熊野古道中辺路散策(5) | Archive Redo Blog

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DBエンジニアのあれこれ備忘録

 

春の熊野古道中辺路の旅、2日目。

 

この日は熊野那智大社から中辺路の大雲取越を歩く計画ですが、その前に熊野那智大社へ向かう途中にあるいくつかのスタンプ押印所をささっと巡ります。

 

まずは朝一番に、車で市野々王子へ。

 

 

そして、帰りのことを考えて、一旦新宮駅に戻って車をデポし、列車で改めて那智駅に向かい、駅近くにある浜の宮王子と、

 

 

その隣にある補陀洛山寺へ。

 

 

補陀洛山寺は生きながらにしてこのような小舟に閉じこもり、南海にある補陀洛浄土を目指すという捨身行の出発地となったところだそうです。

 

浜の宮王子と補陀洛山寺のスタンプはこの船の傍らにありました。

 

 

3つのスタンプをゲットした後、那智駅から路線バスで大門坂駐車場へ。

 

この日はここから歩きます。

 

 

大門坂駐車場には、2011年のワールドカップドイツ大会優勝と翌年のロンドンオリンピック準優勝の栄誉を称えるなでしこジャパンの記念モニュメントがありました。

 

 

モニュメントの周りには、当時のなでしこジャパンのメンバーの足形(キーパーは手形)がはめこまれてはめこまれていましたが、やっぱり澤選手が一番人気なんですね。ひときわ黒ずんでいました。

 

日本サッカー協会のエンブレムになっている八咫烏は、熊野の導きの神でもあり、ワールドカップやオリンピックの前には選手や関係者が必勝祈願に訪れるなど、熊野とサッカー界は縁が深いようです。

 

 

大門坂駐車場から大門坂に向けて歩いて行くと、関所跡に鳥居が現れます。

 

鳥居の向こうに見える赤い橋は振ヶ瀬橋。

 

俗界と霊界の境目なのだそうです。

 

ここから先が熊野の神々の世界というわけですね。

 

 

大門坂の入口の両側にどんとそびえ立つのは夫婦杉。

 

推定樹齢800年という立派な杉です。

 

 

大門坂を登り始めると多富気王子があります。

 

熊野九十九王子の最後の王子です。

 

熊野詣もいよいよ最終章ということですね。

 

なお、この多富気王子もスタンプ押印所ですが、スタンプはここにはなく大門坂の入口にある茶屋の前にありました。

 

 

大門坂の入口の茶屋では平安装束の貸し出しも行っているらしく、ちょうど後ろから平安女子が登ってきました。

 

平安時代の熊野はこんな感じだったんですかねぇ。

 

 

大門坂を登って行きます。

 

両側に大きな杉並木が続く石畳の坂道は、羽黒山の参道などと同様、情緒があります。

 

熊野那智大社へはけっこう上の方まで車やバスで行くこともできるのですが、一般の観光の方でもやはりこの大門坂くらいは歩いて風情を楽しみたいようですね。

 

ここでは私のようなトレッキングスタイルの人は少数派でした。

 

 

そんな大門坂の石畳をよく見てみると、表面に奇妙な盛り上がりのある石がいくつかありました。

 

これは生痕化石と呼ばれるものだそうで、ゴカイやカニ、エビなどの仲間の巣穴や這った後がそのまま化石になったものだそうです。

 

 

大門坂入口から30分ほど歩き、さらに参道の石段を登って行くこと10分。

 

熊野那智大社に到着しました。

 

こちらもまた熊野本宮大社、熊野速玉大社とは違った雰囲気ですね。

 

一般的な神社のようにも見えますが、それもそのはず、本殿は拝殿の奥にあり、普通には入れない神域になっているのだそうです。

 

 

拝殿にお参りし、こちらでも牛王神符をいただきました。

 

そして、熊野本宮大社と同様、八咫烏おみくじがあったので、これも購入しました。

 

こちらの八咫烏おみくじは、普通の吉凶おみくじなんですね。

 

 

拝殿の横にある八咫烏を祀る御縣彦社にもお参りさせていただきました。

 

 

拝殿のそばには樟の古木の洞を潜り抜ける胎内くぐりもありました。

 

 

これで、熊野三山詣は完了。

 

三社の牛王神符もしっかりいただきました。

 

(上から、熊野本宮大社、熊野速玉大社、熊野那智大社の牛王神符。)

 

熊野牛王神符は、カラス文字で描かれた熊野独特の御神符で、三社それぞれデザインが異なります。

 

熊野信仰においては、さまざまな災厄からお守りくださるありがたい御神符であり、古くからこの御神符をいただいて帰ることが熊野詣における習わしになっていたそうです。

 

また、熊野牛王神符は、関ケ原においては家康と諸大名の誓紙として用いるなど、誓約書や起請文としても用いられたそうです。

 

それだけ熊野の神々への信仰が篤かったということなのでしょうね。

 

私もこれらの熊野牛王神符をどう祀ろうか思案中です。

 

 

熊野那智大社のすぐ隣には青岸渡寺があります。

 

こちらは西国三十三所の第一番札所となっています。

 

元々は神仏習合の熊野信仰の一大修験場として熊野那智大社と一体になっていたそうですが、明治時代に分離したそうです。

 

 

さて、那智といえば那智の滝。

 

大門坂を登り、素直に参道を歩いて、熊野那智大社、青岸渡寺とお参りしましたが、那智の滝はいずこに?

 

青岸渡寺から北の方に少し歩くとようやく滝が見えましたが、思っていた以上に遠く、下の方に見えます。

 

 

三重塔と那智の滝。

 

ポスターなどでよく見る絵です。

 

 

三重塔の4階に上がると、滝つぼまで観ることができました。

 

 

桜もだいぶ咲いていて、滝にに彩りを添えています。

 

で、滝は見えましたが、熊野那智大社の別宮である飛瀧神社はいずこに?

 

やはりかなり下ったところ、滝つぼのさらに下にあるようです。

 

 

三重塔から石段をしばらく降りて行くと、飛瀧神社の鳥居が現れました。

 

 

鳥居からさらに長い石段を下って行きます。

 

青岸渡寺から100mくらい下るでしょうか?

 

ということは大雲取越を歩くために再び100m登り返さないといけないわけですね。

 

大雲取越を歩くなら、飛瀧神社から先にお参りした方がよかったようです。

 

 

ようやく飛瀧神社に着きました。

 

ここからさらにお滝拝所舞台まで行くと、滝を正面から近くに見れて、延命長寿の水と言われる滝つぼの水も飲むことができるそうですが、あまりゆっくりしていると、大雲取越の時間に余裕がなくなってくるので、ここから滝を拝んで先を急ぎます。

 

 

と言いつつ、青岸渡寺まで長い石段を登り返したところで、一休み。

 

大雲取越の登り口横にある茶屋で名物「黒飴ソフト」をいただきます。

 

この日は寒の戻りで寒く、普通ならソフトクリームを食べたくなるような状況ではありませんが、石段を登り返して汗ばんでいたところなので問題なし。

 

黒飴ということですが、那智黒の黒とはちょっと違った黒色。黒飴以外に炭も入っているためにこのような色になっているようです。

 

ほんのり黒飴の風味を感じますが、意外にあっさりとした感じで食べやすいソフトクリームでした。

 

 

大雲取越の登り口はこちら。

 

熊野那智大社周辺で予想以上に時間を費やし、時刻はすでに11時過ぎ。

 

まったく余裕がないわけではありませんが、少し気合を入れて歩かなくてはなりません。

 

 

(6)へつづく...