兵庫県立美術館に行ってきました。
今、開催中の特別展は「没後130年 河鍋暁斎展」
河鍋暁斎は幕末から明治にかけて活躍した画家で、前の週に東京都美術館で観た「奇想の系譜展」で紹介されていた江戸時代の奇想の画家たちの流れをくむ画家と言ってもいいのかもしれません。
奇想の系譜展でそうした説明を見ましたし、実際、河鍋暁斎は、奇想の系譜展で紹介されていた画家の一人、歌川国芳に学び、狩野派にも入門したことがあるそうなので、少なからず影響は受けているようです。
というわけで、気になって立て続けに観にきた次第ですが、奇想という意味での面白さはもちろん、江戸から明治へという時代の流れを一人の画家の画業の中で見るということも初めての経験だったので、非常に興味深く観させていただきました。
でも、私は基本的に繊細で美しい日本画が好きなのでしょうか、特に印象に残ったのは、鮮やかな色彩で描かれた花木を背景に、雉に絡みついた蛇と樹上の鷹が睨み合う「花鳥図」や、1日1枚観音様を描くことを日課としていた暁斎が描いた観音様の代表的作品の「観世音菩薩像」でした。
同時に開かれていたコレクション展も観ました。
今回のテーマは「境界のむこう」。
私たちの身の回りにある様々な境界を6つのテーマに分け、境界のこちら側と向う側を見つめるというものです。
こうしたテーマを与えられて作品を観ると、ただ漠然と見るのとは違ったことを感じられて面白いです。
その一方で、こうしたテーマを設定し、手持ちの作品を組み合わせ、あるいは時には外部から作品を取り寄せて展覧会を構成していくキュレーターの仕事って面白そうだなと思いました。
美術館の外には新しいオブジェもできていました。
サミュエル・ウルマンの「青春の詩」から着想を得て、安藤忠雄さんがデザインした青春のシンボル、「青りんご」です。
さて、今回は河鍋暁斎展だけを観るつもりで美術館に行ったのですが、チケットを購入した際に、「春のミュージアムロード周遊キャンペーン」ということで、横尾忠則現代美術館の招待券をいただきましたので、せっかくですから観に行ってみました。
今、開かれているのは「「横尾忠則 大公開制作劇場 -本日、美術館で事件を起こす」です。
横尾忠則さんは、これまで各地の美術館などで公開制作を数多く行ってきたそうですが、そうした公開制作で制作された作品や、その制作過程を記録した映像などが展示されていました。
横尾忠則さんの作品は正直苦手なものが多いのですが、時々いいなと思える作品もあります。
今回の展覧会では、2004年~2012年頃に盛んに制作されたY字路シリーズが印象的でした。
Y字路というのは絵的に人を惹きつけるものがありますよね。
前の週から、奇想の系譜展~河鍋暁斎展と観てきて、そのあとに思わぬ形で横尾忠則現代美術館を観たわけですが、この流れを改めて見てみると、横尾忠則さんも奇想の系譜に入る人なのかもしれませんね。