黒百合平から中山峠に登り返します。
といっても、木道をゆるゆると登るだけでほとんど標高差はありませんでした。
中山峠からは八ヶ岳の縦走コースを通って高見石を目指します。
中山(2496m)の山頂は樹林帯の中。
この先、少し下ったところに中山展望台という場所がありましたが、やはり周りに雲が多くて眺望は得られず。
中山展望台を過ぎると、ほとんど直線の下りが高見石まで続きます。
地図上は等高線の間隔がやや緩やかなんですが、つづら折りではなく直登なので登りは意外にしんどいのではないでしょうか。
白駒池から中山峠まで歩くのであれば、私はニュウ経由を推したいです。
この道も、下れば下るほど苔が豊かになってきます。
苔を枕に寝てみたい。
このあたりの森にも名前が付けられています。
「オコジョの森」だそうです。
黒百合平から1時間10分ほどで高見石小屋に到着。
ここで楽しみにしていた名物の揚げパンをいただきました。
きなこ、ココア、抹茶、チーズの4種類の中からお好きな2つを選んで\450。
ドリンクを付けたセットで\800。
抹茶やチーズにも心惹かれつつ、甘いものが食べたかったので、きなことココアをチョイス。
きなこ、ココアをたっぷりとまぶされたこのぽってりとしたなんとも愛おしいフォルムのあげパン。
それほど脂っこくもなく、サクふわでとてもおいしかったです。
心地よい風が吹き込むテラスで、正面に見える森や行き交う人々を眺めながら、30分ほどのんびりさせていただきました。
八ヶ岳の山小屋にはそれぞれに名物があるようで、それらを目当てに山を歩くのもまた八ヶ岳の楽しみ方なんですね。
揚げパンを食べた後は、小屋の脇から岩場を登り、高見石に寄り道。
この高見石までは、白駒池から軽装の観光客までもがよく登って来るようで、途中で立ち往生するなど、おいおい大丈夫かというような人が何人もいました。
何があっても自己責任ではありますが、ケガしないように。
高見石から見る白駒池。
キタヤツの瞳って感じですね。
でも、ニュウから見た森のスケール感には及びませんな。
白駒池まで戻ってきました。
ここはさらに観光客が多く、朝の静けさとは対照的な賑わいでした。
白駒池からは最後にまた苔の森を楽しみながら。
木の根から幹にびっしりとついた苔。
苔の間から生えるキノコ。その色合いがいいアクセントになっています。
苔の森の中に咲く小さな花。
花がむこうを向いていますが、これはマルバイチヤクソウでしょうか。
大地の凹凸がすべて覆われた苔の海。
どこをどう撮っていいかわからなくなるほど、こんな景色がずっと続く森。
いやあ、本当にすごいです。
ということで、白駒池入口に14時10分に無事下山。
高見石から40分。西天狗岳山頂から休憩込みで4時間と下りも順調でした。
下山後は、八ヶ岳山麓で気になっていたところをさらっと巡って帰りました。
一つは奥蓼科にある御射鹿池(みしゃかいけ)。
東山魁夷先生の名画「緑響く」のモデルになった池です。
天然の池ではなく、ため池なのだそうですが、対岸に整然と並ぶ木々と池畔の草が水面に映り込む様が何とも神秘的です。
茅野市内から奥蓼科温泉方面に十数kmも登らなくてはいけないのに、池のそばには立派な駐車場があり、予想以上に多くの人が見にきていて驚きました。
人工的に生み出された池なのにありのままの自然よりも神秘的で人を惹きつける風景を作り出してしまう。
美瑛の青い池などもそうですが、そういうこともあるものなのですね。
そして、茅野市尖石縄文考古館。
縄文時代、八ヶ岳周辺の山麓には、多くの人が暮らしていたそうで、数多くの遺跡が発掘されています。
そんな遺跡から発掘された土器や道具、そして発掘の成果から読み解く縄文人の暮らしなどを展示・紹介しているのが、この施設です。
中でも大注目なのは、「縄文のビーナス」と「仮面の女神」という二つの土偶(ともに国宝)です。
こちらが「縄文のビーナス」。
そしてこちらが「仮面の女神」。
いずれも、一昨年、京都国立博物館で開かれていた「国宝展」で見たことはあるのですが、その時の受けたインパクトが強く、機会があればもう一度見たいと思っていたものです。
さらにここでは、出土してまだ半分土に埋もれた状態の写真など、これらの土偶に関する様々な資料も展示されており、勉強になりました。
何故八ヶ岳周辺の山麓に縄文時代の遺跡が多数存在するのかというと、その前の旧石器時代から八ヶ岳山麓の冷山や霧ヶ峰周辺で黒曜石がよく採れたからだそうで、その黒曜石も多数展示されていました。
考古館のそばには、尖石遺跡がありました。
さすがに発掘した後をそのまま見せているわけではありませんが。
ちなみに、尖石という名のはこの土地の名前のことではないそうです。
なら、鏃などの尖った石器からきているのかなと思いきやそうでもなく。
遺跡のそばにあったこの尖った石がその名の由来なのだそうです。
考古館の裏には、縄文時代の復元住居もありました。
最後は、諏訪インターそばにあるドライブインに、おぎのやの峠の釜めしがあるということで、立ち寄って早めの晩御飯をいただきました。
中に入るとフードコート形式になっていて、食券を買ってしばらくすると番号を呼び出され、釜めしを取りに行くという流れ。
釜めしは駅弁パッケージのまんま出てきました。(器は食後に返却)
記憶にないほどに久しぶりに食べましたが、やっぱり美味しいですね。
このタイプのお弁当なら、「峠の釜めし」か「ひっぱりだこ飯」ですね。
今回は、3日間で甲斐駒ヶ岳、美ヶ原、北八ヶ岳と回りましたが、3日間ともに朝のうちは晴れていても、次第に雲が多くなるというパターンの繰り返しで、眺望に関しては少し残念な面もありましたが、岩質の変化であったり、高山植物であったり、苔の森だったり、それぞれに山の魅力が味わえてよかったです。
特に北八ヶ岳は想像していたとおりに素敵な山でした。
次は硫黄岳から赤岳方面にも行ってみたいですね。