さて、御岳山、大岳山で一番楽しみにしていたのは花です。
御岳山も大岳山も花の百名山の一座に数えられる山です。
(著者の田中澄江さんが東京で生まれ育ち、子供の頃から慣れ親しんでいたということもあり、このエリアの多くの山が花の百名山に入っているのですが...)
ということで、大岳山からの復路は花探し。
大岳山周辺は標高が高いこともあり、あまり花は見られず、スミレ(上の写真はエイザンスミレ)も咲きはじめという感じでした。
うーん、これはナガバノスミレサイシン?
大岳山から御岳山へはロックガーデン(岩石園)を経由して戻ります。
が、その前にちょっと寄り道。
花の百名山で大岳山の花として紹介されているのはイワウチワです。
ちょうど今頃から咲く花で、サルギ尾根でよく見られるということだったので、途中まで下ってみることにしました。
上高岩山を経て、
上高岩山の下の展望台に到着。
相変わらずのガスで何も見えません。
ここにザックをデポして、イワウチワが見つかるまで下ってみます。
が、行けども行けどもイワウチワは見つからず、次のピーク、高岩山まで下って見つからなかったら諦めようと思っていたら、その高岩山の少し手前でようやく見つけました。
まだ、数輪が咲き始めたばかりのようです。
時期的に少し早かったみたいですね。
これからもっとたくさん咲くのでしょうか?
露に濡れながら淡いピンクの花弁をしっかりと開いたイワウチワ。
同じイワウメ科のイワカガミと違って花弁が開いているところがかわいらしくて好きです。
少し苦労しましたが、なんとかイワウチワを見つけることができたので、今度こそ御岳山に戻ります。
途中、人工的に石積みされた参道のような雰囲気の道がありましたが、古くはそうだったのでしょうか?
ロックガーデンへの道で見つけたアズマイチゲはまだ目覚めていないよう。
そのとなりにあったのは、ヨゴレネコノメ。
ロックガーデンへ下って行くと、群落がたくさんありました。
確かに汚れたように見えますが、ひどい名前を付けられたものです。
こちらはツルネコノメでしょうか。
綾広の滝。
ロックガーデンというのは、ここから七代の滝までの沢沿いの散策路のことを言うようです。
この時期のロックガーデンを代表する花はハナネコノメソウ。
岩肌に張り付いたいくつかの群落が見られました。
この花のチャームポイントは、真っ赤な雄しべ。
でも、時期的に少しピークは過ぎたのか、真っ赤な雄しべがついた花はわずかしか残っていませんでした。
わずか数ミリの小さな花なので、近づいてみないとよくわからないのですが、この赤いつぶつぶが群落になると、とてもかわいらしいのでしょうね。
おもしろい花ということでいえば、こちらのコチャルメルソウ。
ほっそりしていてピント合わせに苦労する花ですが、この昔ブームになったウーパールーパーを想起させるような特徴的な花弁がなんとも不思議です。
花を探しながらロックガーデンを歩いていると、「キョッ!キョッ!」と鳴きながらすぐ近くの木に鳥が止まりました。
オオアカゲラです。
どんだけえぐってんねん、というような木の幹に止まり、一所懸命にほじくっています。
いやあ、これは珍しい鳥に出会えました。というか、初めて見ました。
今年は年初にアオゲラも近くで見れたし、ゲラづいています。
ロックガーデンはこのような飛び石の道で、周りの岩は苔むしていてとても雰囲気のいい道です。
新緑の季節などはさらに気持ちがいいでしょうね。
関西人にとってロックガーデンと言えば、芦屋ロックガーデンですが、全く印象が違います。
ロックガーデンでは、他にはヤマエンゴサクや、
ユリワサビなどの花を見つけ、
最後に七代の滝を見て、帰路につきます。
タチツボスミレ。
ミツマタ。
七代の滝までだいぶ下ったため、登り返しが結構きつかったですが、約150mを登り返して長尾茶屋に到着。
このあたりから、しばらく止んでいた雨がまた降りだし、しかも寒気が入ってきたのかあられ混じり。
あとは、整備された道を、御岳山神社前を通って、ケーブルカーの駅までゆるゆると下るだけなので、最後は傘を差しながら歩きました。
今回は、あいにくの天候で、終始、ガスってはいたものの、雨と雨の間をうまく突けたようで、雨なんだか木々の枝葉から滴り落ちてくる雨水なのかよくわからない程度にパラパラと濡らされた程度で済みました。
遠征でなければ、まず登らない天候でしたが、こういう天候ならではの山の神秘的な一面が感じられてよかったです。
しかし、この奥多摩エリアというのは、都心から遠いですね。
浅草に宿をとっていたせいもありますが、行き帰り、それぞれ2時間強かかりました。
関東は関西よりも標高の高い登りごたえのある山は多いように思いますが、手軽に登れる山は関西の方が恵まれているような気がします。
そういった違いは登山スタイルなんかにもきっと表れているんでしょうね。