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親鸞 完結篇(上) (講談社文庫)
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三部構成の親鸞の第三部、完結編。
第二部の最後で東国から京に戻った親鸞ですが、第三部では親鸞自身はほぼ隠居状態で動きがなく、親鸞の後継者たちが親鸞の念仏の教えをどう受け継いでいくのかというところに焦点が移っています。
そんな彼らの考えや活動を見守り、支えつつ、自らの考えを整理し、固めていく親鸞の姿を通じて、親鸞の信仰のあり方というものを今一度見つなおす、そういう場を与えられているのがこの完結編のような気がします。
その一方で、親鸞を憎むある人物が専修念仏を潰そうと暗躍し、親鸞に所縁のある人々がそれを阻止しようと立ち上がり、最後の戦いを迎えるというスリリングな展開もあるのですが、全体としてはとても静かに総括し、フェードアウトしていくような展開です。
最後も、チャイコフスキーの悲愴の最終楽章のように、極めて静かに親鸞入滅で幕を閉じるわけなのですが、その最後の一文が平凡な一文ながらも強烈で、核心を突いていて、ハッと目が覚めるような思いがしました。
五木さんが親鸞から何を見出したのかが、この一文に込められている、そんなふうに感じたのは私だけでしょうか...
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親鸞 完結篇(下) (講談社文庫)
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