すかたん (講談社文庫)/講談社- ¥745
- Amazon.co.jp
江戸詰め藩士だった夫の大阪赴任に付き従って大阪に来たものの、その夫がわずか1年後に病で亡くなり、一人取り残されてしまった千里。
生活の糧を得ようとはじめた手習いの師匠の仕事もクビになり、空き巣に入られて文無しになり、家賃が払えず宿無しになり、ふんだりけったりの千里が、ひょんなことから青物問屋に女中奉公に出ることになり、慣れない土地と暮らしに戸惑いながらも、奮闘する日々を描いています。
江戸時代の大阪の暮らしに青物に笑いに恋。
各章のタイトルが、「ちゃうちゃう」、「まったり」、「だんない」、「ぼちぼち」、「ええねん」、「しんど」、「ほな」、「かんにん」、「おもろい」、「すかたん」と、ええ大阪弁がずらりと並んでいますが、文中にもええ大阪弁が溢れ、吉本新喜劇的な”ほんわか”とした雰囲気がとても心地よい作品です。
比較するものでもないとは思いますが、これまで選定された3作品の中で、一番大阪らしさ、というか吉本っぽさというべきですかね、そういうものを感じました。