12:20に八丁池を出発し、万三郎岳に向かって歩きます。
戸塚峠では左に下りる道と分かれますが、ちょっとそちら方面に寄り道します。
戸塚峠から10分ほど下ると、皮子平という場所に出ます。
ここは植生の珍しさから植物群落保護林に指定されており、天城山一という大ブナがあります。
また、このあたりは窪地状になっており、苔むした石がゴロゴロしていて、他の場所とは少し違った雰囲気がありますが、これは天城山の火山活動の痕跡で、この先には3000年前に大噴火を起こした際の火口跡があるそうです。
また、歩いていると時々、黒くてつやつやとした石を見かけますが、これも火山活動の痕跡、黒曜石です。
旧石器時代や縄文時代にナイフや矢じりとして利用されたこの石は、ごく限られた場所でしか産出されないそうですが、ここ天城山は代表的な産地の一つなのだそうです。
皮子平から戸塚峠に戻り、再び万三郎岳に向かって歩きます。
八丁池から戸塚峠までは、緩やかな道が続きましたが、このあたりから、登りがきつくなります。
急登を乗り越えるとまた分岐があります。
ここを左に折れ、数十m行くと、奇妙にねじ曲がったブナ、「ヘビブナ」がありました。
排水管のSトラップにも似た形ですが、どうしてこのような形になったのでしょう...
再起不能なほどの挫折を味わいながらも、再び這い上がってきた不屈の魂のようなものを感じます。
しかも右下の幹の先端、まじまじと見てみると、地面についているようでついていないんです。
人間ならこんな姿勢、耐えられません。
人生で挫折を味わったとき、この木をみれば勇気をもらえるかもしれません。
ヘビブナを見た後は、小岳というピークを超え、いよいよ万三郎岳へ。
14:55、日本百名山のひとつ、天城山の最高峰、万三郎岳(1405.6m)に到着。
山頂ながら眺望はありません。
ここでおやつタイム。
柿田川湧水群の水で淹れたコーヒーと静岡のご当地パン、「のっぽパン」をいただきます。
「のっぽパン」はヤマザキパンのロングセラー「ナイススティック」のようなパンですが、それよりも少し長く、また少し細いため、余計に長く感じます。
味のバリエーションが豊富なのもうれしいですね。
万三郎岳から下る道にはアマギシャクナゲが群生しています。
が、まだ蕾。見頃は2、3週間先になるのではないでしょうか。
石楠花に因んだ地名なのでしょうか、「石楠立」と書いて”はなだて”。
ハシゴを登り、名もなきピークを越え、
まだあまり花をつけていないアセビのトンネルを抜け、
馬の背に出るとゴールの天城高原ゴルフコースが見えてきました。
ゴルフ場の手前を巻くようにして左中央あたりにある登山口を目指します。
振り返る天城山の山塊。
最後のピーク、万二郎岳(1,299m)を越えると、あとは下るのみ。
17:00に無事下山。おつかれさまでした。
今回の天城縦走、まだ新緑の季節の始まりといった感じでしたが、行けども行けども広がるブナやヒメシャラを中心とした原生林は圧巻でした。
5月も中旬から下旬になると緑がいっそう濃くなり、アマギシャクナゲが咲き、華やかになっていくでしょうし、今回は晴天でしたが、ガスが出るような天候になれば神秘的、幻想的な雰囲気も味わえるでしょうから、また、そういった時期に来れればと思います。