釈迦ヶ岳山頂から椽の鼻まで足を延ばしたのは、この時期に咲くオオミネコザクラを見るため。
途中、既に萎れてしまったもの、一輪だけ咲いているものがポツポツとありましたが、空鉢岳の山頂直下、北西側の岩肌にまとまって咲いていました。
オオミネコザクラは初めて見ますが、よく見るとハクサンコザクラとは少し雰囲気が違いますね。
ピンクのハートを5枚並べたような可愛らしい花弁ですが、こういう厳しい環境に咲くゆえでしょうか、どことなく気高さのようなものも感じます。
しかし、この釈迦ヶ岳のオオミネコザクラ、もっと多くの人が入れ代わり立ち代わり探しに来るのかと思いきや、やはり難路がネックなのでしょうか、釈迦ヶ岳~椽の鼻間の往復でわずか数人しかすれ違いませんでした。
この岩肌の前にはちょうど腰かけられる手頃な岩があり、誰も来なければ休憩にもってこい。
ここで食事休憩をとり、しばらく、この健気な花たちを独り占めさせていただきました。
この日の昼食は、前日のうちに買っておいた、大阪名物、絹笠のとん蝶。
蒸したもち米に塩昆布と大豆を合わせ、カリカリ小梅をあしらったおこわです。
本来は、本日中にお召し上がりくださいという商品なので、翌日のお弁当にするのはOUTなのですが、念のために保冷バッグに入れて、自己責任で持ってきてしまいました。
このとん蝶、腹持ちがよく、梅も入っているし、前々から山のお弁当にピッタリだと思っていたんですよね。
山の上で食べるとん蝶はいつもよりおいしかったです。
オオミネコザクラを鑑賞した後は、釈迦ヶ岳に戻ります。
行きに大きく巻いてきた大岩。その右側にはモアイ像?
見事なモアイっぷりです。
釈迦ヶ岳からはだいぶ急登を下ってきましたので、帰りは当然急登の登り返し。
しかし、下りの方が慎重になっていたのか、登りの方が早かったです。
釈迦ヶ岳山頂を素通りし、下山しますが、その前に分岐を左に折れ、大峯奥駈道を下り、深仙ノ宿に寄ってみます。
大日岳の山腹を彩るのはアケボノツツジ。
深仙ノ宿に下る途中にも少し咲いていました。
四国で堪能したアケボノツツジに今シーズンまたお目にかかれるとは。
足元にはタチツボスミレもまだ咲いていました。
深仙ノ宿に到着。
奥が深仙ノ宿で手前が潅頂堂。
ここもまた素敵な場所です。
修験者にとっては、厳しい行の合間にほっと一息つける場所なのではないでしょうか。
ここには少し離れたところにある大岩の下に香精水と言われる湧水があるそうなので行ってみます。
岩の隙間からわずかに滴り落ちる水を、うまく汲み取れるようパイプが通されているのですが、それでも糸を引くようなか細い水量で、500mlのペットボトルを満タンにするのに2分ほどかかりました。
ドバドバと湧き出し、ガブガブと飲める湧水もいいですが、こうしてゆっくりゆっくり時間をかけて汲み取っていると、水の貴重さ、ありがたさというものが強く感じられ、特別においしく感じました。
深仙ノ宿から見る大日岳。
かなり厳しい道のようですが、山頂にはオニ雅さんが担ぎ上げた大日如来坐像があるそうです。
その山肌を彩るアケボノツツジ。
もう少し、間近に見てみたいと思い、ザックをデポして、少しだけ大日岳方面へ向かってみます。
すると、5分ほど登ったところにかなり立派なアケボノツツジの木がありました。
今シーズンの見納めにふさわしい見事な咲きっぷりに満足して引き返します。
深仙ノ宿越しに仰ぎ見る釈迦ヶ岳方向。アケボノツツジを添えて。
この斜面には、倒れながらも花を咲かせるアケボノツツジがありました。
かなり立派な木で、倒れる前は山肌をきれいに彩り、登山者や修験者を楽しませてくれていたのでしょう。
満足に水分も養分も吸い上げられない状況でも花を咲かそうとする痛々しい姿に胸が痛みます。
深仙ノ宿からは巻道を使い、千丈平に出ました。
行きは見逃していましたが、こんな池もあったのですね。
このあたり、朝は閉じていたミヤマカタバミの花も、お昼を過ぎて開いていました。
帰りも気持ちいい稜線歩きで、深仙ノ宿から1時間半で下山。
この日は各地で30℃を越える真夏日となり、暑かったですが、空気がからっとしていたので不快感もそれほどなく、木陰に入ると気持ちいい、絶好の登山日和で、オオミネコザクラやアケボノツツジも堪能できて、よい山行になりました。
少し時期をずらせばシロヤシオ、秋には紅葉もきれいそうなので、アプローチは大変でしたがまた来てみたいです。