中山道を歩いた後、他に行く当てもなかったので、馬篭宿の近くの温泉に入ってほっこりしていたのですが、そこで中津川に苗木城跡という山城跡があるということを知ったので行ってみました。
苗木城跡の駐車場から竹門という門の跡を通ると、右手に天守跡を望める場所があったので、まずそこから見てみると...
今まで見たどこの城にも似つかない異様な城の姿がそこにありました。
いや、なかなか強烈なインパクトです。
苗木城は16世紀の前期から中期にかけてこの地を統治していた遠山氏によって築かれた城だそうです。
その後、織田氏、武田氏による争奪戦の舞台となり、1583年に森長可によって攻め落とされますが、関ケ原の合戦の折に、家康のもとに身を寄せていた遠山友政が奪還し、その後、苗木藩となり、遠山氏が幕末まで統治したそうです。
本丸方面へと進むとまず風吹門の跡があります。
風吹門の先、三の丸だった場所には三段構えの大矢倉跡があります。
石垣の下に岩が2つめり込んでいます。
大矢倉の上から見た天守。
高く積み上げられた石垣が葉が生い茂った木々の間から垣間見えますが、まだ全貌はよくわかりません。
間近まで近づいてきました。
石垣の合間に岩が露出しているのがわかります。
さらに近づいてみると、元々そこにあった自然の岩をそのまま活かして、それを補うように石垣を巧みに積んでいることがわかります。
岩と石垣に沿って本丸へとジグザグと登って行きます。
天守を直下から見上げてみると、2つの大岩の間に、清水の舞台のように柱と梁が組まれています。
岩に掘られた当時の柱穴を利用して天守の三階部分の床面を再現しているのだそうです。
本丸入口付近から見た大矢倉。
木々の緑に埋もれ、遺跡情緒があります。
本丸に到着。
再現された天守三階部分の床面は展望台として楽しめるようになっています。
天守からの眺めはなかなかの絶景です。
南東側を見れば、木曽川の流れの向こうに中津川の市街地、そしてそのむこうに恵那山が見えます。
ここへ来て快晴です。
明日までこの天候を維持してください。
西は恵那峡方面。
きれいな円錐形の山は笠置山という山でしょうか。
天守の反対側に下りてみます。
天守のすぐ下には馬洗岩といひときわ大きな岩があります。
かつて苗木城が攻められ、水の手を切られたとき、この岩の上に馬を乗せ、米で馬を洗って水が豊富にあるようにみせかけて敵の目を欺いたことから、そう名付けられたそうです。
自然の岩を利用した城郭と言えば、備中松山城なども有名ですが、ここも岩山を城郭化したという感じで圧巻です。
全体的に石垣の保存状態もよく、様々な積み方も見られます。
緑溢れるこの季節もいいですが、木々の葉が落ちる秋から春だと岩や石垣が露わになって、より迫力ある城郭が見られそうですね。
冬は雪をまとった恵那山の眺めもまた美しいことでしょう。
城好きのつもりでしたが全くノーマークで、中津川まで来てたまたまその存在に気付いて観に来たわけですが、いやいや、なかなか見ごたえのある城跡でした。