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漆の実のみのる国〈上〉 (文春文庫)
594円
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藤沢周平さんの遺作。
上杉鷹山の時代の米沢藩を描いた作品ですが、上杉鷹山の物語というよりも、私欲を捨てて藩政改革に挑む執政たちの姿に光を当てた物語です。
昔、童門冬二さんの小説上杉鷹山を読んだことがありますが、それとは全く異なる印象で、史実に基づきながらも、やはり藤沢節といいますか、海坂藩を舞台にした数々の物語のような、藤沢周平さんらしい美しさというものが表れていて、心に染みます。
ただ残念なのは、上杉鷹山の時代の米沢藩の改革は、竹俣当綱らによる明和・安永期と、莅戸義政らによる寛政期の大きく二期に分かれますが、莅戸義政らによる改革に入ったところで、物語が尻すぼみで終わってしまっていること。
藤沢周平さんは、晩年、病状が思わしくない中、予定していた枚数を大幅に削って、何とかこの作品を締めくくったそうなのですが、体調が万全であればどのように締めくくりたかったのでしょう。
どうやっても叶わないことなんですが、もう少し読みたかった...