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水戸光圀公のお話です。
水戸光圀と言えば、誰しもが「水戸黄門」の黄門様を思い浮かべることかと思います。
どの黄門様を思い浮かべるかは人それぞれかと思いますが...
(私は東野英治郎(助さん:里見浩太朗、格さん:大和田伸也)の印象が強いです。)
それほど国民的時代劇として私たちに深く印象付けられている水戸光圀ですが、そうしたイメージは名君であったという伝承から発展してきたもので、実際にはドラマの黄門様とはだいぶ違うということもよく聞く話です。
・史書編纂事業を起こした
・日本で初めてラーメンを食べた
・水戸と江戸の往復以外には日光と鎌倉にしか行ったことがない
などといった功績や逸話が有名かと思いますが、中でも驚きなのは、若い頃は傾奇者で遊郭通いや辻斬りなどの蛮行を働いたこともあったということ。
この作品でも血気盛んな若者、水戸光國は鮮烈です。
そんな若き日の光國には、三男ながら、優しく有能な兄・頼重を差し置いて世子に選ばれたことに悩み苦しむ一面もあり、葛藤しながら成長していくその姿に引き込まれます。
もちろん、成人し、藩主になってからの話も面白いのですが、若い頃が強烈なだけに、出来上がってしまった人格に物足りなさすら覚えてしまいます。
この作品は、将軍家や御三家はもちろん、沢庵和尚、宮本武蔵、山鹿素行、林家一門、冷泉為景、保科正之、朱舜水らと光圀との交流も見どころで、若干、取って付けた感はありますが、改暦事業に挑む安井算哲も登場し、「天地明察」とクロスオーバーする場面もあります。
でも、やっぱり若い頃の光國ですね。缺盆がゾワゾワします。
光圀伝 (下) (角川文庫)/KADOKAWA/角川書店- ¥821
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