熊野古道中辺路散策(6) | Archive Redo Blog

Archive Redo Blog

DBエンジニアのあれこれ備忘録

 

午前11時過ぎ、青岸渡寺の横から大雲取越コースに入ります。

 

いきなり石段の登りが続きます。

 

 

500mごとに設置されている道標。

 

那智山から大雲取越の終点、小口までは14.5km。

 

ということは29番まで数えるわけですね。

 

 

石段の坂道をしばらく登ると、開けた公園のような場所に出ました。

 

那智高原公園というところだそうです。

 

好天の土曜日ですが、人っ子一人いません。

 

 

梅の花もきれいに咲いているのに。

 

 

那智高原公園を抜けると再び山道に。

 

尾根筋を緩急織り交ぜながらぐいぐい登って行きます。

 

 

石段や石畳の比率が高く、これぞ古道という感じで、とても気持ちよく歩ける道です。

 

すぐそばには林道も並走していますが、車はほぼ通らないようで、静かな山歩きを楽しめます。

 

 

1時間40分ほど歩くと舟見峠近くの舟見茶屋跡に到着。

 

 

ここからは遠くに熊野灘を見渡せます。

 

いい天気でよく見えます。

 

舟見峠という名のとおり、熊野灘を行き交う船も見えそうです。

 

 

ここには東屋もあり、もうお昼を過ぎているので、ここでお昼ごはんにします。

 

前日に新宮駅前の徐福寿司さんで買ってきた新宮名物のさんま寿司と、湯の峰温泉でゆでてきたゆで玉子と赤だしです。

 

さんま寿司は塩漬けしたさんまをさらに柚子酢で締めて酢飯に乗せたお寿司ですが、尾頭付きというのがいいですね。

 

思っていたよりもしっかり締められており、脂ノリノリの鯖寿司なんかとはまた違って、あっさりとした中にさんまの旨みと柚子酢の爽やかな風味を感じ、とてもおいしかったです。

 

湯の峰温泉のゆで玉子は、熊野古道を歩く時の定番食なんですかね?

 

玉子の殻を剥く前に、テーブルを見ると、誰かが食べた玉子の殻の欠片がいくつか落ちていました。

 

 

お昼ごはんを食べた後、舟見峠を越えると、下り基調になります。

 

途中、「亡者の出会い」と名付けられた、亡くなった肉親や知人に出会うことがあるとも言われれる場所を通りますが、ここで会ったのは年配の外国人だけでした。

 

出発が遅かったせいか、ここまで追い越し、追い越されはほとんどなく、すれ違いが十数人程度。

 

そのうち7~8割が外国人でした。

 

世界遺産ということもあるのでしょうが、東京や京都でなく、わざわざこの熊野に歩きに来てくれるなんて。

 

外国人に一番知ってもらいたい、感じてもらいたい日本は、こういうところだと思っているので、とてもうれしいです。

 

本当は、いろいろお話しできればいいのですが、そこまでの会話力がないのが残念。

 

その代わりに満面の笑みで「こんにちは!」と挨拶することを心掛けました。

 

外国人の方も、ほとんどの方が「こんにちは!」と日本語で挨拶してくれます。

 

それもまたうれしいことですね。

 

 

色川辻を過ぎると、尾根筋から谷筋へと移り、途中から林道に出て長く緩やかな下り坂を下って行きます。

 

 

ここへ来て退屈な道になりましたが、ふと右手を見ると、バイカオウレンが群生している一角を発見。

 

季節的なものもありますが、花の乏しい道中でしたので、これはうれしい出会いでした。

 

 

林道を1.5kmほど歩くと地蔵茶屋跡に到着。

 

大雲取越の道中唯一のスタンプ押印所です。

 

こちらには東屋、トイレ、自動販売機に公衆電話まであり、充実の休憩スポットになっています。

 

 

こちらは地蔵堂。

 

中にはたくさんのお地蔵さまが祀られていました。

 

 

さて、この地蔵茶屋跡からは正規ルートが土砂崩落のため通行止め。

 

迂回路が設定されています。

 

 

迂回路は、所要時間約60分、正規ルートより40分余計にかかるそうです。

 

未舗装の林道のようですね。きつい道ではなさそうです。

 

 

未舗装であってもやはり退屈な林道歩きですが、途中、クロモジの花がきれいに咲いていました。

 

 

スタスタ歩いて、所要時間60分のところを30分ちょっとで歩き、迂回路終了。

 

 

このあたりから、ところどころに歌碑が立っています。こちらは長塚節の歌碑のようです。

 

 

大雲取越の最後の登りを登って越前峠へ。

 

 

おや、ここまで石の道標だったのが、お馴染みの木の道標に変わりました。

 

 

越前峠に到着。

 

 

越前峠を越えると、小口まで標高差800mを一気に下ります。

 

特に21番道標から23番道標あたりまでは苔むした石畳の急坂で、胴切坂と呼ばれているそうです。

 

写真に撮ってもあまり伝わりませんが、耳がおかしくなるほどの急坂でしたと言ったらわかってもらえるでしょうか。

 

 

そんな急坂ですが、標高700m~800mあたりでは、石畳の脇にちらほらとバイカオウレンが咲いていました。

 

こういうふうに可憐に咲く花を見ると、きつい坂でも、少し癒されますね。

 

 

越前峠から標高差500mほど下ると、楠の久保旅籠跡があり、

 

 

熊野の神々が車座になって酒を酌み交わしたという円座石(わろうだいし)があり、

 

 

さらに下って小口まであとわずかというところまで来ると、ミツマタの群落がありました。

 

 

ちょうど見頃で、黄色い毬がぽこぽこと華やかで可愛らしいです。

 

 

そして、小口の集落に下りてきました。

 

大雲取越の登り口からここまで、休憩込み、迂回路込み、5時間30分でした。

 

街道マップの正規ルートの標準歩行時間は5時間10分、山と高原地図の標準コースタイムは6時間25分ですから、かなりいいペースです。

 

それほど必死に歩いたつもりもないのですが、古道の歩きやすさのためでしょうか、八咫烏のお導きでしょうか、とても気持ちよく歩けました。

 

さて、大雲取越を歩いたら、小口の宿泊施設に一泊し、翌日、小雲取越を歩くのが一般的のようですが、私は小口バス停17:10発のバスに乗り、一旦新宮駅に戻りました。

 

翌日は、もう一度バスでここへ戻ってきて、小雲取越を歩くことにします。

 

(7)へつづく...