずぶずぶと足が砂にめり込み、平地、あるいは登りなら歩きづらい道ですが、下る分にはその性質をうまく利用すれば、かなり楽しく快調に下って行くことができます。

 

私も少し歩けばコツがわかり、半ば走るように気持ちよく下ることができるようになりました。

 

 

大砂走りは途中で御殿場口に下りる道と、宝永山の馬の背に向かう道に分かれます。

 

宝永山の馬の背に出たところ。

 

左のピークが宝永山です。

 

 

振り返れば雲の切れ間に山中湖。

 

そして手前の雲海には影富士が。

 

時刻は16時半過ぎ、このまま最短コースで下山するか、宝永山を経由して下山するか、少し迷いましたが、宝永山までの道はほとんどアップダウンがなさそうだったので、宝永山を経由して下山することにしました。

 

 

しかし、ついさっきまですっきりと晴れていたのに、宝永山に向かっている途中に下からどんどんガスが湧いてきて、宝永山に着いた頃にはすっかりガスの中。

 

振り返って見る富士山の姿は拝めませんでした。

 

宝永山山頂(2693m)。

 

方位盤は少し崩れていました。

 

噴火でできた砂山のような山ですから、地盤が安定していないのでしょうか。

 

 

宝永山の山頂からは火口の中に突入します。

 

このあたりも大砂走りのような道が続き、快調に下って行けます。

 

 

宝永火口(第一火口)の底部。

 

 

振り返って見る宝永山。

 

この宝永火口を経て、富士宮ルートと御殿場ルートをつなぐこのルートは、天皇陛下が皇太子時代の2008年8月に富士山に登ったルートで、プリンスルートと呼ばれているそうです。

 

一部とはいえあの大砂走りを登るのはけっこうきついと思うのですが、あえてそういう道を選ばれるというところにも陛下のお人柄が現れているような気がします。

 

 

これはフジアザミかな?

 

 

宝永火口から少し登り返して第一火口縁から振り返る宝永山。

 

少し位置が変わり、日の当たり方が変わるだけで表情が変わるさまが面白いです。

 

宝永山は富士山の一部に過ぎませんが、ここだけ切り取っても立派な山ですね。

 

 

ここまで来るとゴールは目前。

 

六合目の山小屋の前で最後の小休止をしていると、宝永山の方向に大きな虹がかかりました。

 

富士山登頂を果たしたご褒美?

 

ずっと殺風景な道を歩いてきたのでこの彩りは最高の癒しになりました。

 

下山は18時過ぎ。

 

普通ならこんな時間に下山することはありませんが、富士山はご来光目当てに夜中に山頂を目指す人も多い山。

 

シャトルバスも遅くまで運行しており、この時間でも多くの人が歩いていたこともあり、焦ることなく下山することができました。

 

 

帰りは富士宮に下り、日帰り温泉で汗を流し、筋肉の疲れをほぐした後、夕食に静岡県で有名なさわやかのげんこつハンバーグをいただきました。

 

炭火で香ばしく焼いた牛100%のゲンコツ大の丸いハンバーグを、目の前で半分に切ってもらい、鉄板で焼いて仕上げるこのハンバーグは、250gもあるそうですが、思ったほど脂っこくなく、ペロリと食べれてしまいます。

 

訪れたのは21時半頃でしたが、その時間でも7組ほどの待ちがあり、かなり人気があるようでしたが、実際に食べてみてその理由がよくわかりました。

 

 

令和元年という節目の年、閉山間際に駆け込みで決行した富士登山。

 

好天にも恵まれ、無事登頂、下山できてよかったです。

 

ただ、富士登山は、道も景色も単調で、花もなく、息苦しくて、疲労困憊し、登山としては決して楽しいものではないですね。

 

にもかかわらず、普段山に登らないような人も含め、これだけ多くの人が富士山を目指すというのは、日本一高い山というステータス故なのでしょうか。

 

日本一高い山に登る、日本一高い山でご来光を見る...富士登山は人生における1つのイベントとしては大きなものなのかもしれませんね。

 

まあでも、もう1回登りたいかと聞かれたら、「うーん」と首をかしげるしかないですね、今は...

 

次登るとすれば、富士山の五合目から下、富士山の周囲の山に登ってみたいです。