キャパの十字架 | Archive Redo Blog

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DBエンジニアのあれこれ備忘録


キャパの十字架 (文春文庫)/文藝春秋
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史上もっとも有名な戦争写真のひとつとされる「崩れ落ちる兵士」。


1936年、ロバート・キャパがスペイン戦争時に、共和国軍兵士が反乱軍の銃弾を受けて倒れる決定的瞬間を捉えたとされるこの写真は、発表されるやいなや戦争を象徴する写真として脚光を浴び、その衝撃はアメリカの写真週刊誌「LIFE」に掲載されたことで世界中に波及しました。


私がこの写真に初めて出会ったのは、ロバート・キャパの写真展を観に行ったとき...いや、(この写真が使われた)写真展のポスターを見た時ですが、やはり、そのインパクトに目が釘付けになりました。


しかし、この写真は、キャパ本人が何も語らなかったため、謎が多く、長年真贋論争が続けられてきた写真でもあります。



この本は、そんな「崩れ落ちる兵士」という写真の謎を解き明かし、それをキーに戦争写真家としてのキャパの実像に迫るドキュメンタリーです。


実は、以前、この本の内容にコンピュータを駆使した解析結果などを加えて「崩れ落ちる兵士」の謎に迫るNHKの番組を見たので、ほぼ中身は知っていたのですが、改めて文章でじっくりと読み返してみたいと思い、買ってしまいました。


番組もとても面白かったですが、文章で読んでもやはり面白い。


セロ・ムリアーノ、エスペホ、フェデリコ・ボレル、スパニッシュ・モーゼル、雲、影、小麦、オリーブ、カブラ山地、崩れ落ちる兵士、第二の崩れ落ちる兵士、ライカ、ローライフレックス、そしてキャパとゲルダ...


現地にも何度も足を運び、残されている写真を求めて世界中を飛び回り、仮説と検証を繰り返しながら、真実に迫っていくその過程はルポの真骨頂と言いますか、グイグイと引き込まれていきます。


ルポライターとしての沢木さんの気概を感じる一冊です。