平成最後の城、尼崎城に行ってきました。
尼崎城は、大阪夏の陣の後の1617年に、大阪の西の守りとして戸田氏鉄に築城させた城で、三重の堀、四層の天守を持つ5万石の大名の居城としては立派過ぎるくらいの広大な城郭の城だったそうです。
明治維新後に廃城となり、建物や石垣は取り壊され、これまでは模擬復元された石垣や土塀が少しあった程度だったのですが、平成31年3月29日に復元天守が完成し、一般公開されました。
この復元天守、ミドリ電化(現エディオン)の創業者の安保詮氏が創業の地である尼崎に恩返しをしたいと、十億円以上の私財を投じて建築し、尼崎市に寄贈したものなのだそうです。
伊賀上野城を訪れた時、その天守が戦前に地元出身の衆議院議員川崎克氏が私財を投じて建築したものだと知って驚きましたが、平成から令和に変わろうというこの時代に、そんな粋な贈り物をされる御仁がおられるとは。
この天守は鉄筋コンクリート製ではありますが、外観は現存していた当時の資料を元に忠実に再現されているとのこと。
天守には渡櫓も付けられており、石垣の下には堀を模して水が張られていたり、思った以上に立派な外観です。
内部の展示も最新技術を駆使したもの。
4層5階で、最上階の5階は展望ゾーン。
窓からは現在の尼崎城の周辺の景色が見られ、窓下のタブレット端末を操作すれば、VRで江戸時代の城周辺の想像の風景を見ることができます。
北側、阪神尼崎駅方面の風景。
大都市の平城ですので、それほど見晴らしがいいわけではありません。
南西側、目の前に見えるのは尼崎市立中央図書館。
昔は、ちょくちょく勉強のために訪れました。
東側、はるか遠くには大阪のビル群が見えます。
江戸時代には、視界を遮るものがなく、大阪城まで見えたのだとか。
4階はギャラリーゾーンとなっていて、尼崎出身の城郭画家、荻原一青さんがデザインした全国各地のお城の手ぬぐいが展示されていました。
これがなかなか素敵で、1Fのショップで尼崎城の手ぬぐいを売っていたので、買って帰りました。
3階は武士やお姫様の衣装を着られる体験コーナーで、2階は尼崎城を紹介するコーナーと剣術体験コーナーなど。
VRシアターでは、VRで再現された尼崎城と城下町を大画面で観られます。
そのナレーションは、桂米團治師匠。
人間国宝桂米朝師匠と共に尼崎に暮らした尼崎ゆかりの人ですし、江戸の風情を今に伝える噺家さんですし、ええ声してはりますし、まさに適役といったナレーションでした。
ちなみに、外観は忠実に再現された尼崎城の天守ですが、位置は当時とは違うそうです。
現在の天守があるのは、西三の丸だった場所で、当時天守があった本丸は現在は小学校になっています。
小学校の南側にはこのような石碑が立っていました。
しかし、位置は違えど、鉄筋コンクリート製であれど、天守があると、城としての見栄えが格段によくなりますね。
内部展示も、大人から子供まで楽しめる工夫がありますし、決して観光地とは言えない尼崎にあって、尼崎城は最大の観光名所になるのではないでしょうか。