2014年から噴火警戒レベルが2(火口周辺規制)となっていて、火口周辺への立ち入りが制限されていた草津白根山ですが、今年6月に噴火警戒レベルが1(活火山であることに留意)に引き下げられたので、今のうちにということで、訪れてみました。
草津白根駐車場に車を止め、まずは湯釜を見に西側火口湖展望台まで登ります。
片道10~15分ほどですが、結構な急登で息が上がります。
西側火口湖展望台から観る白根山の湯釜。
もっと間近に湯釜を見れる展望台もあるようですが、噴火警戒レベルが2に上がる以前から立ち入り禁止になっており、今はちょっと遠めですが、ここからしか見ることができません。
それでも、このとても自然の色とは思えない、そこだけ絵の具を垂れ流したかのような鮮やかな色はいつ見ても不思議です。
この湯釜、以前にも見に来たことがありますが、その時は早朝だったこともあって、対岸の火口壁の陰が掛かり、水の色もここまで鮮やかではありませんでした。
しかし、この日は晴天のお昼時ということもあり、とても鮮やか。
息をのむ絶景です。
湯釜を見た後は、国道を挟んで反対側にある本白根山へ。
今回は主目的は本白根山。
やはり、湯釜だけでは草津白根山に登ったというには不十分かなと思い、再訪した次第です。
本白根山には、ゆっくり回って3~4時間ほどのハイキングコースが整備されています。
国道のすぐ脇にある弓池。
これもまた火口湖なのだそうです。
まずは、ここから、その向こうに見える逢ノ峰を越えて行きます。
逢ノ峰から見る白根山。
白根山の山頂というか、最高点(2160m)は、立ち入りできませんが、左奥のなだらかなピークにあるそうです。
逢ノ峰からは一旦下ります。
対面の山の斜面がところどころきれいに紅葉しています。
逢ノ峰を下りるとスキー場に出ます。
この時期もリフトを運行しているようで、これを利用すれば多少楽に本白根山まで行けますが、大した距離ではありませんので、スキー場の脇の道を歩いて登って行きます。
この時期、登山道ではエゾリンドウやアキノキリンソウなど、秋の花々も見られますが、今回は実に注目してみました。
こちらはゴゼンタチバナの実。
ゴゼンタチバナの名は、この赤い実がカラタチバナに似ていることに由来しているのだとか。
こちらはマイヅルソウの実。
艶やかで透明感のある赤い実がとてもきれいです。
スキー場から樹林帯の中を30分ほど登ると、パッと視界が開け、目の前に本白根山の中央火口が現れます。
こちらは活動時期が古いためでしょうか、火口内にも植物が入り込んでおり、火山の荒々しさが和らいでいるような感じがします。
ここも紅葉がはじまっており、火口壁が赤く色づいています。
このあたりの紅葉の主役はクロマメノキのようです。
近づいてよく見ると、黒豆のような実がなっていました。
アサマブドウともいい、食用になるそうです。
クロマメノキ以外にも、ガンコウラン、
コケモモ、
シラタマノキなどの実が見られました。
私たちがこうした実を見ることができるのは、ほとんどが国立公園内だったりするので、取って食べることこそできませんが、実の鑑賞も秋の山行の楽しみの一つですね。
中央火口の縁に沿って歩いて行くと、分岐点が現れます。
本白根山を周回するコースは左ですが、右に行くと本白根山遊歩道最高地点がありますので、一旦そちらに向かいます。
途中にはコマクサの群生地があります。
もう秋ですから、何もない砂礫地ですが...
よく目を凝らして探してみると、咲き残りが少しだけありました。
火口縁をぐるっと回り込むように進むと、本白根山の山頂、というか最高点(2,171m)が正面右手に見えてきます。
しかし、そこに至る登山道はありません。
その代わりとして、人が立ち入れる最高地点ということで、本白根山遊歩道最高地点(2,150m)が設けられています。
遊歩道最高地点から見る中央火口。
左手のピークが本当の最高点です。
遊歩道はこの先も続いており、万座温泉まで下ることができるようですが、そこまでは行っていられないので、最高地点にタッチしたら、引き返します。
この火口縁上の道からは南側から東側の景色がよく見えます。
浅間山はわかりましたが、それより東は馴染みのない山ばかりで、どれが何山なのかわかりませんが、麓には草津温泉の街が見えます。
本白根山を周回するコースに戻ります。
火口壁の岩の塊の上まで木道を登って行くと、
本白根山展望所(2,145m)があります。
こちらの方が360度視界が開けており、山頂っぽい雰囲気があります。
南側~東側はもちろん、北側を見ても、目の前に火口、最高点、右手には逢ノ峰越しに白根山、さらにその奥に横手山も見え、素晴らしい眺望です。
先ほどの遊歩道最高地点よりは低いですが、高い低いといってもせいぜい20~30mの話。
ここが山頂ということでいいんじゃないでしょうか。
本白根山展望所からは樹林帯を下り、スキー場からは逢ノ峰を迂回する車道を歩いて駐車場まで戻ります。
途中、鏡池という池がありましたが、これも火口の一つだったのだそうです。
白根山にしても本白根山にしても、簡単にアクセスできて、かつ、はっきりとした山頂もありませんので、ピークハントという意味では物足りなさを感じる山かもしれませんが、本格的な登山をしない人でも、火山の様々な表情や、高山植物などを見ることができるのでいいですね。
帰りは白根山から少し下ったところにある万座温泉に立ち寄ってみました。
乳白色の硫黄泉はとてもなめらかで柔らかく、体がほぐれていく感じでとても気持ちのいいお湯でした。
草津温泉もいいですが、長野県側から白根山に登るならこちらの方が寄りやすくていいですね。