瀬戸内国際芸術祭の秋会期、小豆島を回ってきました。
小豆島は芸術祭の会場となっている島の中では最大で、作品数が多く、またそれが島のあちこちに散らばっているため、自動車で回るのが効率的。
ということで、マイカーで神戸港からジャンボフェリーに乗って行きました。
ジャンボ・トらやん ヤノベケンジ
ジャンボフェリーの屋上デッキには、早速、アート作品「ジャンボ・トらやん」。
以前は、確か舵をとっていたと思うのですが、今はオリーブを手に持って航海を見守っています。
スターアンガー ヤノベケンジ
神戸港から3時間。
トラやんがたどり着いた坂手港には、今や港のシンボルとして定着したスターアンガーがあります。
これもまたヤノベケンジ作品。
この日も太陽の光を受け、輝きを放ちながら回転していました。
アンガー・フロム・ザ・ボトム 美井戸神社 ビートたけし×ヤノベケンジ
さらに坂手港から集落を抜けて高台に上がると、アンガー・フロム・ザ・ボトムがあります。
20分に一度、水を吐くとのことでしたが、ちょうど着く直前に水を吐きはじめ、タイミングよく見ることができました。
こちらはビートたけしの構想をもとにヤノベケンジが現代アート作品として具体化したもの。
古井戸の底に棲む水の神が怒れる化け物となって現れるというモチーフだそうですが、頭に刺さっている斧は、きこりがわざと落とした斧が神様の頭に刺さってしまうというイソップ寓話の「金の斧」のパロディーなのだとか。
2013年の芸術祭の際に制作され、今はその上に地元有志の手により社が建てられ、作品を御神体として祀る「美井戸(ビート)神社」となっています。
壺井栄生誕地 お花畑プロジェクト
ヤノベケンジ色の濃い坂手ですが、その他にもいくつかの作品がありました。
こちらは、小豆島出身で「二十四の瞳」の作者として知られる作家壺井栄さんの生誕地をお花畑にするプロジェクト。
中央に配されたシンボルツリーは壺井栄さんと同時代を生きた樹齢約100年のオリーブだそうです。
坂手物見台(Creator in Residence「ei」 UMA/design farm+MUESUM
あとは、Creator in Residence「ei」という様々な分野のクリエイターによる滞在制作型プロジェクトの作品が何ヶ所かに分かれて展示されていました。
この物見台は、入口の言葉からストーリーがあり、「ほう。」という感じでしたが、
こちらのそうめんのスクリーンなど、他はちょっとよくわかりませんでした。
うつゆみこ/UMA/design farm+MUESUM fish farm house (Creator in Residence「ei」)
特にこちらがアートとしては面白いもののかなりグロくて、これを港に着いて最初、まだウォーミングアップもできていない段階で見たもんで、それが観賞姿勢に影響を与えたかもしれません。
おおきな曲面のある小屋 島田陽
坂手港周辺を見た後は、車で少し移動して醤の郷へ。
駐車場前にあるアート作品は公衆トイレ。(内部は普通でした)
醤油蔵などの立ち並ぶ風情のある街並みを散策しながら作品を巡ります。
オリーブのリーゼント 清水久和
オリーブ畑の中に突然現れる番長。
影もまた面白い。
ですが、口と思わしき窪みに何やら...
ミカンですね。
アートであるとともに、無人販売の屋台としても活用するという試みだそうです。
Follow the rules 黑﨑香織
倉庫の中に設けられたギャラリーに展示されていたこちらの作品は扁平の背景にCGのような立体物を浮かび上がらせるように描いた絵画。
モチーフはよくわかりませんが、インパクトがあります。
アトリエも併設、公開されており、作者が新しい作品を絶賛作成中でした。
途中、満開のコスモス畑を見ながら、向かった次の作品は「小豆島カタチラボ」。
小豆島カタチラボ graf
こちらでは、様々なテーマで小豆島の新しいカタチを見つけ出すプロジェクトが展開されていました。
標高ごとに区切って島の風土を現した絵本や、方言を木琴で表現する試みは面白かったですね。
小豆島のことを我々関西人は”しょうどしま”と”ど”にアクセントを置いて発音しますが、地元の方は”しょうどしま”と”しょ”にアクセントを置くんですね。
標準語でもそうはならない、意外な発音です。
(そういえば、昔、車のCMかなにかで”しょうどしま”と言ってたなぁと思い出しました。)
また、こちらではオリーブ茶を擦る体験もできました。
出来上がった茶葉は持って帰って早速淹れてみましたが、甘味があってとてもおいしいものでした。
このカタチラボ、スタッフの方々が一つ一つの展示をすごく丁寧に説明してくださり、様々な形で島のことを知ってもらおうという気持ちが伝わってきて、とても親しみを感じる空間でした。
Umaki camp ドットアーキテクツ
こちらは前回の芸術祭の際に建てられた「Umaki camp」というコミュニケーション施設。
こちらでは”お接待”が行われていました。
ふらっと入っていくと、席を勧められ、ミニにゅう麺やお団子などでもてなしていただけました。
まだ昼食前の空腹時、ささやかながら、どれも丹精込めて作られていてとてもおいしく、ありがたかったです。
”お接待”と言えばお遍路ですが、ここ小豆島にも四国と同じように小豆島八十八ヶ所めぐりというお遍路があります。
実際にアート巡りしている最中にもお遍路さんを見かけましたが、”お接待”文化もしっかりと根付いているのですね。
にしても、アート巡りをしている中で”お接待”を受けられるとはありがたいことです。
竹の茶室 京都造形芸術大学城戸崎和佐ゼミ+graf
その他、醤の郷周辺には大学生やインド人アーティストの作品がありましたが、この辺はちょっとよくわかりませんでした。
What are we? ソサ・ジョセフ
Revenants サヘジ・ラハール
(9)へつづく...