考証要集 秘伝! NHK時代考証資料 (文春文庫)/文藝春秋- ¥670
- Amazon.co.jp
大河ドラマや時代劇など、過去をテーマとしたドラマでは、なるだけその時代に即した世界観を表現するために、時代考証という作業が行われることはよく知られるところかと思います。
この本は、そんな時代考証について、著者がNHKで時代考証業務を担当する中で作成した膨大な「考証メモ」から、面白いものや役立ちそうなものを抜粋し、辞書スタイルで紹介している本です。
いかにも昔からありそうなものが、実は思った以上に歴史の浅いものであったり、その逆であったり、「へぇ~っ。」というネタが満載で、雑学として楽しめるとても面白い本です。
(特に陸軍と海軍の慣習の違いなどは、面白かったです。)
ただ、知らなければ時代考証的に間違った表現であっても、特に何の違和感もなく観れそうな些細なものも多かったりもします。
(陸軍と海軍の慣習の違いなどはまさにそう。)
にもかかわらず、これだけ緻密に考証しなければならないのは、歴史に詳しい視聴者をも納得させられるだけの作品にするには、そうするに越したことはないということなのでしょうか。
特にその時代を生きてきた人がまだ生存しているようなら、なおさらでしょうね。
しかし、あまりにも時代に忠実に表現しすぎると、それはそれでかえってつまらなくなったり、批判を受けたりもするので、歴史の再現と、作品としての表現の間でどう落としどころを見つけていくのかというのは、悩ましい問題なのではないかと思います。
この本を読むと時代考証に多少は詳しくなりますが、ドラマを観る時には細かいことにはとらわれ過ぎず、素直な目で楽しみたいところです。