紅葉に見とれながら少しずつ登って行くと、いつのまにか山頂近くまでやってきました。
柔らかな稜線の頂にちょこんと突き出した岩塊の上が頂上です。
その山の形から、安達太良山は乳首山とも呼ばれるそうです。
付け根から3分ほどで乳首の先、安達太良山山頂(1700m)に到着。
ロープウェイ山頂駅から紅葉を見ながらゆっくり登って1時間半弱のお手軽登山でした。
山頂には小さな祠とその後ろに「八紘一宇」の碑。
戦前・戦中に建てられたものなのでしょうか。
この日は雲が多くて視界もそれほどよくなく、山頂からの景色はイマイチ。
早々に乳首から降りて、軽い昼食。
前夜、郡山駅おみやげ館にある三万石で買ってきた郡山のご当地パン「クリームボックス」と、途中のコンビニで買ってきた福島のご当地ドリンク「酪王カフェオレ」です。
クリームボックスは小ぶりな食パンにミルククリームがたっぷり塗られたシンプルなパンです。
練乳のような濃厚なミルクの風味がたまりません。
酪王カフェオレは一般的なカフェオレよりも牛乳の比率が高く、ミルク感がかなり強いです。
コーヒーをミルクで割って飲みやすくしたという感じではなく、ミルクにコーヒーの風味を付けたという感じです。
でも、個人的にはこの比率はカフェオレの黄金比かもしれません。
甘いのですが、砂糖の甘ったるさというよりも、牛乳の自然の甘さが出ている感じでとてもおいしいです。
「クリームボックス」と「酪王カフェオレ」は福島最強のソウルフードコンビかもしれませんね。
(酪王カフェオレ味のクリームボックスというのもあるらしいです。)
さて、山頂に登った後は、牛ノ背を歩き、くろがね小屋を経て奥岳登山口へと下山する安達太良山周回コースを行きます。
稜線上から振り返る乳首。
こちらから見ると乳首感はありませんね。
牛ノ背からくろがね小屋へと下る分岐まで来ると、西側に沼ノ平という大きな火口跡が望めます。
どこの火山に行っても、こういう景色には圧倒されます。
牛ノ背からはくろがね小屋へと下るのが周回コースですが、少し時間的に余裕もあったので、牛ノ背から馬ノ背へとそのまま稜線を行き、鉄山というピークにも行ってみることにしました。
砂礫の稜線を小さくアップダウンしながら、最後、この黒々とした岩塊を巻いたら、
誰もいない鉄山(1709m)の山頂に到着。
こちらの方が安達太良山よりも9m高いです。
安達太良山はいくつかの峰々の連なりからなり、一番高いのは鉄山のさらに北にある箕輪山(1728m)のようです。
安達太良山の山頂はかなり人が多かったですが、周回コースを歩いても、鉄山まで来る人はごくわずかなようで、しばらく山頂独り占めで静かな山を味わわせていただきました。
鉄山から稜線の先に安達太良山を見ながら引き返します。
左手を見れば眼下に見事な紅葉。
中央やや右寄りに見える小屋がくろがね小屋。
あそこを目指して下りていきます。
稜線から下るにつれ、紅葉が近づいてきます。
こちらの紅葉も行きに見た紅葉に負けず劣らず素晴らしいです。
日を追うごとにもっと赤く、そして茶色くなっていくのでしょうが、緑や黄色も混じるこの時期の紅葉もいいものです。
発色が鮮やかです。
紅葉の中をどんどん下って行くとくろがね小屋に到着。
この小屋には源泉かけ流しの温泉もあるそうです。
途中で追い抜いた団体さんはここに宿泊するとおっしゃっていました。
今は行きたいところが多すぎて、ガツガツ登ってしまいがちですが、いつかそういうのんびり登山を楽しめるようになりたいです。
一応、小屋の中を覗いてみたのですが、そこで素敵な山バッジ(写真右)を発見。
紅葉に彩られたまさに今の安達太良山です。
行きにロープウェイの売店で写真左の山バッジを購入済みだったのですが、追加で購入してしまいました。
昔ながらの山バッジも味があっていいですが、こういうのもいいですね。
くろがね小屋の前でしばしコーヒータイム。
この日のおやつはご当地の銘菓、柏屋の「薄皮饅頭」と、三万石の「ままどおる」です。
柏屋の「薄皮饅頭」は日本三大まんじゅうの一つに数えられる銘菓。
ふんわりとした黒糖風味の薄皮としっとりとした餡がマッチして、絶妙な食感。
さっぱりした甘さもいいですね。個人的な三大まんじゅうにも入るおいしさです。
「ままどおる」は愛媛の「母恵夢」に似た感じですが、ややしっとりめでミルク風味があり、その点では「博多通りもん」っぽくもあります。
何にせよ、とても好きな味です。
「クリームボックス」に「酪王カフェオレ」に「薄皮饅頭」に「ままどおる」。
ご当地のソウルフードや銘菓を山でいただくというのも、遠征登山の楽しみですね。
くろがね小屋からはほぼ林道のような道を登山口まで軽快に下って行きます。
最後に振り返ってみるくろがね小屋周辺の紅葉。
全体的に黄色が目立ちますが、これから赤が増えてくるのでしょうね。
途中からは緩やかにつづら折りに下る馬車道と直線的に下って行く旧道に分かれます。
馬車道は長くてだるいので、ここは旧道を選択。
かなり時間を短縮して下山することができましたが、足元が粘土質なので滑りやすくて要注意。
私も小外刈りできれいに足を払われてしまいました。
山頂から鉄山、くろがね小屋経由で3時間で下山。
下山後は、登山口にある奥岳の湯で汗を流しました。
お風呂上りはもちろん酪王カフェオレ。
すっかりはまってしまいました。
いやあ、しかし、安達太良山の紅葉は素晴らしいですね。
写真に撮るには、青空で日が当たっている方が映えますが、その場で肉眼で見る分には曇っていても十分に美しかったです。
今回は、紅葉を期待しての福島遠征なのですが、前日の那須岳とこの日の安達太良山ですでに十分に堪能させていただきました。