北海道4日目(7月20日)。
今回の北海道遠征の最大の目的、トムラウシ山に登ろうと、夜明け前に車を走らせ、朝4時過ぎにトムラウシ山短縮コース登山口までやってきました。
トムラウシ温泉のかなり手前から未舗装となり、トムラウシ温泉から先は凸凹も多くなり、なかなか大変な道中でしたが、ここからだとあの手ごわいトムラウシ山に日帰り登山できるとのことですから、ありがたいことです。
ただ、天気予報はまずまずだったものの、着いてみるとこの空模様。
出発直前には雨も降りだしました。
普段ならひとまず様子を見るところですが、日帰りとはいえ、往復16.8kmと、ロングコースになるため、急いでレインウェアを着込み、ザックカバーをかけて雨仕様に換装し、途中撤退も想定しつつ、4時30分に出発します。
この日、短縮コース登山口から登る人はほぼ日帰りだったと思われ、ほとんどの方が私より前に出発していました。
ただ、団体さんなんかもいたので、そのうち追いつくだろうと、最初から焦ってオーバーペースにならないよう意識しつつ歩き始めます。
最初はなだらかな登りで、20分ほどでトムラウシ温泉からの道と合流。
ここからトムラウシ温泉はコースタイムで登り2時間、下り1時間20分。
短縮コースだとこれを登り20分、下り15分に短縮できます。
ありがたいです。
合流地点からは時折急な登りも交えながら林の中を進み、登山口から1時間でカムイ天上に到着。
ここまでの間に何人かに追いつき、ここで団体さんにも追いつきました。
いつのまにか雨はやんでおり、団体さんはここでレインウェアを脱いでいらっしゃいました。
カムイ天上からは新道と呼ばれるクマザサを刈り払った道を行きます。
が、乾いていれば歩きやすいと思うのですが、かなり泥濘化していますので、スパッツ必須です。
ところどころ、木の板が敷かれていたり、打ち込まれていたりしましたが、そうした改善が追いつかないくらいに全域にわたって泥濘化しており、これはこれから先も登山道整備が大変そうです。
泥に気を遣いながらも、足取りはすこぶる順調。
登山口から2時間35分でコマドリ沢分岐に到着。
コースタイムではこのあたりが中間地点ということになりますので、この調子だと5時間ちょっとで山頂まで行けることになります。
ちょっと早すぎですね。このまま行くときっとバテてしまいます。
無意識のうちにペースが速くなってしまっていたようです。
ここでレインウェアを脱ぎ、気休め程度に泥を洗い流し、栄養補給して再出発。
コマドリ沢というだけあって、コマドリが盛んにさえずっています。
雪渓があらわれました。
ここを登って行くようですが、たまたま先行者の姿が見えないタイミングでここに踏み込んだため、不安になってコース確認のために一旦引き返してまた登り直すというロスをしてしまいました。
雪渓直登で間違いないようです。
雪渓と言っても、アイゼンは不要。
溶けかかっているところの踏み抜きにだけ注意が必要です。
雪渓を登り切り、灌木の林の中を進み、岩礫帯を横断するとハイマツと高山植物帯になります。
この辺で、空がパッと明るくなり、見上げると青空も見えてきました。
これからもっと天気が良くなってくるのではないかという期待を抱かせます。
前トム平。
コマドリ沢分岐からここまでは少しペースダウンし、ロスもあり、コースタイム通りの1時間でした。
先ほど一瞬空が明るくなり青空が見えたのは幻だったか...
またガスってきました。
ガスの中をマーカーを頼りに黙々と歩を進めていくと、一瞬ガスが晴れ、眼下に庭園のような美しい景色が広がりました。
トムラウシ公園です。
緑の絨毯が敷き詰められた中に、池塘が点在し、荒々しい岩々が突き立ち、真っ白な雪渓がアクセントをつける庭園のような景色。
どんな美しい庭園も及ばない自然の造形美です。
天気は悪いですが、むしろその方が神々しく、まさに神々が遊ぶ庭という雰囲気を感じます。
そのトムラウシ公園に入園します。
入園無料です。
ロングコースなので、山頂を目指すことを優先して、花の写真は下山時にと考えていましたが、ここでは少し撮っておきましょう。
エゾノツガザクラとアオノツガザクラの競演。
エゾコザクラとミヤマキンバイの競演。
チングルマ、キバナシャクナゲ、エゾノツガザクラ。
トムラウシ公園を過ぎ、トムラウシ分岐までの道沿いにはチングルマのお花畑が見られました。
富良野岳ではエゾノハクサンイチゲでしたが、ここではチングルマですね。
このあたり、トムラウシ山の洗礼か、10mほどの風がずっと吹きつけていました。
この日は気温もそれほど低くはなく、雨も降っていませんでしたので、シャツとインナーのみで歩いていましたが、汗冷え防止のため、再びレインウェアを羽織ります。
雨が降り、気温が下がったりすると、この風は恐いですね。
前トム平から1時間半でトムラウシ分岐に到着。
山頂まであと30分というところまできました。
ガスがますます濃くなっており、山頂方向はもちろん、どの方向もよく見えません。
ですが、待っていてもガスが晴れる期待ももてないので、登ります。
トムラウシ山頂(2141m)に到着。
登山口から5時間45分、コースタイムが6時間50分ですから、1時間ちょっと短縮できました。
しかし、山頂はご覧の通りのガスの中で眺望はまったくなし。
やれやれ、やっと着いたというだけで、大した感動もなく、15分ほど休憩して、下山します。
天候が良ければ、このまま突っ切って北沼分岐を回ってとも考えていましたが、ピストンにします。
(2)へつづく。